逆こんまりという生き方
うちの奥さんはお片付けが下手なんです。片付けない訳ではないのですが、やり方が下手というか、どうにも片付けが苦手なようです。
片付けで世界を制したこんまりの真逆という意味で、うちの奥さんは生粋の逆こんまりタイプなのです。
逆こんまりなのは結婚前から分かっていました。しかし、結婚して一緒に生活するとなると、その逆こんまりぶりに少し驚くと同時にイラっときました。
私はどちらかというと整理整頓好きの正統派こんまりタイプなので、最初は訳が分かりませんでした。
なぜか洗濯機の前の洗濯物の山の中からペットボトルの醤油が。とか、
2年間探し続けた愛用の爪切りがゴミ箱の隙間から発見される。とか、
食料品ボックスの中にサングラスが入っているとか、
まあしょっちゅうそういった「世界ふしぎ発見」な出来事がある訳です。
私はモノを探すのが嫌なので、モノの置き場所をちゃんと決めているのですが、彼女はそんなルールなどおかまいなし。何でもかんでも適当に身近なところに置いちゃうんです。だからすぐに「あれどこ置いたかな?」と始まり、家中モノを探し回ることになるのです。
当然はじめのうちは揉めました。そして私は彼女をダークサイドから救い出そうとバトルを繰り返しました。でもダメでした。そして私は諦めました。
訂正:諦めたというのはちょっと違います。
私は思ったのです。彼女に無理に片付けさせようとすると、恐らく彼女に窮屈な生活を送らせることになってしまう。ならばいいだろう、どうぞ好きにやってくれ。自由に伸び伸びと生きてくれ。そうした方が彼女の持つ違う魅力がより輝くだろうと。
今思えば、我ながらめっちゃポジティブ・シンキングです。えらい。
結果的に、家の中の片付けはほぼ私が管理・監督・実践する形に自然となり、彼女との片付けに関するバトルは減り(やはり完全には無くならない)、夫婦としての関係、家庭の雰囲気は明らかに良い方向に変わりました。そして狙い通り彼女の魅力(明るさ、優しさ、純朴さ)も増しました。
世の中、お片付けというのは生活の基本、教育の基本、人格形成の基本、みたいなところがあり、私もそう信じ続けているのですが(今でも)、必ずしもそうではないかも? と、うちの奥さんの逆こんまりぶりを見て気づかされました。
少なくとも逆こんまり=ダークサイドではない。これは確かでしょう。
きっちりしているからこそ上手くいくことと、きっちりしていないからこそ上手くいくこと。世の中には2つあって、意外と知らないところでバランスが取られているのかもしれない。
むしろこれからの世の中を生き抜いて行くには、整理整頓して物事を素早くさばく能力よりも、様々なものが入り混じったカオスから何かを探し出す能力の方が役に立つのかもしれない。
そこまで言うと、うちの逆こんまり奥さんを誉め過ぎかも。
今朝も日課の冷蔵庫のお片付けをしようと冷蔵庫の扉を開けると、こんな光景が飛び込んできた。
野菜は野菜室なんだけどなぁ。
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