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桐貴清羽(きりたかきよは)
2021年3月7日 02:44
「結婚したんだってね。おめでとう」電話口。少し声が震えてしまったけれど、平静を装えていたと思う。かつて、本気で愛してしまったセフレは、どうやら結婚するらしい。私が初めて家に行って、シャワーを浴びたとき、女性物のケア商品が浴室にあったので、他にも女がいることは知っていた。だから、この人には本気になっちゃだめだと自分に言い聞かせていた。それでも、好きになってしまった。好きといってほ
2021年3月14日 03:52
「バレンタイン、一緒に過ごせないのなら、ホワイトデーは私にちょうだい」あなたは仕事だからと言っていたけれど、他の女性と約束をしていることなんて、わかってた。あなたは嘘をつく時、三秒見つめるのよ。「いいよ。ホワイトデーは一緒にいよう」「約束?」「ああ。約束」クロワッサンを食べる手を止めて、三秒の間の後、あなたは言った。わたしは、これで最後なのかもしれないと悟った。けれど、