奇書が読みたいアライさん

Twitter(@SF70687131)で紹介した本のまとめなのだ。 ホラーSF幻想…

奇書が読みたいアライさん

Twitter(@SF70687131)で紹介した本のまとめなのだ。 ホラーSF幻想文学奇書珍書が好みの書店員が、 奇書とまではいかなくてもちょっとクセのある本を取り上げていくのだ~

最近の記事

2023年10月&11月

528.無限大の日々 (八木ナガハル/駒草出版)ハードSFの秋!『無限大の日々』で脳を焼くのだ 昆虫SF(大傑作!)、軌道エレベータ、進化論……クラシックなガジェットにディープな思索を込めた、少女と機械の遠大なる宇宙奇譚集 ストイックなSF魂と唯一無二の造形美を追求する、コミティア魂迸る筆致。張りぼてのサイバーパンクに飽きたらこれ! 529.激突カンフーファイター (清水良英/富士見ファンタジア文庫)伝説のラノベ奇書『激突カンフーファイター』ついに読んだのだ。凄い!全

    • 2023年8月&9月

      518.祝福 (高原英理/河出書房新社)『祝福』、今年これ以上凄まじい本に出逢える気がしないのだ… 奇妙な引力を持つ言葉が世界を侵食する――女子高生のブログ。架空の評伝。廃工業の秘密。魂喰い。ネットの新興宗教。表記を禁じた詩人…… 存在を呪い、そして祝う、言語そのものが主役の小説。ゴシックからジェンダーまで内包したジャンル分け不能の幻想!引き返せない秘密を識る畏怖に酔うのだ〜 『幻詩狩り』が好きな方にはぜひ読んでみてほしいかも。ジャンルに嵌めると本質から逸れちゃうのだ

      • 2023年6月&7月

        507.村の奇譚 里の遺風 (筒井功/河出書房新社) 『村の奇譚 里の遺風』は静かなる民俗学名著なのだ 目的不明の石室の秘密、贋金を作る山奥の村、サンカの現在、軒先に猿の手を吊るす地域、数千の墓が並ぶ町 考察のロマンと失われゆくものの哀しさを兼ね添えた極上エッセイは、小説を軽く凌駕する面白さ!足を使って集めた迫力の奇譚集。資料にも〜 508.火蛾 (古泉迦十/講談社文庫)23年の時を経て蘇った幻のミステリ『火蛾』を改めてご紹介〜 12世紀イスラム。夜毎現れる影との宗

        • 2023年4月&5月

          497.黒猫館・続黒猫館 (倉田悠子/星海社)紫綬褒章作家、稲葉真弓が死の直前に明かした覆面作家名義・倉田悠子。『黒猫館・続黒猫館』は、アダルトアニメ『くりぃむれもん』のノベライズながら、その隠しきれぬ文才が爆発した大傑作なのだ 戦争の昏い影差す昭和16年日本。山中の館で行われる淫蕩の魔宴と哀しき秘密 圧倒的筆力で描かれる麻薬的密室感、高濃度の頽廃趣味にくらっくら。えっちなやつゆえ要注意だが大傑作! 「己の心と書いて、忌まわしいと読みます」 498.石が書く (ロジェ

          2023年3月

          492.よぎりの船 (小田雅久仁/惑星と口笛ブックス ※電子書籍のみ)『残月記』小田雅久仁の、電書でしか読めない大傑作短編『よぎりの船』を見つけるのだ 幼少期から視える奇妙な存在は、みな東を目指していた。身体から抜けた孝明は彼らの遍歴に加わり── 風土とSFを柔らかく結ぶ幻想と圧倒的巨視感!生死のあわいで寂光を放つ物語。大森望も恋焦がれた奇跡の一篇! これ、筋書きより情景と幽明の手触りが最高に素晴らしくて、日本幻想文学史に名を残すべき名短編だと思うのだが、著者のWiki

          2023年2月

          485.神使像図鑑 神使になった動物たち (福田博通/新協出版社)『神使像図鑑』は神社の境内に置かれてる、狛犬などの神使獣の像をまとめた写真集なのだ 伏見稲荷の狛狐や御嶽神社の狛オオカミをはじめ、狛ゾウ、狛タコ、狛ナマズ、狛ハトと、やんごとなき石の動物園を設置神社と共に紹介 由来の記述も短文ながら硬派で良文献!珍像巡りの旅行とかしたら楽しそうなのだ〜(^^) 486.緑色電気集 (神谷僚一/船燈社)『緑色電気集』は古書店で偶然見つけたふしぎな本 函入り、天地小口まで深

          2023年1月

          480.空を飛ぶパラソル (夢野久作/角川文庫)1/4は夢野久作のハピバ!『空を飛ぶパラソル』でひとつ上の久サカーになるのだ 報道倫理を主題に唯一無二のビジョンを描く表題作、ユーモアだが妖気が濃すぎて何だかもうな『いなか、の、じけん』、ぷちドグラマグラこと『キチガイ地獄』、エヘヘオホホな暗黒夢十夜『怪夢』と佳品揃い 東雅夫の新解説も必読! 481.自生の夢 (飛浩隆/河出文庫)AI自動生成が旬の今こそ『自生の夢』を読むのだ 文字や映像を汚染する怪物<忌字禍>に対抗する

          2022年12月

          474.愛人 (田中ユタカ/ジェッツコミックス)『愛人』は屈指の隠れた名作漫画なのだ 余命わずかのイクルと終末医療用の人造人間あい。死に向かう二人の生活と地球の危機。上位存在。最終戦争。そして溢れ出す呪い―― 反出生に反駁する苛烈なメッセージと、絶望に塗れながらも一筋の希望に手を伸ばす叛逆と祝祭の物語。エヴァや最終兵器彼女と並んで語られるべき大傑作! 475.フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人 (佐藤友哉/星海社)受賞時19歳の著者が書き上げたゼロ年代最凶ミステリ『

          2022年11月

          467.幻綺行 (横田順彌/竹書房文庫)『幻綺行』で頭のネジを飛ばすのだ 時は明治、自転車世界一周旅行中の快男児・中村春吉が出会うSF怪奇難事件。人食い怪木、首が飛ぶ妖魔、魔神像、宇宙人……迫るピンチの数々を、賢いヒロインの機転で脱してまあまあ雑にやっつける! 一人称が「わが輩」でもうwwラノベより読み易い秘境小説なのだ〜 468.月面文字翻刻一例 (川野芽生/書肆侃侃房)月蝕の夜は『月面文字翻刻一例』を読むのだ 触れたら砂になってしまいそうほど精緻な言葉で紡がれる、

          2022年10月

          461.鴨居玲 展 人間とは何か? (中村屋サロン美術館/※展覧会図録)『鴨居玲展 人間とは何か?』に行ってきたのだ! 40点ほどの小規模展示ながら、首吊りの襖や赤い自画像、苦悩が塗り込められた作品群に息が詰まる…!ことばの虚しさを感じさせる『紙風船』(↓2枚目)とか最高なのだ 鴨居玲は出版物がどれもプレミアなので新規図録が嬉しい!中村屋サロン美術館で12/4まで~ 462.蘆屋家の崩壊 (津原泰水/ちくま文庫)『蘆屋家の崩壊』は京極夏彦好きにも推薦の幻想文学なのだ

          2022年9月

          454.ソフトマシーン (ウィリアム・バロウズ/河出文庫)The Velvet Undergroundらロックに多大な影響を与えたビート文学からは『ソフトマシーン』を紹介 文章を切り刻み並べ替えるカットアップ手法で書かれたフランケンな文体は、控えめに言って意味不明w  薬物中毒でバイなバロウズ元来の下品さも相乗して、もはや読むPTSD! 厄介だが高2心をくすぐるのだ〜 455.パンダのうんこはいい匂い (藤岡みなみ/左右社)『パンダのうんこはいい匂い』、タイトル以外変な

          2022年8月

          448.モーヴ色のあめふる (佐藤弓生/書肆侃侃房)『モーヴ色のあめふる』で8月を涼しく過ごすのだ 「人がすぐ死ぬこの世をうたいながら、ただよっていきたい」と語る響き通りの、青く幻想的な短歌集。小説レベルの奥行きで詠まれる月、惑星、四季、祈りの美しさたるや! 感性が鈍った時や汚い言葉で荒んだ時、こころを調律できるバイブルなのだ〜 449.人面町四丁目 (北野勇作/角川ホラー文庫)『人面町四丁目』は角川ホラーの隠れ名作! 様子のおかしな人面町で暮らす著者の毎日。人面

          2022年7月

          440.冥途 (内田百閒/平凡社)パロル舎版の『冥途』こそ貴方のソウル冥途なのだ ご存じ夏目漱石門下・内田百閒が著した薄闇の夢文学を彩る、不気味で物哀しい版画の数々。グラフィックノベル風の構成で、海外の方や読書嫌いを幻想沼へ突き落とすのにも最適のコレクターズアイテム 『猫町』『夢十夜』も出てるのでコンプするのだ〜 (※現在は平凡社から復刊) 441.ゲルハルト・リヒター (桝田 倫広 (監修)、 鈴木 俊晴 (監修)/青幻舎)ゲルハルト・リヒター展、素晴らしかったのだ!

          2022年6月

          433.両面宿儺 (豊田有恒/ハヤカワ文庫)呪術廻戦じゃない方の『両面宿儺』味わい深い短編集だったのだ 宿儺のルーツを求め訪れた飛騨高山で日本とフランスの幻覚祭りバトルを目撃する表題作、 国民が白人として洗脳教育されるディストピア日本を描く「白く塗られたバナナ」(これ傑作!)など、 戦後欧米化への恨み節が効いた作品群なのだ〜 434.ワルプルギスの夜 マイリンク幻想小説集 (グスタフ・マイリンク/国書刊行会)雨の夜、本の中に引き篭もるなら『ワルプルギスの夜』を開くの

          2022年5月

          426.左川ちか全集 (左川ちか/書肆侃侃房)古書相場で高価取引され、限られた者だけがそのことばを心の屋根裏部屋にそっと仕舞い込んでいた孤高の詩人『左川ちか全集』がついに刊行されたのだ! 若干24才で夭逝した女流詩人が遺す、死と病の影差す昏く美しい詩の数々は伝説の名に恥じない衝撃 書簡や散文がまた極上!出版史に残る偉業なのだ〜 427.起こらなかった世界についての物語 (三浦丈典/彰国社)『起こらなかった世界についての物語』、正にこういう本読みたかったのだ! アンビル

          奇書が読みたいアライさんの『るるぶ架空都市⑩』

          37.ゼウスガーデン衰亡史【ゼウスガーデン】 爛熟の果て滅亡した遊園地型独立都市国家 【CITY GUIDE】 〜ゼウスガーデン略史〜  1984年、下高井戸オリンピック遊技場の名で創設。創業者は天才兄弟、藤島宙一、宙二。オール木製ジェットコースターが話題を呼び、続く「鮫入りプール」の大ヒットで不動の人気を確立する。  1990年、年間動員数3万人を達成するが、翌年、宙一・宙二兄弟が突然の引退(奇病に罹り医者に幽閉されたとも)。  従業員らにより最高幹部会設立。初代議長は

          奇書が読みたいアライさんの『るるぶ架空都市⑩』