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2022年6月

433.両面宿儺 (豊田有恒/ハヤカワ文庫)

呪術廻戦じゃない方の『両面宿儺』味わい深い短編集だったのだ

宿儺のルーツを求め訪れた飛騨高山で日本とフランスの幻覚祭りバトルを目撃する表題作、 国民が白人として洗脳教育されるディストピア日本を描く「白く塗られたバナナ」(これ傑作!)など、

戦後欧米化への恨み節が効いた作品群なのだ〜


434.ワルプルギスの夜 マイリンク幻想小説集 (グスタフ・マイリンク/国書刊行会)

雨の夜、本の中に引き篭もるなら『ワルプルギスの夜』を開くのだ

錬金術の秘密が暗喩されている様な奇妙に張り詰めた神秘小説群。眠るたび姿を変える夢遊病者を描く表題作、狂熱の心霊世界「白いドミニコ僧」の2中編が軸

浮かび上がるテーマは円環。ゆらめく洋燈に脳が痺れるような読書体験なのだ〜


435.八王子七色面妖館密室不可能殺人 (倉阪鬼一郎/講談社ノベルス)

『八王子七色面妖館密室不可能殺人』仕掛けたっぷりのバカミスだったのだ

200頁弱の本編に、7つの密室殺人、複数の暗号、叙述トリックが詰まった超絶ミステリテーマパーク!君は見破ることができるか?!

──という煽りで読んで騙されても一切責任取れないが、よくこんなこと考えるなとは思うはずww


436.誰何 (つばな/リュウコミックス)

アライさん激推し百合ホラーSF『惑星クローゼット』のつばな先生最新作『誰何』が発売したのだ

失恋したら人間が消失する世界で、アイドル部を結成する少女たち ぶっ飛んだアイデアとオフビートな絵柄で、奇想とピュアの両立を果たす異能!

笑いつつもズレた世界線に来ちゃった様な違和感が滲むのだ〜


437.スポメニック 旧ユーゴスラビアの巨大建造物 (ドナルド・二ービル/グラフィック社)

シン・ウルトラマンが人気だが、宇宙的造形にときめくなら『スポメニック』もおすすめなのだ

旧ユーゴ圏で民族意識統一のため建てられまくったモニュメントの数々をカタログ化した写真集だが、強烈なデザインはどう見てもエヴァの使徒

由来が物語る戦禍の激しさもえぐい……世界観構築の資料にも〜!


438.天狗 (大坪砂男/国書刊行会)

『天狗』は昭和怪奇探偵小説史上屈指の名篇!

蕎麦食って腹壊した男が厠でご婦人とバッティング、なぜか逆恨みして奇怪な殺人計画を練り上げる──

トリッキーな文体と奇妙な展開はキングオブ奇想。禁断の植物園幻想『零人』など他の収録作も激ヤバ!まどマギでおなじみ、虚淵玄のお祖父さんなのだ〜


439.沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う (山舩晃太郎/新潮社)


『沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う』軽いエッセイだがロマン大爆発の名著!

アドリア海やエーゲ海に沈む船を調べ、ときにはネズミが流れるドブ川に潜る水中考古学者の奮闘記

熱意溢れる筆致に燃えつつも、学生チームが起こす恋愛トラブルや、懐事情のリアルに抱腹絶倒!中高生の読書感想文にも〜

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