見出し画像

2022年8月

448.モーヴ色のあめふる (佐藤弓生/書肆侃侃房)

『モーヴ色のあめふる』で8月を涼しく過ごすのだ

「人がすぐ死ぬこの世をうたいながら、ただよっていきたい」と語る響き通りの、青く幻想的な短歌集。小説レベルの奥行きで詠まれる月、惑星、四季、祈りの美しさたるや!

感性が鈍った時や汚い言葉で荒んだ時、こころを調律できるバイブルなのだ〜


449.人面町四丁目 (北野勇作/角川ホラー文庫)

『人面町四丁目』は角川ホラーの隠れ名作!

様子のおかしな人面町で暮らす著者の毎日。人面魚を捕まえ、街の裏面を彷徨い、巨大モグラ災害やザリガニの真実に出逢う

栞と紙魚子や深泥丘奇談好きには鉄板の怪奇日常系。グロテスクな幻視がオフビートにスルーされてく、まんがタイムきらら悪夢なのだ〜


450.紙の民 (サルバドール・プラセンシア/白水社)

『紙の民』は奇書版百年の孤独と言いたい静かなる傑作

紙でできた登場人物たちと、上空から見下ろす土星(=作者)との戦争を軸に、無数のメタを内包した短いパラグラフが降り積もる幻想年代史

トリッキーなタイポグラフィが最高!難解すぎず上品な余韻を残す「ちゃんと面白い本」なので、寝物語にも👍


451.ずっとお城で暮らしてる(シャーリィ・ジャクスン・創元推理文庫)

乙女な君にはとってもガーリーな『ずっとお城で暮らしてる』がおすすめ⭐︎

家族全員が皆殺しにされた家に住む姉妹。村人の迫害に遭いながらも純真な妹メアリの語りは、いつしか騙りの疑惑が混じり──

有象無象底なしの悪意と行間豊かな文学の奥行き。タイトルの印象とは裏腹の静かなる魔書なのだ…


452.赤の書 (C・G・ユング/創元社)

ユングが遺した伝説の本『赤の書』がお値段42000円で買えるのだ

ペルソナが登場する元型論や夢分析でおなじみ精神医学の父だが、晩年は降霊会、UFO研究、錬金術にハマったアレな人w彼が16年間つけ続けた日記は、自身の幻覚体験を含む強烈な幻視!

ちなみに黒の書もあるのだ~。多分ニーアの元ネタ!


453.扉守 (光原百合/文春文庫)

光原百合先生のご冥福をお祈りします。SNSで気さくに接していただき感激でした

故郷の広島県尾道市をモデルにした『扉守』は、あの美しい山と海と坂道の町に優しい幻想を編み込んだ、マフラーみたいに暖かい銘品

死者が帰る井戸、不幸を払うぱたぱた様…少女の瑞々しさと日本情緒。秋の夜長にぜひ!


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?