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2022年10月

461.鴨居玲 展 人間とは何か? (中村屋サロン美術館/※展覧会図録)

『鴨居玲展 人間とは何か?』に行ってきたのだ!

40点ほどの小規模展示ながら、首吊りの襖や赤い自画像、苦悩が塗り込められた作品群に息が詰まる…!ことばの虚しさを感じさせる『紙風船』(↓2枚目)とか最高なのだ

鴨居玲は出版物がどれもプレミアなので新規図録が嬉しい!中村屋サロン美術館で12/4まで~


462.蘆屋家の崩壊 (津原泰水/ちくま文庫)

『蘆屋家の崩壊』は京極夏彦好きにも推薦の幻想文学なのだ

豆腐好きで意気投合した猿渡くんと伯爵の奇怪な日々。巨大蟹、鼠の少女、ケルベロス…いつ日常の一線を超えたか悟らせない語りの魔術。強烈な怪奇幻想とキャラ立ちの両立が絶品!

美酒にも勝る美文の陶酔。改めて津原先生のご冥福をお祈りします


463.異界出現 (内藤正敏/東京都写真美術館 ※展覧会図録)

アライさんの一番好きな写真家、内藤正敏の特殊写真を見てなのだ

ハヤカワポケットSFの装丁でも活躍した異次元の特殊写真に鳥肌立ちっぱなし。3枚目の目玉はバックベアードの元ネタ

後に即身仏を見て衝撃を受け、撮ってた写真を焼き捨て民俗学に転向するくだりもパンク!図録『異界出現』がおすすめ!



464.ケルベロス第五の首 (ジーン・ウルフ/国書刊行会)

『ケルベロス第五の首』は迷宮的叙述SFの傑作なのだ

奇妙な館に生まれた少年の回想、先住民の寓話、囚人の記録。3篇が相互に絡まり、クローンや自我を巡る多重構造の謎を描く。私たちは人間なのか。人間に擬態した異星人なのか──

曖昧で難解だが叙情的に謎めく1章からもう絶品。これは挑む読書!


465.悪魔の舌 (村山槐多/※青空文庫)

青空文庫で始めるエログロナンセンスは『悪魔の舌』がおすすめ

夭逝の天才画家・村山槐多が(多分)10代で書き上げたとされる怪奇譚。自殺した友人が遺した手記より明かされる忌まわしき性癖の顛末は

20分ほどで読める短さながら異様な迫力!悪魔的筆致に呑まれる至高の一篇。絵と併せてぜひなのだ〜


466.ロイガーの復活 (コリン・ウィルスン/ハヤカワ文庫)

クトゥルー古典最重要作『ロイガーの復活』を復刊してなのだ

ヴォイニッチ写本はネクロノミコンだった?!ラヴクラフトやマッケンとの符号、ムー大陸、忍び寄る邪神の影……

膨大なオカルト知識のコラージュで、現実と創作の境界をぐずぐずに煮溶かす賢者の辣腕。これぞ「知識で書く」凄み!超好き!


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