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2022年11月

467.幻綺行 (横田順彌/竹書房文庫)

『幻綺行』で頭のネジを飛ばすのだ

時は明治、自転車世界一周旅行中の快男児・中村春吉が出会うSF怪奇難事件。人食い怪木、首が飛ぶ妖魔、魔神像、宇宙人……迫るピンチの数々を、賢いヒロインの機転で脱してまあまあ雑にやっつける!

一人称が「わが輩」でもうwwラノベより読み易い秘境小説なのだ〜


468.月面文字翻刻一例 (川野芽生/書肆侃侃房)

月蝕の夜は『月面文字翻刻一例』を読むのだ

触れたら砂になってしまいそうほど精緻な言葉で紡がれる、月や夜や眠りの幻想。腐り堕ちた天使の眼球を探す「天屍節」異形の医者綺譚「蟲科病院」が特に絶品!

山尾悠子直系の"世界が言葉でできている"美しさ。1〜2枚の掌編が多いので、幻想文学入門にも〜


469.煙鳥怪奇録 忌集落 (煙鳥、吉田悠軌、高田公太)

『煙鳥怪奇録 忌集落』がついにドロップしたのだ!

不幸が連続する土地で何が行われていたのか——ネットでも話題騒然、残穢の禍々しさと変な家の実話性を併せ持つ稀代の大ネタ『土地遣い』が書籍で進化

吉田悠軌、高田公太がトリッキーな構成で脇を固め邪悪さ倍増。実話怪談のネクストレベルなのだ~!


470.砂丘律 (千種創一/ちくま文庫)

本日文庫版発売!『砂丘律』はアライさんイチ推しの歌集なのだ

写真フォルダにいつの間にか紛れていた風景や、古都から届く手紙のような、控えめな物語を孕んだ短歌たち

解説は『宝石の国』作者!『オールアラウンドユー』で短歌に目覚めた方にもおすすめの、スッと世界が静かになる読書体験なのだ〜


471.私が選ぶ国書刊行会の3冊 国書刊行会創業50周年小冊子 (国書刊行会/※無料配布小冊子)

https://www.kokusho.co.jp/50th/recommend

新宿紀伊國屋書店さんの国書刊行会50周年フェアで、記念小冊子げっとしたのだ〜(^^)

オーケンが『モスマンの黙示』を挙げてたり、米光一成さんが『高原英理恐怖小説集成』挙げてたり、酉島伝法先生や川野芽生先生が『山尾悠子作品集成』について書いてたり、最高……さいこう……


472.感応グラン=ギニョル (空木春宵/東京創元社)

今年最強ゴシック小説は『感応グラン=ギニョル』一択なのだ

人体欠損少女らの破滅を描くダーク大正ロマン、半人半蛇の生成りと化した娘同士の恋、ゾンビ化する少女たちの女学校が舞台の「花物語」

とろりと甘美な痛みの感覚はまるで読む自傷。美醜を揺さぶりつつも濃厚な百合描写に性癖が!性癖が!

これ、ほんと一夜にして開けちゃいけない趣味趣向の扉がぜんぶ開いちゃう可能性大のとんでもない魔書なので、百合、耽美、ゴシック、暗黒小説に興味のある方はぜひなのだ……魔道に堕ちよう?


473.池田得太郎異端小説集 (池田得太郎/miyauchibooks ※同人誌)

倉阪鬼一郎をして「戦慄のカルト小説」と評された伝説の芥川賞候補作『家畜小屋』が『池田得太郎異端小説集』で読めるのだ

血と汚物でべとべとに穢れた鬼気迫る文体で、豚として生きる妻との異常な夫婦生活を記す陰鬱な短編

後に失踪した著者の知られざる変身小説も併録!同人出版ながら偉業なのだ〜

登録が要るけど、何作かは国会図書館のデジタルアーカイブでも読めるようになってるのだ……!

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1345025


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