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2023年3月

492.よぎりの船 (小田雅久仁/惑星と口笛ブックス ※電子書籍のみ)

『残月記』小田雅久仁の、電書でしか読めない大傑作短編『よぎりの船』を見つけるのだ

幼少期から視える奇妙な存在は、みな東を目指していた。身体から抜けた孝明は彼らの遍歴に加わり──

風土とSFを柔らかく結ぶ幻想と圧倒的巨視感!生死のあわいで寂光を放つ物語。大森望も恋焦がれた奇跡の一篇!

これ、筋書きより情景と幽明の手触りが最高に素晴らしくて、日本幻想文学史に名を残すべき名短編だと思うのだが、著者のWikipediaにすら載ってないのだ……読んで……


493.腿太郎伝説(人呼んで、腿伝) (深堀骨/左右社)

面白いフィネガンズウェイク?!各界震撼の特級奇書『腿太郎伝説(人呼んで、腿伝)』が最狂なのだ!

うねうね触手が沸きそうな文体と面白ワードのマシンガン乱射!エロや昭和やナンセンスを呑み込み異様なドライヴ感で進む悪夢の果ては――

これぞまだ誰も読んだことのない小説!
深堀骨が、帰ってきたのだ



494.ゴニラバニラ (舟崎克彦/角川書店)

『ゴニラバニラ』を探せ──民俗学者の父が言い遺した謎の妖怪は何処に。恋人に振られ、河童に金玉を抜かれるなどしながら舞台は沖縄へ

くる魔、うん痴…時代性を考慮してもなお酷い妖怪たちが襲いくる残念な稲生物怪録!含蓄あるけど酷いオチも炸裂の発掘ナンセンス小説

な、何だったのだこの本……


495.二年四組交換日記 (朝田雅康/集英社スーパーダッシュ文庫)

異端のパズラーラノベ『二年四組交換日記』に挑むのだ

問題児が集められたクラスで強制的に始められた交換日記

巻頭カラーにはクラス35名の顔、あだ名、派閥リストが付録。日記中のヒントから各々の本名を推測する、名前当てゲームのギミックが仕掛けられた珍品。群像劇としてもちゃんと面白いのだ〜


496.文字渦 (円城塔/新潮文庫)

日本が誇るボルヘスマシーン・円城塔からは『文字渦』をご紹介

虫籠の字を戦わせる闘字、本文の呪縛から解き放たれ語り出すルビ、上空に現れた漢字群を凸が撃ち落とすインベーダー

校正者発狂!言語SFに中国偽史が交わる難解な内容だが、妙にトボけた味わいの愉しい短編集。想像力の限界に挑むのだ〜

ちなみにタイトルの元ネタは中島敦『文字禍』(漢字が紛らわしいのだw)

こちらも古代アッシリアを舞台に、文字の霊性と呪いを描いた名篇!青空文庫で読めるのでぜひ〜



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