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2023年1月

480.空を飛ぶパラソル (夢野久作/角川文庫)

1/4は夢野久作のハピバ!『空を飛ぶパラソル』でひとつ上の久サカーになるのだ

報道倫理を主題に唯一無二のビジョンを描く表題作、ユーモアだが妖気が濃すぎて何だかもうな『いなか、の、じけん』、ぷちドグラマグラこと『キチガイ地獄』、エヘヘオホホな暗黒夢十夜『怪夢』と佳品揃い

東雅夫の新解説も必読!


481.自生の夢 (飛浩隆/河出文庫)

AI自動生成が旬の今こそ『自生の夢』を読むのだ

文字や映像を汚染する怪物<忌字禍>に対抗するのは、言葉で73人を自殺させた殺人鬼――

70頁強の短編ながら脳が焼き切れるスケールとスリル、幻想的ビジョン、元ネタが詰まった究極のAI/言語SF!本を読んでいるのか、本に読まれているのか……人を呑む怪作!


482.ダブルブリッド (中村恵里加/電撃文庫)

電撃文庫のKindleセールではダブルブリッドを…どうかダブルブリッドを買うのだ…

けだるげロリ姉さんと正義くんのバディもののはずが、肉体がひしゃげ、すれ違う心が悲鳴を上げる骨太な異種間コミュニケーションへと展開

幾多の読者の心に爪を立ててなお昏く輝く電撃最高作!ラノベっ気も薄め!


483.つげ義春日記 (つげ義春/講談社文芸文庫)

つげ義春と云えば、一昨年文庫化した『つげ義春日記』も妙味なのだ

淡々とした只の日記なのだが、不安神経症と絶望、貧しさが滲む乾いた文章は、なぜか心が鎮まり癒されるアンビエント効果有。『無能の人』まんまのカメラ修理話や、唐十郎、水木しげるの名も

人の日記って何でこんなに面白いのだ……



484.クレーン男 (ライナー・チムニク/パロル舎)

ぎすぎすした社会に疲れたら『クレーン男』でチルするのだ

クレーンに魅せられて棲みついた男が見守る町の興亡。サーカスの象を助け、海賊を退け、街が滅んで海になり、やがてまた街が生まれ……

イカれた個性をふわりと受け入れる町の余白と、粋な線画が深い印象を残す奇妙な寓話。翻訳は矢川澄子!


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