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2022年12月

474.愛人 (田中ユタカ/ジェッツコミックス)

『愛人』は屈指の隠れた名作漫画なのだ

余命わずかのイクルと終末医療用の人造人間あい。死に向かう二人の生活と地球の危機。上位存在。最終戦争。そして溢れ出す呪い――

反出生に反駁する苛烈なメッセージと、絶望に塗れながらも一筋の希望に手を伸ばす叛逆と祝祭の物語。エヴァや最終兵器彼女と並んで語られるべき大傑作!


475.フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人 (佐藤友哉/星海社)

受賞時19歳の著者が書き上げたゼロ年代最凶ミステリ『フリッカー式』が復刊してるのだ

シスコンお兄ちゃんの復讐劇だが、軽薄な語り&狂人だらけの物語、突然の向井秀徳などサブカルネタ満載の壊れた世界観は、若さ故の才能と痛さが大爆発!

人は選ぶが癖になる、分かり易く100点か0点の作品なのだ

476.鬼桃太郎 (尾崎紅葉/※青空文庫)

尾崎紅葉『鬼桃太郎』は青空文庫でも読める怪作なのだ

桃太郎により壊滅した鬼ヶ島。阿修羅川に流れ着いた桃から生まれた青鬼・苦桃太郎が、毒龍、大狒、狼を連れ、桃太郎に復讐する——!

きび団子の代わりに差し出す髑髏!打ち切りみたいな謎のオチ!幼年向けなのに難読で邪悪な字面!何なのだこれw


477.詩歌探偵フラヌール (高原英理/河出書房新社)

『詩歌探偵フラヌール』極上だったのだ

散歩小説にして詩歌紹介小説。トリッキーに飛び跳ねる文体が詩のリズムをまとって、朔太郎や左川ちかへとシームレスに接続する奇跡の名人芸!

乱歩や最果タヒも登場。ミルフィーユを一枚一枚剥がして食べるようにじっくり読んだら、詩を拾いに街へ出るのだ〜


478.ゼウスガーデン衰亡史 (小林恭二/シティブックス ※電子書籍)

今年読んだ本ベストは『ゼウスガーデン衰亡史』なのだ(刊行は87年)

下高井戸の弱小遊園地が巨大帝国都市に発展する様を描く、驚異の遊園地+架空都市+偽史小説!鮫入りプール独立、元老院設立、自殺アトラクション…奇天烈すぎる年代記は奇人だらけの銀英伝状態

SFまで到達して破滅する最期も最高!紙本はプレミアだが電子書籍で読めるのだ~


479.カシオペアのψ (シャルルマーニュ・イシール・ドフォントネ/国書刊行会)

『カシオペアのψ(プサイ)』は国立図書館で120年眠っていた書物をクノーが発見した幻の奇書なのだ

隕石に収められ飛来した書物が語る外惑星の文化。天体、歴史、都市、宗教、芸術…博物誌的スリルとロマン派の詩情で幻視した、SF前夜の「未来小説」!

世界幻想文学大系の装丁も最強!津原泰水も愛した作品なのだ〜


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