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劇作一覧

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私が脚本と演出、舞台監督を手掛け、実際に舞台で公演したことのある戯曲の一覧です。 ほとんど当て書きしたり、舞台環境を考慮して制限された中で書いています。 ある程度設備のない舞… もっと読む
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【戯曲】山田という名の死神①

【戯曲】山田という名の死神①

□ 登場人物 
○ 男
商社で働く54歳男。家庭を省みず、仕事一筋で傲慢な態度をとっていたため、15年前に妻と娘に逃げられる。その5年後にはその妻が病死。娘とはそれ以来会っていない。それからは全てを忘れるかのように仕事に没頭、部下からも鬼上司として恐れられている。故に趣味もなく、友人もいない。仕事関係でしか人間関係がなく、かなりの人間嫌い。関西弁を話す。

○ 山田 太郎 (死神)
突然、男の前に

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【戯曲】山田という名の死神②

【戯曲】山田という名の死神②

□ シーンⅡ [大輔・洋子・娘・由美] (5分) 

別の路上。
一組の会社員風の男女(大輔と洋子)登場。時計をチラチラ見ながら、行ったりきたりしている。男と待ち合わせているのだが、なかなか来ない。顧客とのアポイントメント時刻が迫っている。

大輔 「ああ、おっそいな。人には時間守れとか15分前行動!とか言ってるクセに自分はこれだもんな。もうすぐお客さんとのアポの時間だっつの!」
洋子 「携帯もつ

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【戯曲】山田という名の死神③

【戯曲】山田という名の死神③

□ シーンⅣ [大輔・洋子・由美・カレン・ロザリー]  (15分) 

公園。
大輔と洋子登場。営業先から戻るところでベンチに座り一息つく。
大輔 「あ~。疲れた!あれだけの規模となるとさすがに緊張しますね」
洋子 「ふぅ……」
大輔 「しっかし洋子さん、やりましたね!(ガッツポーズで)大型顧客ゲッートォ!」
洋子 「(何か思案しつつ)そうね……」
大輔 「ついに眠っていたおれの営業手腕

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【戯曲】山田という名の死神④ 終幕

【戯曲】山田という名の死神④ 終幕

□ シーンⅤ[男・娘・山田・洋子・大輔・N] (25分) 

男の妻が眠る墓地。
男、板付き。花束と小箱を持っている。
明転。
男、花束を舞台ツラ中央に置く。

男 「(しまっていたバラを取り出し)いよいよ、あと一枚か」

娘が登場。

娘 「お父さん、どうしたの?急にお母さんの墓参りに行こうだなんて……」
男 「(慌ててバラをしまう)あ、ああ。あれから10年やからな。お前の結婚

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