もげるブックス

柴田聡子さんやフリッパーズ・ギターの作品の鑑賞と考察。 「食べること・寝ること・しば…

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柴田聡子さんやフリッパーズ・ギターの作品の鑑賞と考察。 「食べること・寝ること・しばたさとこ」 というくらい、柴田聡子さんの作品を毎日聴いています。

最近の記事

小説『Feel Flows』⑩

前回はこちら↓ (十) 「親友とはこのひとだ」といえるほど信頼するMに連絡をとってみた。 もしかすると、よきアドバイスをもらえるかもしれない。 LINEで連絡をとった。 直近で、「5月に会えたら会おう」という約束をしたあとだったので、まずはその話の詳細をすませた。 さて、ここからは自分の悩みを伝えるタイミング、と思い慎重にLINEの送信フォームに文章を打った。 しかし、送信前に読み返してみると一般論のようにスカスカの内容にしかなっていなかった。 「だめだ、こんな雑な書き

    • 小説『Feel Flows』⑨

      前回はこちらです↓ (九) 友人とはどんなひとのことをいうのだろうか。 つまり、「友人の定義」とは何か。 そんなことを考えたことはないだろうか。 そういえば、大学生の頃に友人と思っていたひとから「君は知り合いであって友人ではないよね」とわざわざ確認されてショックを受けたこともある。 友人や友達とは「一方通行の思いでも成り立つ関係性である」というのが僕の考えだ。 例えば、もし「人類はみんな自分の友達と思っている」というひとがあれば否定したくはならずに、そう思いたければど

      • 小説『Feel Flows』⑧

        前回はこちらです↓ (八) 以前かかりつけの内科の医師から言われ、忘れられないことばがある。 それは 「もし君が"自分が行っている習慣は何?"とたずねられたら、いくつか答えを挙げるだろう。だけど、残念ながらその中に答えはない。なぜなら、習慣というのは無意識のうちにやっているもの。自覚して、意識できているものは習慣ではないからだ」というものだ。 無意識にやっているもの、無自覚に続けているものが今の自分を作っている。 なんとなく、それは当たっているような気がした。 僕が無意

        • 連載小説のタイトルについて

          こんにちは。桐山もげるです。 先週からこのnoteで連載を続けている小説のタイトルが決まりました。 『Feel Flows』です。 タイトルに込めた意味は、「見るもの、聞くもの、触るものによって主人公の感情が大きな川のように蛇行しながら流れていく」というもの。 僕の大好きなビーチ・ボーイズの曲のタイトル"Feel Flows"が元ネタです。カール・ウィルソンとバンドマネージャーのジャック・ライリーの共作の曲ですね。 悩み事を抱えた主人公は、その悩みの解決方法がわかりませ

        小説『Feel Flows』⑩

          小説『Feel Flows』⑦

          前回はこちら↓ (七) 自動車を運転する帰り道、西の空に「か細い線」のような月が見えた。 「なんてきれいなんだろう」。 すぐに路肩に止めてスマホで写真を撮りたかったが、交通量の多い道路で迷惑になりそうでそれはやめた。 今日の月は三日月。 三日月はこれから満ちていく成長が約束された状態でありながら、いま現在でさえ特徴的で美しい形状をしている。 そう考えると「なんとうらやましい存在なんだろう」と思う。 これまでそんなことに思い巡らせたことはなかったが、もしかすると三日月をうら

          小説『Feel Flows』⑦

          小説『Feel Flows』⑥

          前回はこちら↓ (六) これは、他の人にもあることだろうか。たまに僕は、自分が誰なのかわからなくなることがある。 そうなることが多いシチュエーションは昼寝から目覚めたばかりのとき。まどろみのなか、 「あれ、この世界はなんだ。 僕は起きてるのか、寝ているのか。 生きているのか、死んでいるのか……。 感覚があるということは生きているということか。 そもそも僕は、誰だっけ」 このような思考が巡り、自分が誰なのか、そもそも生きているのかどうかすらわからなくなることがある。 荘子

          小説『Feel Flows』⑥

          小説『Feel Flows』⑤

          前回はこちらです↓ (五) 日常のなかで、僕は生活をしなければならない。なんて当たり前で、なんて簡単なことで、なんて大変なことなんだろう。 生活をするために、僕は仕事をする。 朝、決まった時間までに起き、身だしなみを整え、これをやらないと生きていけないからと自分を律し、組織に順応し、得た対価の一部を国や自治体に納税する。 「趣味」とは仕事で感じる大変さから逃れる時間を作ることではないかと思う。 仕事は対価をもらうために、腑に落ちないことやつらいことを我慢することも出てく

          小説『Feel Flows』⑤

          小説『Feel Flows』④

          前回はこちらです↓ (四) メッセージの内容はそれぞれ、次のようなものだった。 ・自身にとって、あなたの活動はとても面白いもので楽しみにしていた。 ・何があったの? ・なにか、誤解をしている可能性はないかな?よく確かめてみて。 ・また活動される日を楽しみに待している。 僕のアカウントにこのような温かいメッセージが届いた。 そんな。 僕の発信を楽しみにされている方がいらっしゃる? まさか。 僕はいつもひとりでいるような気がしていたのに。誰も助けてなんかくれないと思ってい

          小説『Feel Flows』④

          小説『Feel Flows』③

          前回はこちらです↓ (三) 「さて、気持ちを切り替えよう」 そんな言葉が口をついて出た。切り替えるといっても、今自分がどんな気持ちなのかもわからなければ、どの気持ちでいることが正解であるかわからない。でも、この言葉によって少し冷静になることができた。 自身の想像の世界ではなく、自分の身に起きている事実に目を向けよう、と視野が回復した気がした。 もし、「このアカウントでの活動をやめてほしい」と望まれるならば、やめる覚悟はある。しかし、現状そのように言われたわけではない。

          小説『Feel Flows』③

          僕の好きな歌②"One Fine Day"Gerry Goffin and Carole King

          One Fine Dayこんばんは。僕の好きな歌2回目は"One Fine Day(和訳タイトル:素敵なある日)"です。 1963年にアメリカのガールグループ、The Chiffonsによって発表されました。作詞・作曲はGerry Goffin と Carole King(当時夫妻として活躍されたソングライターチーム、The Goffin &King)です。 僕は、過去元気がないときにこの曲に何度も励まされています。 最近もこの曲に元気をもらいました。 YouTubeにな

          僕の好きな歌②"One Fine Day"Gerry Goffin and Carole King

          小説『Feel Flows』②

          前回はこちらです↓ (二) 起床後、僕はいつものようにスマホでSNSのページを立ち上げていた。つい昨日「しばらくSNSとは離れて過ごそう。つらい思いが増幅するだけなのだから」と思っていたのに。 この行為はどうやら僕の習慣になっていたらしい。 ちなみに、「スマホやSNSは、もはや生活とは切り離せないものだ」という提言に同意するひとはこの世界にどのくらいいるだろう。この小説がSNSで発信されていることもあるため、今この文章を読んでくださっているあなたならきっと同意されるか、「

          小説『Feel Flows』②

          【新連載】小説『Feel Flows』①

          新連載をはじめます。 この物語は、ある架空の人物に突然人生を照らす光が届かなくなり、彼が冷たく暗い境遇に立つところからスタートします。 念のために申し上げると、この話はフィクションであり、実在する人物とは全く関係がありません。 (一) 水温躍層ということばを知っているだろうか。海や湖などに飛び込み、底に向かって一定の速さでどんどん潜っていくと、ある深さを超えたところで急激に冷たい水に囲まれる。水温は上から下に向かって徐々に一定の割合で冷たくなるのではなく、ある境目を超えると

          【新連載】小説『Feel Flows』①

          僕の好きな歌①"Rainy days and mondays"Roger Nichols / Paul Williams

          こんばんは。桐山もげるです。 この記事では古今東西で発信されている僕の好きな歌の歌詞をご紹介します。 英語の詞の場合には、対訳をトリンドル弘美さんにお願いをして書いてもらいます。 Rainy days and mondays 第1回目の今日は、Roger Nichols作曲/Paul Williams作詞の"Rainy days and mondays"。和訳のタイトルは『雨の日と月曜日は』です。 1971年にCarpentersのシングル曲として発表された曲です。 作詞家

          僕の好きな歌①"Rainy days and mondays"Roger Nichols / Paul Williams

          今後のもげるブックスの活動について

          こんばんは。もげるブックス店長の桐山もげるです。 この度、もげるブックスで取り扱っていた ZINE『100mをありえないような速さで走る50の方法』1集・2集、『α and a』vol.1、増刊号は販売を休止することにいたしました。 ご注目していてくださった皆様、誠にありがとうございます。 現在取り扱いの本がないため、もげるブックスの書籍販売自体を当面の間休止することとなります。 記事の公開はnoteにて続けたいと考えております。 どうかご理解いただけましたら幸いと存じま

          今後のもげるブックスの活動について

          大好きな柴田聡子さんについて語りたい(25)〈ネタバレ注意〉柴田聡子 Tour 2024「Your Favorite Things」東京初日公演の雑感 僕はずっとこの日の柴田さんに会いたかったのかもしれない

          ※この記事は現在進行中の柴田聡子さんのライヴツアー「Your Favorite Things」の様子を含む記事になっています。これからツアーに参加される方でネタバレを気にされる方はご注意ください。  こんにちは。柴田聡子さんのファン(ゴツリス)のきりやまです。 これは2024年3月2日(土)に柴田聡子さんのライヴツアー Tour 2024「Your Favorite Things」の初日公演に行ってきました。そのライヴについて感想を綴った記事です。 冒頭にも書きましたがライ

          大好きな柴田聡子さんについて語りたい(25)〈ネタバレ注意〉柴田聡子 Tour 2024「Your Favorite Things」東京初日公演の雑感 僕はずっとこの日の柴田さんに会いたかったのかもしれない

          大好きな柴田聡子さんについて語りたい(24)新曲『Side Step』リリース!

          おはようございます。きりやまです。本日2月21日に柴田聡子さんの新曲『Side Step』がリリースされました! この曲は2月28日発売予定の新アルバム「Your Favorite Things」に収録されることも告知されています。アルバムも、来週発売なんですね!もうすぐ!! 各種リンク Spotify https://open.spotify.com/intl-ja/album/4XxZJsBbE0O0hUhNUvvKHt?si=wtwc8rbsSgiZur6_P-l

          大好きな柴田聡子さんについて語りたい(24)新曲『Side Step』リリース!