小説『Feel Flows』⑨

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(九)
友人とはどんなひとのことをいうのだろうか。
つまり、「友人の定義」とは何か。
そんなことを考えたことはないだろうか。

そういえば、大学生の頃に友人と思っていたひとから「君は知り合いであって友人ではないよね」とわざわざ確認されてショックを受けたこともある。

友人や友達とは「一方通行の思いでも成り立つ関係性である」というのが僕の考えだ。

例えば、「人類はみんな自分の友達と思っている」というひとがあれば否定したくはならずに、そう思いたければどうぞ、と思う。

・消しゴムを忘れたとき、貸してくれるひとは友達
・平積みの本を買う際、一番上からではなく二段目から選ぶひとは友人
・犬好きのひとは友達
・びっくりドンキーにいくといつもチーズバーグディッシュを注文するひとは友人
・僕の好きなアーティストの歌を好きなひとは、みんな友達

こんな風に、相手の許可なんか関係なく友達を増やすことができてしまう。

かといって、もし友人と思うひとに
「僕はあなたを友人と思っているのだけど、僕はあなたの友人でもあるのだろうか」
なんて聞いてしまうと、エキセントリックかつややこしい物言いになるだろう。

きっと、世の中には
「何も言わないままでも、友人であることを疑わない関係」
「あとでそのひとに、私たちは友人じゃないよね、と言われたとしても友人と思っていることを後悔しない関係」
が存在するのだろうと思う。
そんなひとがいたら、なんと心強いだろう。

ふと、僕にそんな存在がいるだろうかと考える。
「いる。あのひとだ。きっとあのひとなら友人といえる」

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