小説『Feel Flows』⑩

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(十)
「親友とはこのひとだ」といえるほど信頼するMに連絡をとってみた。
もしかすると、よきアドバイスをもらえるかもしれない。

LINEで連絡をとった。
直近で、「5月に会えたら会おう」という約束をしたあとだったので、まずはその話の詳細をすませた。

さて、ここからは自分の悩みを伝えるタイミング、と思い慎重にLINEの送信フォームに文章を打った。
しかし、送信前に読み返してみると一般論のようにスカスカの内容にしかなっていなかった。
「だめだ、こんな雑な書き方だと正確に伝わらない」
一旦消し、もう一度丁寧に相談したいことを書いた。

「今度は突然深刻な長い文章になって引かれてしまうかもしれないな」
また全部を消す。

細かく状況を説明することばを書くほどに、自分が置かれている状況を客観的にあらわしていないような気がして、しっくりこない。
主観的なことばも多分に入ってしまっていることも自分で気に入らなかった。
これだと「僕をなぐさめてほしい」と言っているようにしか見えない。
僕は、なぐさめが欲しいのではなく、解決方法をみつけるアドバイスを欲しいのだ。

そこで、次のように書いてやっと送信ができた。
「ごめん、実は相談に乗ってもらいたいことがあるんだ。
だけど、文章で書くと正確に伝えられない気がして……今度会った時に話してもいい?」

すると、即返事が来た
「会って話してももちろんOK。でも、すぐにでも解決したくないの?よかったら、電話しようか」

「電話」という手段があることをすっかり失念していた。

そして、ああやっぱりMは僕の友人なのかもしれない、と思った。僕の状況を、何も言わなくても察してくれた。
たとえ「君は僕の友人?」と尋ねて「No」と返事がきたとしても、僕はこのひとを友人と思っていたことを後悔はしないと思える。

そんなことを考えていたら、LINE電話の着信音がなった。Mからだった。

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