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時の風景⑬ ~Sauce(ペルー)より -中編~

これまでに引き続き、旅の最中に書き留めていたことを。

温度感やその時の香りを残すため、編集はあまりしていません。それでもよければぜひ。

見たり聞いたりしたことに、僕の勝手な推測や解釈をのせていることがあります。内容はあてにしないでね。

7/10~7/23 Sauce

Workawayのボランティア生活。
前編の記事はこちら。今回は7/12~7/23の日々を綴ります。

朝、目が覚めた時のこの景色が大好き。(マットレスは安物だった。)

ここでは1日のほとんどを屋外で過ごす。

冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、オーブン無し。もちろんテレビなんかあるわけない。USBの充電が2箇所あるだけでコンセントも無し。

水道までは歩いて1分かかるから、基本そこからまとめて水を持ってきておいて洗い物や料理に使う。


7/12

さて、前回書ききれなかったピザパーティーにお話から。

WorkawayホストDiegoのお友達でサウセ在住のJanetがなにかのエピソードをめっちゃ話してくれるのでLauと一緒に聞いていた。

僕はふむふむ、へー、といい感じに相槌を打つ。Lau は時々質問したりコメントをする。途中からJanetは明らかに僕に向かって話してる時間が長かったんだけど、実は僕は何も理解していなかった。単語でわかるやつはちょこっとあるくらい。結局10分くらいJanetは話していた。

たぶん僕が理解してるふうに見えてるんだろう。申し訳ないような気もしつつ、楽しそうに喋っていたから別に申し訳なくはないか。こっちもなにを話しているのか想像したり、普段より言葉以外のコミュニケーションに意識が向いたりで、けっこう楽しかった。

でも、くどいようだけど、本当に内容は何もわからない。その現象自体が自分としてはおもしろい。


Lauが作ってくれたピザは日本やヨーロッパのお店レベルでおいしかった。南米で食べるピザは大抵あまりおいしくなかったので本当に感動した。アルゼンチン人まじでみんな料理できる説。今のところ崩れていない。


お礼の気持ちをどう表現しようかずっと考えてて、洗い物をしたりみんな用に買ったビールの残り1本をあげたり。喜んでくれたからよかったかな。

いい人だと思われたいみたいなくだらない気持ちももちろんあっただろうけど、第一にどうにかしてこの感謝の気持ちを伝えたいという想いがあって、それが伝わってればいいなと思う。

ただし、伝わってなくても構わない。放り投げた先でキャッチされるかどうかはコントロールの及ぶ範囲ではないし、期待していいことでもないと思う。自己満足ばんざい。


夜、拠点に帰ってきたらホタルが見えた。高い木の上で、少ししかいなかったけど、たしかにホタルだった。海士の友人が去年発見した、ライトを当てると光返してくる方法を試したら、やっぱり光ってくれた。

最初ちょっと見えただけで、しばらく見れなくて、粘っていると蚊が集まってきた。もう自分の場所へ帰ってホタルや他の生き物たちのスペースを奪わないで、と促された感じが少しして、さっさと部屋に戻ることにした。

実際そんなものがあるかどうかは置いておいて、聞こえないもの、見えないものにも意識を向け、想いをはせられる人でいたい。


7/14

ボランティア仲間のIanがメッセージ確認したいから、とホットスポットを頼んできた。昨日は快く貸したけど、これが毎日のことになったら困るなあとちょっと抵抗を感じたりしつつ、断る理由もないなあと。

でも、彼がデータを使ってくれれば自分がスマホを使う時間は減る、使ってもらわなければきっと自分で使ってしまう。ちょっと痛いけど長い目で見たら絶対こっちのほうがありがたいのかなあとメタ視点の自分が教えてくれる。

たぶん、スマホの通信を「自分が所有しているもの」だと認知していて、短期的なわかりやすい見返りもなくそれを手放すことに、動物的に反射的に嫌だ、と反応している。


結局5分もせずにありがとう、終わった、と。なんか拍子抜けした。


予定の時間を過ぎてもDiegoが拠点に帰ってこない。仕事を自分で始めることはできるけど、今はやりたくないからやらなくていいや。

やっとこうよ、という自分はきっといいやつだと思われたいとか、ギバーだと見られたいとかそういうのだと思う。そんな理由で何かをやる、そういう癖はちょっとずつ減らしていきたい。褒められるために生きていくのはやめよう。(僕の場合は、自分の首が絞まっていく。)


~~

結局2時間ちょっと仕事をしていた。
サウセにきて、すごい感動を分けてもらっていて、こんなきれいな土地にダメージになるプラスチックが土の中に残り続けるのを自分が少しだけでも止められるということ。ワークアウェイという仕組みに本当に感謝しているのでこれがちゃんと持続可能であってほしい。そうも感じていたから。


それでも、1ミリも仕事していない他のボランティアを見ると何か言いたくなってた。雑念だなあと思いつつ、雑念あるんだよなあと。戦っても逆効果だと知っておきながら、正直、雑念なくなれ!と思ってしまう。(笑)

自分や誰かをジャッジして一喜一憂するより、ただの観察者として、人間への解像度を上げるための材料として見ていたらいい気がする。そっちによっていけば。

ちなみにりんとの場合。ちゃんと仕事するべきだから、というような動機はまったくなく、やってて(コツを見つけるのが)楽しい、あるいはやらないとさすがにまずい、ということでしか動かないらしい。自然体でそれができるのは健康的だなあと思う。

手前が時々木から落ちてくるルクマというフルーツ、奥がカカオ。

午後

なんだかコーヒーが飲みたくなったのでクスコで買ったちょっといいコーヒーをマグにいれて、そこにお湯を注いで準備する。(もちろんコーヒーを入れる道具などない。)

しばらくしたら粉が下に沈むだろうと思っていたけど、なかなかそうならないのでもういいやと思って粉も一緒に飲む。粉はやや苦すぎる感じだけど、とりあえずうまい。浮かんでいた粉が終わると、まじでおいしかった。久しぶりのコーヒーっていい。

味にめちゃくちゃ集中できて、満足感でいっぱい。生産者と太陽と売ってたおばちゃんとみんなありがとう。気のせいか、読んでいる『日本的霊性』も理解しやすくなっている。


7/15

金曜日なので昼飯後に町に降りた。降りてきてから「あれ、なんか特にやることねーなー」となって2時間くらい経った。ちょっと飽きている、そんな感覚はあるんだけど、体と頭のリズムがこれまでと違う。たとえば夜行バスを待っていたときとは。ぼけーっとベンチに15分座り続けるなんて、これまではできなかった。


壊れかけのサンダルを直すための接着剤も、絶対売ってそうなお店を何軒か通り過ぎたのに「なんか疲れたなー。店の人と話すのめんどいなー。明日でもいいやー」とスルーしている。


全体的に、ポケーっとしている。不思議な感覚だ。何かを焦っている感じがまったくない。なんでもいいやあ、みたいな。というか、それすらあんまり考えていない。この状態なんかいい。

7/16

昨晩は実質野宿だった。床が硬い。
借りた寝袋は臭いけど快適で、エアマットは起きたら空気が抜けていた。枕ないから薄っぺらいリュックで代替。まとまって寝れたのは3時間もなかった。鶏がうるさすぎて目が覚めた。5時。


高校時代の友人と電話。元気そう。本人が前より生きやすくなってる、楽しそうでよかった。そして知らない世界を聞かせてもらえる。人間について勉強させてもらってありがたいや。

家族とも電話。みんな健康そうで何より。

立派な竹。



~~

今回はこのあたりで。

「健康」ということがサウセ編のメインテーマかな。次回もその話が多くなりそうです。ここまで読んでいただいたみなさん、ありがとうございます。


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