見出し画像

【ときめき17選】恋をキリトル140字の物語 1



ごあいさつ


こんにちは。桐野りのと申します。
シナリオや小説を書いたりTikTok動画にチャレンジしたりしています。
2018年から2024年にかけて、コツコツと140字の恋愛小説を書いてきました。恋愛作家として胸キュンスキルを上げたかったんです。
また、私の書く恋愛小説を楽しみにしてくださる読者の皆様に、さくっと読んでもらえる連載を作りたいなあという考えもありました。
1000作書こうと最初から決めていたので、当時のキャプションは「胸キュンnovel1000本ノック」。
ネタは小学校低学年から書いている日記から拾いました。
片想いが多かった、と自分では思っていたのですが、なんとその相手から色鉛筆で書かれた暑中見舞いをもらっていたり、一緒にドライブをしていたり。
嘘、これ、あの時もっと頑張っていたら、今とは違う世界線があったのでは?なんて思うことも。
友人が言うには「記憶より記録だね」。
本当にその通りだなあ、と毎日日記から140字小説を作るたびに思いました。
自分は過去より未来に視線が向くタイプです。
思い出に浸ることってあんまりないです。
でも、思い出を書きつけた日記から物語の種を探す毎日は宝さがしみたいでとても楽しかった。
片想いが多かった、とわざわざ言うくらいなので、当然ながらさほど恋の経験はなく、加えて男性恐怖症とかも患っていたので男子との接触もあんまりなかったんです。
じゃあ、どうやって日記からネタをとるのよ、って話なんですが、そこは友達から聞いた話、友達とのエピソードを恋にちょこっと加工する、などなど工夫をしました。

1000作書き終えて思ったのは、恋ってやっぱりいいなあ、ってことです。

成就する恋も素敵だけど、片想いや告げない恋も、決して無駄じゃない。
実らなかった恋を、無駄にするのも糧にするのも自分次第だなあ。
恋をするって素敵だな。

この度もっとたくさんの方にも読んでいただきたいなと思いまして、何作かピックアップしました。
読んでいただけるととても嬉しいです!

【連載】恋をキリトル140字の物語

1話 ときめき17選

◇1

商店街の七夕まつり。
「今年こそ彼氏が欲しいです」
と短冊に。
「へえ。お前今フリーなん?」
背後に憧れの先輩がいた。
「俺が彼氏になったるわ。夢叶って良かったな」
ちょっと待て。こんなのただのパフォーマンスっていうか。
本気で望んでたわけじゃないっていうか。
慌てて逃げ出す。
幸せに慣れない私。

◇2

叱られてヘナチョコになっちゃった。
しばらくしょんぼりしてしまうよ。
君のせいだよ。
知らないよ。
私が悪いのわかってるけど
彼氏ならもう少し優しくして。
いくら1人前の社会人になれたとしても
ただそれだけじゃつまんない。
ショートケーキの苺が欲しいの。
わがままを言わせてね。私は君の特別だから。

◇3

「犬好きならさ、うちのチワワ見にこない?」
仲間がニヤニヤ笑ってる。
違う。確かにいつもの手だけどさ。
今回はかなりマジなんだ。
「写真あります?」
「ん、これ」
「わー可愛い」
目じりが下がって君こそ可愛い。
「ありがとうございます。これで十分」
下心バレた?
誰か教えろ。
真面目な子への攻略方法。

◇4

いくらオシャレに興味ないって、まつげパーマに気づかないのは許さない。
謝っても無駄。
乙女心が傷つきました。
初めてのデートにドキドキして
少しでも可愛いって思って欲しくて。
どれだけ好きかわからせたくて
言えない言葉をカールにこめた。
拗ねてる私をもっとなだめて。
ごめんね100で許してあげる。

◇5

「俺の恋人になってください」
夜桜の下で告白された。
ピンクの花びらひらひら舞って
それはそれはとても綺麗で
私の心はドキドキときめき
花と君のたまらない甘さに
あっけなく酔っ払ってしまいそう。
選択肢なんてひとつしかなくて
それでも何故か言葉がでなくて
ただこくりと頷いた。
春に始まるちいさな恋。

◇6

冬の動物園。
寒さにブルブル震えていたら
彼が私の手を握りコートのポケットに入れてくれた。
無口でポーカーフェイスでクールな彼。
でもその手のひらはとてもあたたかで私の胸は熱くなる。
生まれて1年経ってない子キリンの
白い息を眺めながら
繋がれた手のひらに力を込める。
小さな優しさ惚れ直したよ。

◇7

歯医者の先生に迫られた。
「今度デートしよ」
「フガフガ」
「日曜午後ね。迎えに行くから」
「フガ」
口を大きく開けた無防備な状態でいつの間にか約束成立。
バラの花を抱えてやってきた彼。
マスクの下にはモデル張りの美貌が隠れてた。
「行こうか」
笑うと真っ白な歯がこぼれる。
春先の恋。
始まりの予感。

◇8

‪3月はまだ肌寒くダウンジャケットで汽車に乗った。
ゴトゴト揺られて30分。
菜の花畑が現れた。
鮮やかな黄色に胸がときめく。
こんな素敵な風景に冬支度の私は似つかわしくなくて、
薄物のジャケットにすればよかったと激しく後悔。
思わず飛び降り菜の花を摘む。
遠い街に住む君に春色の私を届けたくて。

◇9

飛び入り参加のフォークダンス。
ペアになった人を押しのけて
背の高い男性が私の手を取った。
「俺と友達になってくれませんか?一目惚れです」
戸惑ってるうちにチェンジタイム。
「答えてくれるまで離しません」
音楽が続く中、導かれるまま外へ。
キャンプファイヤの炎にあおられ、掌と心が汗をかく。

◇10

色鉛筆で描いた猫のイラスト。
アナログな暑中見舞い。君らしいな。
葉書を買いに家を出て
自転車のペダルを思い切りこぐと
たちまち額に汗が滲む。
ああ、小さな胸がヒリヒリする。
この夏を私は絶対に忘れない。
下手くそな君の絵と一緒にきっと何度も思い出す。
甘い予感を噛み締めていた17の私。
特別な夏。

◇11

‪女の癖に変人だって私を弄りまくるゼミ仲間。
「別に普通だろ」
上田君がイラついた声で遮った。
しん、とその場が静まる中
「普通の…可愛い女の子だろ」
続けられた言葉に周囲は再び湧き上がる。
「庇ってくれたの?」
「違う。ただのカミングアウト」
彼が飲んでるのは烏龍茶。
素面の褒め言葉に心ときめく。‬

◇12

構ってくれないから拗ねたのに
ますます構ってくれなくなった。
ふーんそういうつもりなんだ。
じゃあもう私さよならします。
優しい人のところに行っちゃうよ。
試し行為が今度こそ成功。
君の視線が戻るのを感じる。
覚えておいて。鈍感な君。
どんなに忙しくても
女の子が拗ねた時には無条件に機嫌を取って。

◇13

いつもは素っ気ないあなたから
「早く会いたい」
とメールが届く。
2度見して赤くなって
嬉しさのあまりジタバタして。
誕生日も記念日も
全部スルーされたけど
たまに見せる熱い想いで
全部許してしまうのよ。
新幹線に乗って君の町へ。
ドキドキ鼓動が止まらない。
甘く切ない恋心と一緒に今の私を君に届ける

◇14

浴衣姿の君を見てどこかへ攫って閉じ込めたくなった。
マジで可愛い。可愛すぎる。
惚れ直すなんてもんじゃない。
国宝級の可愛さに目眩がしそうになるレベル。
こんな子が俺の彼女だなんて
夢でも見てるんじゃないのかなあ。
改めて言います。
大好きです。
一生大切にするから
これからも俺の横にいて下さい。

◇15

エアコン壊れた灼熱の部屋で
それでもイチャイチャしたい私たち。
汗だくになってつつきあって笑いあって抱きあって。
熱い青春過ぎていく。
嫌なこと沢山あったけど
こうしていると帳消しだよ。
筋トレしすぎで盛り上がった胸に
顔を埋め
ため息ひとつ。
愛してくれてありがとう。
頬と頬を擦り寄せ囁くわたし。

◇16

「あんた見てるとハラハラする。男は狼って思った方がええよ」
ランチでいきなりお説教。
「そんなことないよ。皆紳士だよ」
笑止!とばかりに高笑い。
だんだん腹が立ってきた。
「それじゃあ、君はどうなのよ。君だって一応男でしょ」
「俺はいいのよ。本気であんたを狙ってるし幸せにする自信があるから」

◇17
‪男友達二人と飲みに行き、帰り道で「寒い」と呟いた。
上着を貸りてペンギンになり、二人に手を叩いて笑われた。
ほろ酔い加減で腕を組む凸凹トリオ。
まん丸お月様を見上げて大声で歌う。
今はこんなに仲良しだけど誰かに恋人ができたら終わる関係。
鼻の奥がツンとする。
ムーンリバーのサビが少し切ない。


シリーズ

2話 スクールデイズ27選

3話 オフィスラブ27選

4話 恋に落ちる瞬間27選

5話 片想い16選

6話 失恋26選

7話 キス&ワンナイト6選

8話 いい奴7選

9話 メンター15選

10話 夢追う人10選

11話 ネガティブ5選

12話 バイト6萌2選

13話 憧れ21選

14話 ヤバい奴12選

15話 作家の恋13選

16話 連載4コマ小説メガネっ子

17話 連載:4コマ小説そば屋の店長

18話 連載:パン屋の店長

19話 年齢差7選

20話 仲良し9選

21話 色々28選

22話 恋愛小説風8選

23話 ファンタジー.SF.ラブコメなど23選


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?