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【連載蕎麦屋の店長4コマ小説】恋をキリトル140字の物語 17

◇1
そば屋の店長
歴代最高の忙しさ。
厨房もフロアもてんてこ舞い。
「足が棒だよー」
と一息ついたら
「お疲れ」
って大入り袋を渡された。
「店長。ありがとうございます!」
「あと1時間。頼むわ」
「はい!」
金一封以上に
気にかけてもらえたのが嬉しいんだ。
単純な私のエネルギー源。
渋い中年男の思いがけない優しい笑顔。

◇2
法令線が目立つかなりのおじさん。
「へいらっしゃーい」
二マッと笑ってそばを打つ。
惚れ惚れする動きがとても好き。
18になったばかりの私なんて
相手にならないってわかってる。
でもお嫁さんになりたいな。
貴方の横で笑ってたいな。
毎日お昼休みにたった1人で訪れる理由。
いつか気づいていただきます。

◇3
若い女性と話し込むそば屋の店長42歳。
「昔っから弱いんだよな」
「鬼店長唯一の弱点だな」
店員達がひそひそ話。
仕事中になんなのあれ。
イチャイチャは誰もいないところでしてよ。
蕎麦を運びながら聞き耳立てる。
「じゃ親父によろしく言っといて」
「マザコンだからな。店長は」
2重に驚きホッとする私。

◇4
40代の蕎麦屋の店長に恋した私。
彼女はなんと18歳。
私と同じ歳じゃない!
諦めなきゃ良かった。
無理じゃなかった。
常識に囚われ野生のシグナル見逃した。
ほんの少しの勇気があれば
隣で笑っていたのは私だったかもしれないのに。
こみ上げる後悔踏み越えて、
次の恋こそ全力で行く。
お幸せにね。初恋の人。

おしまい


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