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【仲良し9選】恋をキリトル140字の物語 20

◇1
振袖姿で初詣。私の彼はなんだか不機嫌。
「他の奴らがチラチラ見てる。お前俺のものなのに」
注目されてるのは君なんだけど
モテる女の子って思われたのが嬉しくて、自然に頬がゆるんじゃう。
2人でひいたおみくじ大吉。
「運命の相手。逃すな」だって。
神様には逆らえないでしょ。絶対に君を離さないよ。

◇2
「狩りに行こうぜ」
そんな誘い文句でモンハンやって
並んでエキサイトしてたらポツリと言われた。
「なあ俺と結婚せえへん?」
「ん?あ?ええけど」
適当に返事してハッとしたけど後の祭り。
「あんた!なんなんその適当なプロポーズ」
「さり気ない方が緊張せんから」
アホか。その緊張こそ醍醐味やろがい。

◇3
鰹と昆布だしになめこたっぷり。
あったかいお味噌汁。
ああなんだかとても幸せ。
私のために手を動かして作ってくれた1品が
涙が出るほど嬉しいんだ。
自宅勤務になったからって仕事量は変わらないのに
夕方の食事は自然に君が作るようになり。
いそいそと今日も家路へと急ぐ。
愛ある素敵なスイートホーム。

◇4
連絡無いので家に行ったら冷えピタ貼って寝込んでた。
「んもう。なんで早く言わないのよ!」
冷蔵庫にあるものでサクッとお粥作って
アーンで口に運んであげる。
「あちょっと待って」
ふーふーするの忘れてた。
世界の誰より大切な君に風邪菌なんて許さない。
1晩ずっとついてるから早く元気になりなよね。

◇5
元カノの写真をラップにくるみ
皿におき唐揚げたっぷりのせた。
「めっちゃ美味そうやん!」
全てを食べ終わった後凍りつく彼。
「断捨離してたら出てきたの。ちょっと脇が甘くない?」
「すみません」
「捨てとくね」
「はい」
意地悪したけど怒ってないよ。
貴方が私にぞっこんな事
流石にわかってますからね。

◇6
一晩の雪で辺りはすっかり銀世界。
東京育ちの彼は大興奮。
「どや!」
自慢げに披露したカマクラはテーブルセットつきだった。
君は全く特別だね。
なんでもない毎日を、ちょっとした工夫で特別にする。
半纏に猫を忍ばせ
2人と1匹でティータイム。
きな粉餅とほうじ茶美味しいね。
まったり過ごす幸せな午後。

◇7
秋の名残でお腹がすいて
ぷくぷく横に育ってく私。
「やばいぜ。どんなフォルムでもかなり可愛い」
カメラを向けて呟く彼。
たっぷり甘やかされて怠惰になって
もうこれ全部君のせいだから。
愛と希望を体の外側に蓄えて
手を繋いで木枯らしに耐えよう。
2人でえいやと季節を越えよう。
恋の熱で冬を溶かそう。

◇8
「少しは自分の頭で考えろ。素直なだけじゃ戦力にならない。頑固者よりはマシってだけだ」
入社して半年。主任の一喝に胸が震えた。
「悪い。全然覚えてねーわ」
白いタキシードの彼が頭をかく。
「その瞬間恋に落ちたの。成長させてくれるって思ったから」
自力で選んだ選択肢。
今日私は貴方の妻になる。

◇9
‪向かい合って菜の花のおひたし。
2人で味わう春の味。
ぽかぽか暖か昨日までの寒さが嘘みたい。
花粉症が辛そうな君に笑顔のエールをプレゼント。
スーツに着替えて途中まで一緒に歩き
またねって手を振りあって仕事に向かう。
結婚して15年目の春なのに
こんなに仲良しな私達。
君に出会えて本当に良かった。


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