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【憧れ21選】恋をキリトル140字の物語 13

◇1 
「この作家天才なの」
カフェで友人に喋ってたら隣席の人がコーヒーをこぼした。 
一緒に拭いてあげてる時Mac横の一冊に気づく。 
「もしかして貴方もファンなんですか?」 
ボサボサ頭に黒眼鏡の彼は照れたように笑い 
私は一瞬で恋に落ちる。 
彼は作家本人でやがてブレークするのだけれど、 
それはまた別な話。‬ 

◇2
男子の間で噂の彼。
「可愛い、オモロイ、好きかも」って。
どんな人かと期待してたら、地味で素朴な普通の子。
でも、男子に弄られてる姿にハッとした。
黙ってると普通だけど、動くと妙に可愛いんだ。
微妙な魅力が癖になる。
きっと女子にもモテるだろうな。
1分で心を掴みにくる、彼は凄腕パフォーマー。

◇3 
俺の今日の点数何点だった?
子犬みたいな目で尋ねられ 
毎回85点と答えてきた。
100点と言えば図に乗るし70点だと落ち込んじゃう。
君を転がす微妙なライン。
私は君の応援団。
本当は万点だよ。
君の作るものに胸ときめかせ私は今日も息をする。
もっとね私をドキドキさせて。
もっと世の中をわかせてあげて。

◇4
優しくないし意地悪だし彼女いるし
何片想いやっちゃってんのと自分で自分が情けない。
でも無理だ。
君が踊るともう絶対目が離せない。
まるで真剣を背負ってるみたいな
その迫力どこから出るの。
君のステップが軽やかな手が
君の動きがたまらなく好きだ。
どんなに遠くても君を見つける。
私は君を愛してる。

◇5
「電球を脚立無しで変えられるなんて凄いね。ありがとう。また切れたらお願いね」
身長で褒められても俺別に嬉しくなんかないし。
才能じゃないし。
生まれつきだし。
「わあ、大きな手。何でも掴めそう」
それもさ全然嬉しくないし。
もっとこう、別なのくれないかなあ。
俺たちわがまま保健室入り浸り軍団。

◇6
「未来を見ていないと老け込むやろ」
少年みたいな笑顔の君。
周りの子達にキャーキャー言われてすっかりいい気になってるんでしょ。
私のことなんて忘れてるんでしょ。
いいよ。私だって他の人と遊んじゃうから。
な~んてね。
無理なのあなたが好きなの。
恋人だなんてもう思えない。
私は君の一番のファン。

◇7
雨に濡れた君に傘を貸し
翌日風邪で寝込んだ私。
「だから相合傘で帰ろうって言ったのに」
「無理です。ファンクラブの面々に恨まれちゃう」
「自分が濡れてどうすんだよ」
「落ち込んでるの慰めたいと思って」
「…」
「でないと公園でびしょ濡れになってませんよね」
「生意気な」
君に笑顔が戻って良かった。

◇8
貴方が煙草に火をつけて
ああまだ私と一緒にいてくれるんだなって
切ないほど嬉しくて。
まるで片思いしてるみたいだ。
幸せにちっとも慣れなくて。
ずっとドキドキしてる。
嫌われたらどうしよう。
先に見つけたの私だから無理に付き合わせてるのかもと不安になるんだ。
甘くて苦い初恋の味。噛み締めてます。

◇9
いつか恩返しに行くからと
10年前の約束を私はずっと覚えてた。
辛くて逃げ出したくなる時はいつもその約束を思い出していた。
夢でもいい嘘でもいい。
それはたった一つの希望だから。
待たせたなと笑う君の笑顔は太陽みたいに眩しくて。
思わず泣き笑いを返してしまう。
恩返しなんていらない。ただ愛して。

◇10
どんな人が好きと聞かれてダンスの上手い人と答えた。
俺の事? と聞かれてそうですと頷いた。
優しくなんかないしそもそも私に興味ないし
叶わない恋とわかってる。
それでも君から目が離せない。
君の胸の奥にあるダイヤモンド。
輝きに心囚われる。
才能をずっと推していくから。一生君を見つめてくから。

◇11
君を全身コーディネートしてあげるなんてほざきつつ
わざとダサい服ばかりチョイスする。
他の奴に見つけられたくないんだよ。
俺だけの推しにしておきたいんだ。
野に咲くそれは一輪の花。
気づいてしまえば目が離せなくて。
微笑む君を閉じ込めたいよ。
自由を奪って独り占めしたい。
超絶ワガママな束縛愛。

◇12
怖さを乗り越えるため格闘技を習いに行くなんて。
今度痴漢にあったらぶっ飛ばす!って息巻いてる。
かなわないなあ。マジで強いよ。
普通はそこまで向き合えないよ。
逃げたくならないの?戦おうって何故思えるの?
僕は弱くてずるいから先輩の真っ直ぐな生き方がまぶしくて。
これからもずっと推してます。

◇13
35歳人気者。
でも高校時代は友達0の陰キャだったと聞いて驚いた。
「人間いつでも変われるものよ。本気で変わろうと思ったらね」
自信ありげな笑顔に見とれてしまう。
小器用な俺には真似出来ない。
変化なんて必要ないほどそこそこの事はこなせたから。
いつも全力投球な貴方が恥ずかしくも愛おしいです。

◇14
「お前の才能俺が広めたる。その代わり覚悟せーよ。世界に名前が知れ渡るまでやめへんからな」
あれから3年。君は有言実行の人だった。
「俺の役目はここで終わりや。よう頑張ったな」
世界ライブの前に姿を消した君。
感謝してるよ。
君のおかげで夢が叶った。
幸せでとても悲しいよ。
私だけが恋してた事。

◇15
授業中ほけーっと窓の外を見てる。
ノートには変な落書きだらけ。
声をかけると不思議そうに首を傾げる。存在そのものが謎に思える。だけど成績はいつも1番。
走るの速くて合唱コンクールはピアノ担当。
「凄くね?どういう仕組みかさっぱりわからん!」
ミステリに挑む気分で始まった、俺の切ない片思い。

◇16
彼が入ってきた瞬間ざわめきが止まる。
「お前さこれ忘れてただろ」
真っ直ぐ私の前に来て渡されたのはお弁当の包み。
「残さず食えよ」
ニコリともせずに言い捨ててピシャリとドアが閉められた瞬間
「どういうこと?!」
たちまち女子に取り囲まれた。
うーむ。どこから説明しよう。
私達が暮らし始めた理由。

◇17
子供の頃助けてくれたポリスマンに一目惚れ。
王子と呼んで追いかけて私も警察官になりました。
ところがドジな私は叱られてばかり。
それでも頑張って告白しました。
「12年間好きだったぁ?キモい」
虫けら見る目でバッサリです。
でも私はめげません!
あなたをいつか捕獲するため、恋の手錠を磨いてます。

◇18
大人気のVチューバーは絶対隣席の女子。
声でわかる。
教室ではめちゃくちゃ大人しいのに
動画の中では飛んだり跳ねたり。
どっちがホントの君なんだろ。
謎を解きたくてたまらなくなって今では彼女のことばかり考えてる。ああこの気持ちが恋なんだな。
どっちの君が好きなのか
自分でもよくわからないけど。

◇19
「罪と罰」「嵐が丘」。
古典的名作の良さがわからない。
「何度も繰り返し読むことでテーマが体にしみてくんだよ。退屈でも読むことそのものに意味があると僕は思う」
その通りだ。
だって貴方とこんな会話ができるだけですごい。
うんと背伸びして。
貴方の視線で世界を見下ろす。
壮大でちっぽけな私の夢。

◇20
窓際席で向かい合うカップル。
イケメン君は彼女に夢中。
熱い眼差しがはっきりとそう語ってる。
彼女は俯きがちで
自分のリアクションでころころ変わる
彼の表情に気付いてない。
愛されるって奇跡だ。
お水のお代わりを注ぎ終え私は密かにそう思う。
仕事を終えたら街に出よう。
私だけの奇跡、探しに行こう。

◇21
「彼は絶対モテるわね。でも職場の女には手を出さない」
と言われております王子様。
その彼にお化け屋敷に誘われました。
「彼のデートはスタイリッシュでしょうね」
それが全然ですよ。お岩さんの前で腰抜かすし。
そもそもデートにお化け屋敷って。
ただキスはとびきり上手かった。
最後は私が腰砕けです。‬


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