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【恋愛小説風8選】恋をキリトル140字の物語 22

◇1
「褒美に好きなものをやる」
「あなたが欲しい」
「後悔するなよ」
社長と秘書の禁断の恋。
車の中。
エレベーター。
部屋の中。
廊下。
会議室。
ビジネスの現場があの日から恋のステージへと変化した。
仕掛けたのは私。
でも、溺愛してなんて頼んでない。
本当はきっかけ待ってたの?
社長にはまじでかなわない。

◇2
冷凍庫に閉じ込められヘルプコールに応答無し。
青ざめてたら君がコートを貸してくれた。
長くても3時間あれば見つけに来てくれますよと
落ち着き払った態度の君。
ポーカーフェイスはいつ崩れるの。
爆上がりした好感度が恋に到達するのは必然だった。
片思いなんてゴメンだから
ここを出たら即告白タイム。

◇3
夏に近づく暑い日に
偽装彼女になってと言われた。
お見合い話を断るのが大変だから
というのがその理由。
でもね先輩。
私男の人と付き合ったことなくて
どう振る舞えばいいのかわからないよ。
仕事仲間に上司に部活の後輩。
色んな人に紹介された。
人望あるんだね。
ああダメだ。
偽装なのに好きになっちゃう。

◇4
八百屋で最後のバナナに手をのばし
リーマン風の彼とかち合った。
「あ、どうぞ」
「いえ、こちらこそ」
美しい譲り合いの後その人がゲット。
「良かったらこれ」
半分私に分けてくれた。
遠慮しすぎもなんなので
ありがたくいただき、
それっきりになるところだったけど
何故かその後色々あり今は私の彼氏です。

◇5
好きだった人に彼女が出来た。
おめでとうとひきつり笑い。
やけ酒飲んでバーで側にいた人とデュエツトして
翌日二日酔いに痛むこめかみを押さえながら
ベッドの隣に目をやると
一緒に歌った彼が隣で寝てた。
ざっと血の気がひいていく。
何一つ覚えてないんですけど。
行きずりの男が恋人になるまであと少し。

◇6
玄関ドアを開けたらペンギンが出てきて
一瞬夢でも見たかと思った。
なで肩ブラック可愛いフォルム。
「ダメよー勝手に外に出ちゃ」
バタバタと廊下を走る音がして
長い髪の女性が現れる。
「すみません。びっくりしたでしょ」
ペンギンを抱き上げにっこり笑う。
可愛いの連打に慄いた
宅配のバイト2年目の冬。

◇7
失った人生を取り戻したいと言い捨てて退職した秘書。
生きがいって何だ?悶々として眠れない。
そりゃ俺はワガママで俺様で自己中で沢山迷惑もかけたさ。
仕方がないだろ。王者なんだから。
光の国の住人は傲慢にしか生きられない。
けどまあ初めて謙虚になるさ。
戻れよ。頼む。
お前なしでは生きられない。

◇8
ヘリコプターで見下ろす東京の夜景は
恐ろしいほど美しくて
私は思わず息をのむ。
「誕生日おめでとう」
シャンパンで乾杯。
指輪をもらって熱いキス。
「うかない顔だな」
鋭いツッコミに頷く私。
「幸せすぎて怖いんです」
「可愛いことを言う」
そっと肩を引き寄せられ胸の鼓動は激しくなる。
「ずっと一緒だ」


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