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【連載4コマ小説メガネっ子】恋をキリトル140字の物語 16

◇1
「東大受かったら抱いてやる」。
それは適当な断り文句。
まさか本気にするなんて。
「男に二言はない、ですよね。先輩」
上目遣いのメガネっ子。
顔に似合わずグイグイ来るな。
「…1度だけだぞ」
「わーい」
「ヤリ捨てするって言ってんだが」
「かまいません。一生の思い出にします。先輩の事が好きだから」

◇2
「それで、どうして遊園地?」
つまらなかったか?」
「いいえ、でも」
頂点を目指す観覧車の中で眼鏡っ子が俺を睨む。
「デートでお茶を濁すなんてだめですよ。ちゃんと約束したんですから」
「あれな、やっぱパスするわ」
「えっ」
「その気になれない」
「そんな…」
眼鏡が曇り膝に置いた拳に涙がポタリ。

◇3

「…私のこと嫌いですか?そんなに魅力ないですか?」
「つまんねーんだよ」
「え?」
「一生の思い出って何だ。俺は記念品か?バカにすんな」
「でも彼女になんかなれないでしょう?」
「なんで決めつける」
「だって!先輩みたいにカッコよくて運動も勉強もできて素敵な人私なんかと釣り合わないもの…!」

◇4

「東大受かった奴が何言ってんだか」
ゴンドラが頂上にやってきた。
この瞬間を待っていた。
メガネを外しそっとキス。
おいおい、目くらい閉じてろよ。
「気が変わった。頑張る奴は嫌いじゃない。けどまあなんだ。ゆっくり行こうぜ」
「付き合ってくれるの?」
「ああ」
しがみつく彼女を俺は強く抱きしめた。

おしまい

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