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少年刑務所を見学してきました③

こんにちは!
今日は「函館少年刑務所スタディツアー」のレポート第三弾です。


⑤刑務所内の様子(参考動画あり)

スタディツアーでは実際に刑務所内に入ることができました。
所内がどんな様子だったか、箇条書きで書いていきます!

↓居室や工場はこの動画とほぼ同じです!
(記事第一弾に載せた動画と同じものです。札幌刑務所の内装は函館少年刑務所よりかなり綺麗。テレビ向けなのか、刑務官の方も柔らかな表情です)

  1. 各所にある非常ボタン
    →いたるところに非常ボタンが設置されていました。
    壁にボタンがあるだけではなくて、天井から「ここに非常ボタンがあります」という看板も吊り下げられていて、どんな状況でも瞬時にボタンの場所が分かるようになっています。
    100か所以上設置されているそうです。
     

  2. 居室
    →独房(1人部屋)と雑居房(6人部屋)があります。
    罪名に関係なく、1人部屋が空いていれば受刑者はそこに収容されます。
    しかし敷地スペース(=予算)の関係上、6人部屋に入れざるを得ない状況だそうです。
     
    1人部屋の様子…4畳ほどの部屋の中にテレビ(壁掛け式)、暖房※、水洗トイレがあります。
    内側にはドアノブがなく、内側から開けられないようになっています。
    ※暖房があるのは北海道の刑務所だけだそうです。
     
    6人部屋の様子かなり狭かったです。
    設備は個室と同じで、トイレも1つ。これはかなりきついですよね…。
    喧嘩は週に何度も起こる、とのことでした。
     

  3. 浴室
    まとまった人数で入るのでかなり大きめです。
    入浴時間は15分間。浴室内の壁にはタイマーが設置され、5分ごとにブザーが鳴って時間を知らせる仕組みになっています。
     

  4. 窓の鉄格子
    →廊下も含め、ほとんどすべての窓に鉄格子がはめられていました。
     

  5. 配管むき出しの天井
    →天井は、屋根裏など隠れる場所をなくすために配管がむき出しになっていました。
    映画でよくある「換気口を伝って脱獄」みたいなことはできないようです。
     

  6. 体育館
    →雨天時などに運動をするための体育館がありました。
    床も壁も時計も、見た目は学校の体育館とほぼ同じです。刑務所の中では少しだけホッとできる雰囲気の場所でした。
    慰問などもここで行われます(去年、函館少年刑務所では猿回しが行われたそうです。)
     

  7. 面会室
    →家族や弁護士との面会はここで行われます。
    受刑者と面会者の間は厚い強化ガラスで仕切られていて声が届かないので、インターホンのようなマイクを使って会話します。
     
    物品を差し入れるすき間はないため、手紙などの受け取りは隣の売店を通して行われます(売店では便箋なども売られている)
     

  8. 希望寮
    仮釈放の二か月前になると、受刑者は「希望寮」と呼ばれる別棟に移されます。
    この寮内の扉には鍵がかかっておらず、自由に行動ができます。
    出所した時に社会に順応できるよう、通常の社会生活に近い環境で過ごすのだそうです。

⑥質疑応答で出た質問(前半)

所内を見学した後は、職員の方に質問をする時間が設けられました。
どんな質問が出たのか紹介します!

質問1:昔と今で少年受刑者の質はどう変化した?

質問者:一昔前は、刑務所に入るのはいわゆる「タバコを吸ってる不良少年」のようなイメージがありました。
でも最近は、親から虐待を受けていたり、障害を持っていたり、様々な事情があって家にいられない少年達が町に出ざるを得なくて、特殊詐欺の受け子などに利用されて刑務所に入ることが多いと聞きました。
社会的に弱い立場の子供たちが刑務所に入ってくると。
受刑者と接していて、このような質の変化を感じることはありますか?

職員①:オレオレ詐欺で入ってくる受刑者は確かに増えました。
社会経験がなく、抵抗なく犯罪をしてしまう人が増えたと感じます。
そのせいか、刑務所に入って精神的な問題を起こしてしまう受刑者も多いです。

参加者:暴力事件と違って、特殊詐欺は被害者の顔を直接見るわけじゃないから、罪悪感が薄いのは当然ですよね。
そういう質の変化があるのかも。

職員②:障害者手帳を持っている子は確かに増えました。
昔は知的障害や、手帳を持ってない子が多かったんですが、今は発達障害のグレーゾーンの(=診断はついていない)子が多いと感じます。

質問2:受刑者に基礎的な学力を身につけさせるプログラムはある?

質問者:仕事で20歳前後の若者たちと接していますが、基礎学力が低下しているように感じます。
刑務所でも受刑者の基礎学力の低下を感じることはありますか?
そのような受刑者に学力を補うプログラムを行っていますか?

職員:就職のための履歴書を書いていると、漢字の書けない人が多いと感じます。
私たちとしては、そういう場面で漢字の書き方を教えるくらいしかできていないのが現状です※

※…補習教育の仕組みもあると刑務所のパンフレットに書かれていましたが、その話はここでは出ませんでした。

質問3:再犯を防ぐには就職が重要。受刑者の就職をどうやって支援してる?

職員①:出所時の就職率は7割くらいだと思います。
刑務所では履歴書の添削などの支援を行っていて、住む場所と職がセットになっている会社に就職します。※

出所までに仕事が決まらなかった方には、私たちとしては何もできないのが現状です(ハローワークを利用するようにとアドバイスはする)。

職員②:障害を持たれている方には、様々な行政サービスや制度を紹介したり、利用を促したりしています。
でも、私たちの支援を希望されない方もいます。本人が支援を望まなければ私たちは何もできず、そこを課題に感じています。

※…出所した人は(大家が許可しないので)家を借りられないため?

今日のまとめ|子供たちをここに絶対に入れたくない

「子供たちをここに絶対に入れたくない」というのが、刑務所の中を見た感想です。

特に6人部屋です。動画の2:30のところにも映っていますが、かなり狭いです(この部屋よりもう少し狭かったような。)
トイレもただ仕切られているだけで、プライベートな空間はありません。

もし「普通の子」がこの部屋に入って、他の受刑者と24時間一緒に過ごさなければいけないとしたら…まともな神経ではいられないと思います。
(上に書いた「質問1」でも、刑務官の方がそうおっしゃっていました)

軽い気持ちで万引きしたり物を壊したりする子、教育職をやっていれば割と身近にいますよね。
そういう子が絶対に刑務所に入らないように、きちんと伝えていきたいと思います。

次回予告

次の記事では質疑応答の後編と、最後のまとめを書きます。

質疑応答の前編を読んでも感じたかもしれないのですが、やっぱり刑務所は罰を与えるための施設なんですね。
更生や立ち直りはその次で、担当の刑務官の努力次第、という印象を受けました。

でも、それではいつまで経っても再犯率は下がりません。
一度犯罪に手を染めてしまった人は立ち直れず、何回も犯罪を繰り返すことになります(札幌刑務所の平均入所回数は5.2回)。

一度罪を犯してしまった人が立ち直るために何が必要なのか?について、次の記事で書こうと思います!

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