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情報が握れないとマネージャーは務まらない

部下からの報告が少なくて
困ったことはないでしょうか


管理職の情報優位性


管理職の優位性のひとつとして、
一般社員より幅広く深い情報を握っている、
ということがある。


例えば、管理職以上しか参加しない会議で
経営に近い情報の共有や
管理職以上しかアクセスできない情報の閲覧権限、
上席者からの個別の秘密共有など、
種類はさまざま。


大きな制度変更や組織変更、
人事異動なども、多くの場合は
一般社員に発表される前に共有される。


これらは、会社側が情報伝達ルートを決め、
それに基づいて共有しているので
自動的に情報が集まる。


だから、基本的には自分に係わること以外は
そこまで能動的に情報収集する必要は少ない。

管理職は情報強者!?


一方で、自分自身がマネジメントを任されている組織では
どのようになっているか。

マネージャーの下にきちんと情報が集まる
流れになっていない組織もあるのではないでしょうか

重要事項も、細かい部分は意外と報告が上がって来ない、
こともある。



マネジメントをする上で、
リーダーシップを発揮する上で
情報はさまざまな判断を下す材料になるので、
多く集まるに越したことはない。


だから、部下からの情報伝達ルートは
早い段階でしっかり整備・構築した方がいい。

部下が、こんなこと報告しなくても。。と思って
報告しなかったことが、後々、あの時点で知っていたら、
ということもあったりする。


現代は幸いにして、口頭報告以外にも
時と場合に応じた報告方法がある。

メールにグループウェア、メッセンジャーアプリなど
文章だけでなく、手軽に画像や動画、ネットの引用なども使える。


だから、口頭でやり取りするタイミングが合わなければ、
そういった便利ツールを使って情報共有すればいいし、
便利なものを活用してお互いの負荷を
軽減するのもいい。


むしろ、言葉で説明するよりも
視覚的な情報の方が理解が早い場合も多い。

主観から共通感覚へ


でも、そういった情報について
「何となく重要なことだけ」報告する状態になっていると
リーダーシップを発揮すべき時の判断や
管轄部門のマネジメントの判断を誤ったりする。


この「何となく」が曲者。
何もない時は、お互いに楽でいい。

ただ、事が起こった時には大抵、
「なんでもっと早く言わなかったんだ!」
ということになる。


「何となく重要」は主観なので、
具体的にどういった情報を報告すべきか、
「何が重要なのか」を定義し
きちんとルール化した方がいい。


お互いの意思疎通が図れていないときは、
重要か、急ぎか、は聞いてからこちらで判断するので

「迷ったら、報告してください」と
伝えておくことがいいと思う。


マネージャーだからこそ、最悪の事態も想定する


実際に、こんなことがあった。


ブランドアイテムを販売する会社(広義でいう、メーカー)の
営業部門のマネジメントを任されていたとき、
その部署の主力取引先は地方都市の百貨店が中心だった。

マネージャー拝命と同時に異動したので、
当時、部署の状況が掴めなかった。
その中で、情報も、報告も少ない。


抜擢人事であった為、15歳くらい年上で
役職定年を迎えた前任者からは
情報の引継ぎはほとんどなされなかった。


そして、
少ない情報、報告の中で、もう少し知りたいと思って
質問をしてもなかなか満足できる回答が得られなかった。


当時既に厳しい業界、オワコンと言われた百貨店業界。
幾つかの大きなグループが出来上がり、経営の効率化が進められ
店舗の閉店やリストラが加速していた。

首都圏に本社がある、大きなグループの資本にいるうちは
閉店リスクはあっても、倒産リスクはまだ大きくない。
ただ、地方都市の小さなグループや単店の百貨店は
そうはいかない。


そこで、営業部門としては
慎重な与信管理が求められる。


大抵、取引方法は2つ。
1つ目は、「返品条件付の買取」。
いわゆる、店舗側が一度、仕入を起こして買い取り、
仕入代金を受け取る方法。

2つ目は、「消化」。
これは、店頭で最終消費者であるお客さまが購入されて
初めて仕入が起こり、買取が成立して
その後、代金を受け取る方法。


1つ目の「買取」は「返品条件」が付いているため、
店舗の閉店などによって、商品を販売する拠点が閉鎖された場合に
店頭にあった在庫については引き取る可能性が出てくる。

2つ目は、商品の所有権はメーカー側にあるので
店舗の運営会社が倒産などした場合、その商品をいち早く
回収しに行かないと、紛失するなどして
メーカーに損失が出てしまう。



また、それぞれ支払いは売掛なので、
仕入が成立してから支払まで
20~60日程度は代金の受け取りが完了しない。

契約によっては、返品原資を一部担保するということで
全額支払われず、常に80%の入金、というところもあった。


この未回収リスクは当然、メーカー側が負う。

だから、各担当者には
倒産や閉店情報は、報道などで表に出る前の噂でもいいので
目を光らせて情報収集するよう伝えた。


具体的には
地方都市のニュースの確認はもちろんのこと、

現地の売場スタッフの情報、
店舗への改装投資や修繕投資が出来ているか、
売場にテナントの抜けがないか、
主要人材の流出が起こっていないか。


複数店舗であれば、残す店舗にエース級を異動させる
人事異動をかけてないか、
近隣にモールなどの商業施設の開業予定はないか、などなど。


何も指示をしないと、担当売場の売上情報や人事情報を
中心とした報告しか入らない。

だから、これらは「報告義務のある情報」
として部署内に伝えた。


ただ、一口に「情報」といっても
捉え方や集め方はひとそれぞれで、
その精度が低ければ混乱を招くだけなので
報告の仕方についても、一定のルールを設けた。


情報の出どころ、確定か未確定か、
時期、金額、規模などの定量的な点を押さえる、など。


このルール化によって、情報の集まり方が劇的に改善した。

危機に直面したときほど、情報の大切さが身に沁みる


そして、報告を受けた情報を基に
「閉店するのではないか」と怪しんでいた店舗について、
在庫調整を指示していたのだけれど、

実際、怪しんでいた店舗は閉店することになった。

閉店は予測していたので、混乱は少なく、
損害も最小限に抑えることができた。


デジタルで収集できるデータや情報ももちろん重要だけれど、
表に出る前の情報はやはり、今の時代も
人を介在した方法の方が、スピードも精度も高い気がする。

一方通行では足りない、双方向で


ただ、全てがうまくいったわけではなかった。
ほぼ、年上の先輩を部下とする部署への異動であったので
中には、情報を抱え込む部下もいた。

本人がどのような意図でそうしたのか、は定かではないけれど
とにかく、報告される情報が少なかった。


そういった場合、状況によっていくつか対処法がある中で
最も効果的なことは、「こちらからの情報発信や共有の
強化をする」こと。


多分、不満のひとつに
報告ばかりさせて質問してくる割りに
もらえる情報が少ない、と思っていたのかもしれない。



もし、そのような考えだったとしたら、
自分にも理解できる、と思ったので
社外秘などの情報も「口外禁止」ということにして
積極的にこちらからの情報も発信するように努めた。



いつの時代も、情報の精度とスピードは
いろいろな判断を下す上でとても重要なので、

報告ルートや手段、報告する際に整理しておく項目を
部署内で共有しておくことをおすすめします。



最後までお読み頂き、ありがとうございます。

マネジメントでお悩みの方、
管理職になって日が浅い方、
上司の考えに「?」と思っている方、
カッチカチに古い体制の会社に疑問を持たれている方、
などなど。

お仕事でそんなお悩みを持たれている方に向けて
発信していきたいと思います。

 きのした

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