兵庫県高等学校「社会系教科」研究会

兵庫県高等学校「社会系教科」研究会は、兵庫県の地理歴史公民科の高校教員である岩橋嘉大(…

兵庫県高等学校「社会系教科」研究会

兵庫県高等学校「社会系教科」研究会は、兵庫県の地理歴史公民科の高校教員である岩橋嘉大(主宰)、大久孔明、杉山正人、高木優、妙見健太郎、安積倫子、東田卓也、中野雅志らを中心として協働的に運営を進めております。今後も授業研究を中心に発信を進めます。どうぞよろしくお願い致します。

最近の記事

第107回「今年度の意気込みを語る会」(「公共」研究チーム)

第107回は、「公共」研究チームからのご提案で「今年度の意気込みや挑戦したいこと」を軸に25分間のブレイクアウトルームを3回行いました。 年度当初ということもあり、先生方それぞれが今年度の目標や現状の課題を共有でき、盛り上がりを見せました。 また、授業づくりを思案中の先生と延長戦も繰り広げ、学校現場の人間関係も含め、今後の成長のために今何を取り組むべきかということについて世代を問わず、知恵を出し合って議論を進めました。 このような形の研究会も、今年度は実施していく予定で

    • 第106回 「兵庫県副読本『世界と日本』を使用した歴史総合の実践」(歴史総合研究チーム)

       第106回は上のタイトルで歴史総合の授業実践を報告していただきました。『世界と日本』は兵庫県高等学校地理歴史科用の副読本です。兵庫県にゆかりのある人物や産業などが含まれています。  授業は「国際秩序の変化や大衆化と私たち」の単元で世界恐慌やファシズム伸張が該当します。『日本と世界』からは湊川神社とそこに祀られている楠木正成について記載されているページを取り上げました。「ファシズムが伸張する経緯を学習することはあなたにとってどのような意味があるか」という問いを設定し、歴史がど

      • 第105回 「『つながり』に気づく力を育成する地理総合の授業実践」(「地理総合」研究チーム)

        第105回は上のタイトルで地理総合の授業実践を報告していただきました。大項目Bの中項目(2)地球的課題と国際協力の報告です。遠い国の課題もたどってみれば自分の生活と繋がっている。生徒が、それに気づいて地球の課題を自分事として捉えられることを意識して授業を組まれたそうです。そこで取り入れられたのが、システム思考(事象同士のつながりを理解し、複雑な物事の構造を把握すること)です。ミステリー(事象が説明された10〜30枚䛾カードを関連付け、大きなストーリーを作る)というツールを用い

        • 第104回 「公共の授業で社会を生き抜く力をどう育むか」(「公共」研究チーム)

          第104回は「公共の授業で社会を生き抜く力をどう育むか」というタイトルで発表していただきました。報告者の先生は「授業を見学させてください!」と他校の先生に突然連絡したり、様々な勉強会に参加したりと熱心に取り組まれている方です。定時制工業高校に勤務されていて、目指すのは”将来損をしない”授業。社会の制度を知ること、社会と繋がること、を大事にされています。生徒たちが公共の授業を通して少しでも社会に参加しようという態度を育めたらと取り組まれているそうです。クラスには中学時に不登校だ

        第107回「今年度の意気込みを語る会」(「公共」研究チーム)

          第103回 「世界史実践報告」(「歴史総合」研究チーム)

           第103回は世界史Bの実践報告です。歴史総合との接続を意識して行った授業実践を報告していただきました。現在の報告者の先生の関心テーマは、接続、自己知、主体的に学習に取り組む態度の評価ポイントです。自分に関する知を世界史の中でも考えていけたら、その生徒の主体的に学習に取り組む態度が養われていくし、そこをどうにか評価したいと考えておられるそうです。  報告は第一次世界大戦の単元です。「国際秩序の変化や大衆化と私たち(歴総)」の学習を踏まえて世界史探究では各地域における民族自決に

          第103回 「世界史実践報告」(「歴史総合」研究チーム)

          第102回「「思考ツール×パフォーマンス課題的×PBL的社会科単元構成による単元づくり」(「地理総合」研究チーム)

          はじめに 今回は、滋賀県で勤務されている中学校社会科の先生より、「思考ツール×パフォーマンス課題的×PBL的社会科単元構成による単元づくり」というテーマでご発表いただきました。  まず、テーマにもある「PBL」(=Project-Based Learning)とは、実際に世間で課題になっていることを解決していくことを通じて知識・概念を獲得していく学習を指します。例えば、中学校社会科の地理的分野「北アメリカ州」の単元では、「アメリカ合衆国における雇用問題の解決策を考えよう」など

          第102回「「思考ツール×パフォーマンス課題的×PBL的社会科単元構成による単元づくり」(「地理総合」研究チーム)

          第101回 「行儀のよい おとなたち」(「公共」研究チーム)

           第101回は「行儀のよいおとなたち」というインパクト大のタイトルで発表していただきました。今回は報告→2人で討論→質疑応答→議論という形で進んでいます。  まず、報告者の先生の実践報告です。今年度は情報の授業を担当されているそうですが、公共の免許もお持ちで、昨年度の公共の実践を報告していただきました。公共の内容は面白いが、共通テストの圧を感じながら終えた1〜2学期の授業がつまらない!と3学期は設定したテーマについて、対話型論証の手法をとりながら自由なプロセス(調べる、図書室

          第101回 「行儀のよい おとなたち」(「公共」研究チーム)

          社会系教科の授業を探究する〜兵庫県高等学校「社会系教科」研究会の軌跡〜

          兵庫県高等学校「社会系教科」研究会は、2021年8月に発足し、ここまで100回もの研究会を実施してきました。 今回は、研究会の経緯を振り返るとともに、成果と課題を踏まえて今後の展望を見据えたいと思います。 以下のような、ラインナップでお送りします。 1.コロナウィルスの大流行と科目改編2019年末に感染が報告されて以来、数年にわたり流行したコロナパンデミックは、日常生活を大きく制限し、学校教育にも大きな影響を及ぼしました。 2020年2月、卒業式や次年度に向けた準備などを控

          社会系教科の授業を探究する〜兵庫県高等学校「社会系教科」研究会の軌跡〜

          第100回「歴史総合と公共の接続を考える」

           記念すべき第100回研究会は、「歴史総合と公共の接続を考える」というテーマで、3人の先生方にご発表いただきました。今回発表していただいた3人の先生とも、兵庫県内の公立高校に勤務しておられます。  今回は、一人一テーマとして、3人に以下の3つのテーマについてご発表いただきました。 1. 「公共」と「歴史総合」を同学年で履修する場合の接続について 2. 「公共」を履修した後に「歴史総合」を履修する場合の接続について 3. 「歴史

          第100回「歴史総合と公共の接続を考える」

          第99回 「旧課程最後の地理Bにおける授業での取り組み」(地理総合研究チーム)

          第99回は、地理Bの実践についてお話しいただきました。報告者の先生は新課程の科目を担当したことがなくて、来年からの科目に不安を感じているそうですが、今年度は新課程の科目も意識して取り組まれてきました。プロジェクター等の設備が充実したこともあって写真や動画をいっぱい見せること、問題を解きながら地図を見ながらなるべく生徒同士が話す時間をつくること、常に新しいデータを提供することを目標に授業を進め、グループ発表とレポート作成にも挑戦されたということです。放課後、希望者に共通テストに

          第99回 「旧課程最後の地理Bにおける授業での取り組み」(地理総合研究チーム)

          第98回 「地域の社会的課題解決に取り組む政策づくり授業の実践」(「公共」研究チーム)

           第98回は、生徒が市役所に政策提言をした授業実践を報告していただきました。政策づくりの授業がライフワークになっていると言われていたのが印象的です。現代の子どもたちは社会的課題解決への参加意欲が低いとされる一方、学習指導要領では社会参画が求められています。そこで、生徒が社会的課題を解決する能力を身につけて政策立案過程や政策実践についての知識を得ることで、社会の問題解決への意欲とか意識を高める学習を目指してスタートしました。市町村に限定したのは、そのほうが、ゴミ問題や分煙の問題

          第98回 「地域の社会的課題解決に取り組む政策づくり授業の実践」(「公共」研究チーム)

          第97回 「日常と非日常の狭間で」(歴史総合研究チーム)

          第97回は「日常と非日常の狭間で」というテーマで発表していただきました。報告者の先生は新聞記者の経験もあるそうです。日頃から大切にされていることは生徒の意見を大切にして授業を構成すること。自分と異なる立場の人を思いやれること。社会とのつながりをもてること。授業を通して、質問する力をつけ、人の役に立つ経験を重ね、「人の役に立ちたい」という思いをもって社会で活躍する人になって欲しいという思いをもっておられるということでした。非日常的取り組みとして、歴史の授業では、人形を使って国を

          第97回 「日常と非日常の狭間で」(歴史総合研究チーム)

          第96回 「歴史総合の授業改善ー授業実践例から考えるー」

          第96回は大学の先生から授業実践例を提示いただき、それをもとに授業改善や教師の成長といった視点から議論しました。 はじめに、歴史総合の学習指導案を提示され、「この授業はどんな授業?」「課題は?」といったことを参加者でグループに分かれ、議論しました。 各班からの全体共有では、現代的な諸課題との関連性が見えない、問いのつながりといった角度から課題が指摘されました。 ここで、講師の先生からは「この先生はどんな授業がやりたかったのか?」「なぜ、こんな風に授業を行ったのか?」とい

          第96回 「歴史総合の授業改善ー授業実践例から考えるー」

          第95回 「地歴・公民科での図書教材の活用についてⅡ」(「公共」研究チーム)

           第95回は、「図書教材の活用について」お話しいただきました。報告者の先生は、読書活動を1年間ずっと教室での授業で取り組んでいくことはできないか、生徒に読書への興味・関心を持ってもらうにはどうしたらいいのか、卒業後も進路選択や生涯学習への橋渡しとして読書を紹介できないか、ということを以前から考えておられ、前任校で担当された科目「キャリア研究」で、公共の問いを意識して図書教材を活用した実践を行われたそうです。  本の選定は、新聞の新刊広告や書評欄、出版社のHP、X(旧ツイッター

          第95回 「地歴・公民科での図書教材の活用についてⅡ」(「公共」研究チーム)

          第94回研究会(「歴史総合」研究チーム)「歴史総合実践の検討」

           第94回研究会は、愛知県の公立高校で勤務しておられる先生から、歴史総合の実践について報告していただきました。  今回は、おもに以下の3つの問題意識に基づき、ご報告をいただきました。 ①市民的資質を形成する歴史総合の指導方略とは? ②生徒が問いを抱き、その解決にむけた学習を進め、得た成果を活用しながら価値判断を行う歴史総合の単元開発について教師はいかなる翻案を施すのか? ③歴史総合の指導と評価の一体化に向けた取り組みとは? 1. 歴史総合実践の全体概要 おお

          第94回研究会(「歴史総合」研究チーム)「歴史総合実践の検討」

          第93回 「新課程における指導と評価の一体化― 公共を例に ―」(「公共」研究チーム)

           第92回は、公共を例にして指導と評価の一体化を報告者の先生がどう考えているのかをお話しいただきました。  日々の業務量の多さ、多忙さで流れ作業で評価してしまっている部分がないのか、自分が何を教えたかったのか、何を身に付けさせたかったのか、に立ち止まって考えることで指導と評価は一体化していく、というお話は、生徒との向き合い方、授業のあり方を改めて考える機会となりました。評価は序列をつけるものというイメージが強いけれど、生徒の学びを支援するためのもので、自己評価や相互評価のよう

          第93回 「新課程における指導と評価の一体化― 公共を例に ―」(「公共」研究チーム)