ドイツ一人旅_どこにもいない_01_04【海外旅行】
1999年冬 1日目 フランクフルト
フランクフルト国際空港に到着して15分が経過していた。
僕を迎えに来てくれるはずの中国人のGさんはどこにもいない。到着ゲートの前を何度も何度も往復している。その横で空港の警備員がひざ位の高さの台に立って自動小銃を構えている。
ここは日本とは違うのだ。もし不審者として連れていかれたらどうしよう…。先程通過した入国審査で審査官は薄ら笑いを浮かべながらパスポートを投げて返してきた。あんな感じで尋問を受けるのだろうか…。絶対に嫌だ…。
Gさんの家に電話しようか?でも電話のかけ方がわからない。もう直接Gさんの家に向かおうか?でもすれ違いになったら申し訳ない。平日にも関わらず、研究室を休んでまでして迎えに来てくれるのだ。
よし、30分過ぎたらGさんの家に行こう。そう思ったときだった。
「オソクナッテ、ゴメンナサーイ」
聞き覚えのある声が聞こえた。Gさんが向こうから駆け寄ってくる。僕は半ベソで腰の力が抜けるような状態になったが、とにかく安堵した。
理由を聞くとGさんはターミナルを間違えたらしい。
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