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ドイツ一人旅_ドネルケバブ_06_06【海外旅行】

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1999年冬 6日目 パッサウ

ドナウ川とイン川の合流地点の突端にきた。

しばらくその場所で両方の川を眺めていた。イン川は深緑色できれいなのだが、ドナウ川は雪解け水を含んでいるせいか黄土色の土砂で濁っていた。

合流地点では渦を巻いて黄土色の水が深緑色の水を飲み込んでいるようだった。

突然、潮の香りがした。

もう一度、確かめるように嗅いでみると確かに潮の香りがした。ここから海まではまだ何千㎞も離れているのに…

確か小説『ドナウの旅人』でも、どこかの街でドナウ川から潮の香りがしたと書いてあった気がする。僕の錯覚かもしれないが、そういった現象に立ち会えたことが嬉しかった。

お腹が空いてきたので中央駅に戻りながら店を探した。今日の昼飯はドネルケバブに決めた。今では日本でもお祭りの露店などで食べれるようになっているが、当時は珍しかった。

半月状のピタパンの中に細かくそぎ落とした羊肉(ラム肉)と大量のキャベツを押込み、マヨネーズとケチャップを混ぜたオーロラソースみたいなものがたっぷりかけられたトルコ料理のファーストフードだ。

大きさは手のひらよりも大きくて食べ応えがある。一口食べてとりこになってしまうほど美味しかった。羊肉とソースの甘さのバランスが絶妙であり、あっという間に平らげてしまった。

お腹も満たされたところで列車に乗り、ドナウ川に沿って雨の砦を意味するレーゲンスブルグへと向かった。



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見出しの写真は日本の縁日で食べたドネルケバブです。羊肉ではなく鶏肉です。

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