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ドイツ一人旅_ドイツの鴨とカモられる人_15_02【海外旅行】

前の話  プロローグ  15日目01

1999年冬 15日目 フライブルク ~ フランクフルト

路面電車は終点に到着し、公園を散策した。

中央に池があり、池を取り囲むように緑と歩道が整備された何の変哲もない公園だった。

僕はベンチに座るとぼんやり池にいる鴨を眺めていた。日本の鴨とほとんど変わりはない。しかし、ここにいる鴨はドイツ鴨なのだろうか?鳴き声もドイツ語なのだろうか?などと、くだらないことを考えていた。

フライブルク中央駅に戻り、列車に乗ってフランクフルトへ向かった。思えば2週間前に初めて降りた駅だ。駅からちょっとだけ出て街並みを見るとすぐにマールブルク行の列車に乗ってしまったのでフランクフルトを観光するのは初めてになる。

フランクフルト中央駅に到着して駅の構内を歩いているとジプシー風の女性が2人近づいてきた。

「1マルクを両替して頂けませんか?」

いつもなら無視して通り過ぎるところだが、しつこく付いてきたので面倒臭くなり、ポケットからコインを取り出した。適当に少額渡そうとしたところ、手のひらに載っていたコインをごっそり奪うと走り去ってしまった。

僕が振り返ると2人でガッツポーズしていた。
やられた。しかも最も初歩的な手口で…

ホームシック気味な気分で、この行為にはさすがに凹んだ。この旅で一番落ち込んでしまった。人の善意を逆手にとるとは許せない。ただ、油断した自分も責めていた。


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公園に向かう路面電車のトラム

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