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ドイツ一人旅_雨の砦_07_01【海外旅行】

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1999年冬 7日目 レーゲンスブルグ

一人で朝食をとり、ユースホステルを出ると一旦中央駅に向かった。いつものように大きい荷物をコインロッカーに預けると身軽になった。

レーゲンスブルグは直訳すると『雨の砦』になる。曇ってはいたが幸いにも雨は降りそうになかった。

今日はこれからヴァルハラ神殿に向かう予定だ。

狂人ともいわれたルードヴィッヒ一世がバイエルン州を独立国にしようと考え、その象徴として神殿を建て、多くの哲学者や芸術家の胸像を納めている。外見はギリシャのパルテノン神殿を小型にしたもので、ドナウ川を見下ろすように川沿いの小高い丘の上に建っている。

しかし、この神殿を観光することが目的ではなかった。この神殿の回廊からドナウ川を眺めることが目的だった。

宮本輝さんが『ドナウの旅人』を執筆するためにドナウ川の源泉から河口まで取材を兼ねた旅行をするのだが、その紀行記『異国の窓から』も刊行されていた。


『夢のような風景に見入った。私は、ヴァルハラ神殿の回廊から眺めた眼下の風景以上に美しいものを、まだ目にしていない』

(『異国の窓から』より)


僕も夢のような風景を見てみたい。それが今回の一人旅の目的のひとつだった。



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7日目の訪れる街

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