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ドイツ一人旅_えらい!_15_03【海外旅行】

前の話  プロローグ  15日目01

1999年冬 15日目 フランクフルト

ジプシー風の女性2人にまんまとコインを掠め取られてしまった。

しかし、この一人旅で学んだものがある。ドイツ人の親切さとポジティブ思考でないと一人旅はやっていけないことだ。

ドイツ人は本当に親切だ。僕が困っているときは必ず助けてくれる。さっきのジプシー風の2人はドイツ人ではない。あいつらのせいでドイツ人を嫌いになってはいけないのだ。さあ、嫌なことはさっさと忘れて次のことを考えよう!

この一人旅の収穫として、気分を切り替える時間が短くなった気がする。

さて、街の中心部に向かうため地下鉄のUバーンに乗った。長椅子の真ん中が一人分だけ空いていたのでそこに座った。

次の駅に到着すると、足腰の弱いご老人が乗ってきて、長椅子の端の吊革を掴んで立っていた。そのとき、僕の隣に座っていた青年が立ち上がった。

すると青年の横に座っていた人が空いた席に詰めて座り、その隣、またその隣の人も同じように席を詰めて、ついにはご老人の前の席が空いた。ご老人は立ち上がった青年にお礼を伝えるように右の掌を見せてから席に座った。

すごい!えらい!

これってみんながご老人に席を譲る気持ちがないと成立しない。もし日本だったら、空席を目ざとく見つけたおばちゃんが椅子取りゲームのような素早さで席に座ってしまうだろう。

先程までのモヤモヤした気持ちはすっかり晴れていた。


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