ドイツ一人旅_当然のことよ_15_05【海外旅行】
1999年冬 15日目 フランクフルト
「終点ですよ。降りてください」
女性のバス運転手から声をかけられた。
僕はバスを降りたのだが、そこは森の中にあるバスの停留所で周りは真っ暗闇で何も見えなかった。どうしよう。来た道を戻るバスに乗ろうか?でもどのバスに乗ればいいんだ?僕は立ち往生してしまった。
「どうしたの?」
女性運転手が声をかけてくれた。
「バスを間違えて乗ってしまったみたいです。本当はここに行きたかったんです…」
僕は降りる予定のバス停をメモした紙を女性運転手に見せた。
「このバス停に行きたかったの?まるで反対よ。困ったわね。う~ん。ちょっと待ってね」
するとバスに戻り無線で誰かと話し始めた。しばらくすると女性運転手は再び戻ってきた。
「ちょっとこっちに来て」
手招きされてついていくと2台隣のバスへと案内してくれた。
「このバスに乗ればいいわ」
僕にそう言うと、今度はそのバスの男性運転手に話しかけた。男性運転手は事情を把握すると僕に声をかけてくれた。
「さあ乗りな」
どうやら女性運転手が状況を全て説明してくれたらしい。
「ダンケ シェーン(ありがとうございます)」
「ビッテ シェーン(どういたしまして)」
女性運転手は当然のことをしたまでよ、といった感じでニッコリ微笑むと自分のバスへと戻っていった。
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