見出し画像

寒い

頭を撫でられてついウトウトする深夜3時。酔い潰れた私を抱っこして布団へ連れて行き、膝で寝かしつける彼は私の髪を触る。触り心地が良くていい匂いだと褒める彼。それを言われるために念入りに髪の毛のケアをした今日までの私。

いつも彼の後ろをついてアパートの廊下を歩く。鍵を開けた彼は扉を支えて私を先に入れる。何度家に行っても同じ流れ。半袖を着て彼の家に初めて行ったあの日から時間は流れ、気づけば彼のダウンを着て散歩する様な季節になった。彼の横を通って玄関に入る私。彼の匂いが溢れた部屋に少し目眩。後ろでは彼が、やっぱりいい匂いだ〜なんでそんないい匂いなのと笑う。何にもつけてないよと嘘をつく。髪の毛からいい匂いするのかな〜と私の髪の毛の匂いを嗅ぐ彼に、このヘアオイルがお気に入りなのかと脳内メモをする私。

そんなこんなで酔い潰れた私を介抱してくれる彼はお水飲む?と水を飲ませてくれた。腕枕をして私の頭を撫でる彼の体温で眠くなる私。少しぼやける意識の中で喋るのは毎晩のこと。髪の毛を触っている事にも頭を撫でている事にも写真をとっている事にも気づいてる私。俺が隣に行ったら本当にすぐ寝るな〜と笑う彼。もう彼の体温にすっかり慣れてしまった私は今日のような1人の夜はnoteを書く。

一時期彼と距離を置いていた私。それに気付いていた彼。その話をする深夜4時。おもちが家に帰ったあと、家に帰っても居ないし夜は隣で寝てないし寂しかった、今だから言うけど。と静まり返った部屋に響く彼の声。そんなのは私のセリフだ。上京するために借りてる7畳の部屋、友達が泊まれるようにと買った大きめのベットはあまりに広くて寂しい。彼の体温に慣れきった私の体にはあまりにも寒く寝付けない夜を何日も過ごした。そもそもその慣れきった体を捨てたくて距離を置こうと決めたんだけどね。だけど、そんな時間を1キロ先に住む彼も私と同じように過ごしていた事に素直に驚く私。私ばっかり好きだと思ってたし沼ってると思ってたけど割と彼も重症なんじゃないかななんて思う。距離を置いて少しだけ心が落ち着いたと思って久々に会ったこの前の夜。実際に会うとやっぱり近づいてしまう、やっぱり体温を欲しがってしまう、やっぱり触れてしまう。ほらまた元通り。次の夜からまた寂しい夜を過ごすことになるんだ。全然学習しない私。私の事を恋愛的に好きじゃ無い彼と、少し特別に思っている私。いつまで一緒にいられるんだろう。この気持ちの終わりはいつ来るのだろう。そもそも終わりってなんだろう。そんな中途半端な関係やめなよ、そんな男やめなよ、なんで付き合わないの?友達の声が頭の中をかすめる。そんなの私が一番わかっている。辞められる意志の強さがあったらとっくに辞めている。こんな事を思う、こんな事をnoteに書いてる夜は少し寒い。ずっと仲良くしたい、大好きなんだと呟く彼の声が今も脳内にこだまする私は今日も、きっと明日も寒い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?