木村樹

サラリーマン、コント書き、不可抗力で明日がくる

木村樹

サラリーマン、コント書き、不可抗力で明日がくる

最近の記事

今日は誰とも話さない

NYに店舗を構えていたレコード店“アザー・ミュージック” 21年間の歩みを追うドキュメンタリー。オーナーのクリス・ヴァンダルーとジョシュ・マデルや、個性的なスタッフや顧客、ミュージシャンたちへのインタビューやインストアライブの記録ビデオで店の魅力に迫る /// お寝坊さんが多く、一般的な会社のお勤めはむずかしいかもしれないが、 音楽の知識には長けている(有名無名問わず)若者たちや駆け出しのバンドマンが働く。 アザー・ミュージック。 ここに集う客たちは好んで店員さんの蘊蓄を

    • 曲がらないスプーン

      コントの覚書です。 我ながら「もう書けないなあ」と思ったストーリー。おまけに時代が移り変わると、いつの話をしてんの?になりそうな。 そんなものばかりですが。 これもまた古いコントです。 「5円玉」(2011年)というネタです。 普段から疑い深い性格から 生まれたようなコントですが、 催眠術は昔からそもそも即興のエチュードに しか思えず、 観てるこちらが こちょばい気持ちになるものです。 なので、かかってもかからなくても どちらでもいい暗示、 そして言われた方も受け身がと

      • 今夜ダンスには間に合う

        コントの覚書です。 我ながら「もう書けないなあ」と思ったストーリー。おまけに時代が移り変わると、いつの話をしてんの?になりそうな。 そんなものばかりですが。 いきなりですが、私は椎名林檎の「モルヒネ」がすきです。ファーストアルバム「無罪モラトリアム」のラストを飾る曲です。 もしかしたらば、10.の「警告」で終わってたかもしれないところに、 キャラメルのおまけのようにくっついてる イメージです。 力が抜けたラブソングでありながら、もしかしたらもっとも伝えたかったのはコレなので

        • ルーシーと一緒に帰りたいよ

          コントの覚書です。 我ながら「もう書けないなあ」と思ったストーリー。おまけに時代が移り変わると、いつの話をしてんの?になりそうな。 そんなものばかりですが。 もうロジカルにコントは書けないものです。 今はやはりどちらかといえば 人間の持つ感情の中でも サザエの壺焼きの奥のような ほじくり返さなくてもいい苦々しいところを 爪楊枝で引っ張り出す作業が 好みなのですが、 これは明らかに年齢の問題ですね。 若い頃に書いた作品は 人生経験が少ないからか、 システム化することで安心し

        今日は誰とも話さない

          パンツはパンツだろ

          コントの覚書です。 我ながら「もう書けないなあ」と思ったストーリー。おまけに時代が移り変わると、いつの話をしてんの?になりそうな。 そんなものばかりですが。 サムネイルの写真は「24」(2017年)という 拙作のコントのワンシーンです。 かつて映画監督を目指していたが、今は目的もなく怠惰な日々を送る男が 毎日通うTSUTAYAで何の気の迷いかストレス発散なのか あるドラマのワンシーズンをすべて「当日」で借りる。 理由もなく返却もせず延滞料金がとんでもないことになり、代わ

          パンツはパンツだろ

          先生、ぼくらは台風クラブでした

          山根先生、 謹んでご逝去を悼み、生前の温かいご指導に対し、 あらためてお礼申し上げます。 20年もまえの話になりますが、あの頃の私は未熟が故に生意気でした。 高校時代、放課後はVHSで映画鑑賞三昧だっただけで 誰よりも映画が詳しいような錯覚に陥り、 先生からのアドバイスに歯向かったこともありました。 もともと私が大学の文芸創作学科という不思議な出来立ての学科を 志望した理由は、先生の授業を受けたいからでした。 「映画史入門」「現代映画論」 その講義の中ではレンタルビデオ

          先生、ぼくらは台風クラブでした

          makuake

          ●知人から譲り受けて、いま大事に読んでる本。 ン、謹呈しおりが入ってるなとおもったら、 まさかの山口瞳先生の奥様からの。 たからものだ、これは。 友情についてのエッセイが特に素晴らしい。友だちに対する感情は 尊敬6軽蔑4でなければならない、と。 双方の 憧れの認識と業の肯定。 ●仕事おわりに誘われ、ラーメン。 僕は白、友は黒。 雲呑は未知数。 文化浴泉はお休み。 目黒川は涼しげ。 ●さよなら 渋谷という名の人類 ●「節分の日、なにしてる?」 ってあたらしいデートの誘

          20世紀梨

          モーニング娘。のヒット曲「LOVEマシーン」のカップリングをご存知だろうか。 「21世紀」。わたしはこの歌を聴くと、涙腺が危ない。危ないどころか充血していることがある。世紀末の不穏なムードのなか、たった一人理解者らしきガールフレンドが「夢のつづきを教えてよ」と言ってくれたら、どれだけ雨の降る日のバイトの帰り道、救われただろうか。 田舎の道筋は似たり寄ったりで、否が応でも密になる人間関係に辟易していた。 あの頃は、当然YouTubeなんてなかった。赤外線で連絡先を交換できるこ

          20世紀梨

          反主流論者

          エスカレーターの動きに逆らって 乗っかると ビーッと警告音が鳴る。 逆張りという言葉がある。 昨今、バラエティでのトークや大喜利の手法で 使われている気がするが 本来は証券の用語である。 私はどうも生まれ落ちたときから 希望の通りに、ことは進まない。 「今日は時間と体力に余裕があるし、 かと言ってやりたいことだらけなわけでもないから、がんがん遊びに誘っておくれ」と 朝起きたときから思ってる日に限って、 誰からも着信は鳴らない。 ならばこっちから誘おう、と動き出すが 誰も

          反主流論者

          バスは5分押すものの、私も5分押すのだから、何も言う権利のない、やけに晴れた日

          近頃、耄碌してるのは否めない。しかしながら、気付いたことがある。 A地点からB地点まで行くとき、ショートカットを考える。もしくは混雑に巻き込まれないルートを考える。裏道でも構わない。 しかし、コントとなると、専門外だが舞踏にもなると、遠回りを考える。もしくは不時着も考える。脱線でも構わない。 あとは、きみに逢う時に。

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          アンド降参

          理屈では片付けられない 悲しい話なのだが、 おろしたてのシャツほど、 珈琲をこぼし、スープの雫を飛ばす。 生活の知恵を拝借するために、 yahoo!の袋を眺める。 そうかそうか、そうやれば 落ちるのかと腑に落ちた頃、 関連の質問のアウトラインも出てくる。 そこには 「先日、制服のまま、していたら、 彼氏のが飛んでしまいました」と。 なにをやっているんだ。 でもその数秒後に、いつも思うのは、 男の中で、 けしからん親父が顔を覗かせたときは、 未体験の事例だからである。

          アンド降参

          口紅、最終手段として

          タイトルだけ浮かぶ。 生憎、私は小説家でもバンドマンでもない。だからそんなに命名する機会はない。だけど、浮かんでしまう。そして、悪戯に過ぎていく時間とともに飽きる。たまに芸名や戯曲のタイトルを考えて欲しい、と言われたりするが、その時に浮かぶものは純度が低い。それなりに配慮があるからだ。 コントライブをやる時には、新たに浮かぶものにしている。 最近、完全にタイトルに惹かれ、購入した 「電話・睡眠・音楽」という漫画。 34歳の渋谷勤務のOLが街を彷徨い、判で押したような

          口紅、最終手段として

          青い鳥文庫

          昔からなのだが、片手に女性が今日することをメモしていることに、うっとりしてしまう節がある。 このご時世、携帯電話のメモ機能もあれば、そもそもメモ帳だってある。だのに、利き手じゃない方の手に今日することを書いている。 どこがうっとりするポイントかといえば、それぐらい緊急性が高いことから察するに「明日でいいじゃないか」精神がないこと、 そして、忘れっぽいというお茶目さである。 もしかしたら、手を石鹸で洗ううちに落ちて、結局、抜けていくこともあるだろう。 昔、名刺に特徴を

          青い鳥文庫

          こいちじかんとりっぷ

          近所に「似鳥」という表札の一軒家がある。 こういう場合、私はふと立ち止まり、妄想を膨らませる。 ピンポン。 「はい」「似鳥様のお宅でしょうか」「そうですが、どちら様でしょうか」「いや、似鳥様のお宅かなあ、って」「そうですよ、だからどちら様なんでしょうか」「いや、あの、お値段以上、のですよね?」「はい?」「いや、だから、表舞台に出るときは片仮名の?」「ああ…そうです、そうですよ。だからなんですか?」「はあ…感動だなあ…」「え?」「いや、だって、こんな近所にいるわけないと思

          こいちじかんとりっぷ

          すきな店ほどフランス語

          もうまんまな話である。 つまり気に入っていれば、気に入っているほど覚えられないのである。 ラやルから始まった日には、もう匙を投げている。「郵便局の向かいの」「交差点を渡ってすぐの」が精一杯の暗記の仕方である。 もしかしたらば、誰にも教えたくない、という心理が自然と働いてるのかもしれない。 だから勝手に日本語の店名を上塗りしていきたい。 あの花屋は「ハンケチ落とし」、あのカフェは「反時計回り」、あの雑貨屋は「茶柱」、 あと、あの日の夜の店は「忘れない」。

          すきな店ほどフランス語