さかいめ

詩?エッセイ?日記? 悩みや悶々とした感情が物書きの起爆剤になりがちな学生。

さかいめ

詩?エッセイ?日記? 悩みや悶々とした感情が物書きの起爆剤になりがちな学生。

マガジン

  • 自作作品集📚

    完全オリジナルです。楽しんで貰えると嬉しいです!

  • 日常🌞🌛

  • 毎週ショートショートnote

    毎週お題に沿ったショートを書いていきます✋

  • 君に届ける、初夏の風

最近の記事

寄り添って、生、感謝

冬のエアコンは乾燥する。めいこは今年の冷え込みに驚きながら、帰宅してすぐさま暖房モードになったエアコンをつける。本当は、石油ストーブがいい。あの独特の灯油の香りはどこか安心感があって、部屋の温まりも体を芯から温めるものだから。だが火気厳禁、賃貸住まいには夢のまた夢。 めいこは幼い頃に石油ストーブで、自分の髪を焦がして遊ぶのか好きだった。髪が焦げるもなんとも言えない嫌な匂いがして、それがまた背徳だったりした。 背徳といえば、それは、どこか正しくありたい、そう思う気持ちに反し

    • ハートの量

      人のハートに注がれる エネルギーの量も、 その燃費も、 もとの容器ですら人それぞれなんだと、 帰り道に銀杏を匂い、 寒さすら感じさせる風に心躍らせ、思う。 あの人は大きな容器に、 なみなみとエネルギーが入っている。 その人は、特段大きい容器ではないけれど、 上手にエネルギーをやりくりして、 行きつけのガソリンスタンドがあるのか、 満タンにし直すのだって得意なんだ。 私は、、、 容器は人並みだけど、 人に会えばドバドバとそれを使うし、 自分で上手にエネルギーを満タンにでき

      • (タイトル未定)告白水平線から

        今年で17になる大畑花火には、そろそろ「大学」という言葉が現実味を帯びてくるころだ。そうなると自分の先を見据えなければいけなくなっても来る。 海の香りが吹き込む教室で、花火は『進路希望調査』と書かれたA4紙と向き合っていた。 「高校2年の夏休みまで、あと1週間もない。この夏からかなり大学入試の対策も本格化してくるからな~」 教壇でのんきそうに担任の平野が言う。 この海辺の高校の大学進学率は高くない。毎年1学年60人程度から、この特進クラスのうちの約半分、10名だけだから、

        • 告白水平線から

          去る波と来る波がこすれる音がいつだって耳元でする。 ぼぅっと見つめる黒に、先ほどの本物の花火が散る残像が見え、海のしけた空気を防波堤の上で大きく吸いこむ。 クラゲがもやもや、と水辺であそんでいた。 花火は不意に背中に違和を感じて、思わず手を背に伸ばす。 クラゲを見るたび、背中は疼き、一瞬だけ呼吸が止まる。 呑まれそうな夜の海の深い闇を心地よく思い、しかし生々しい恐怖を感じたとたんに夜の海を怖いと感じた。 海の月はただ無感情に海を漂うだけだった。 最近はこんな長めの小説

        寄り添って、生、感謝

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          25本
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          15本
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          15本
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          7本

        記事

          2週間前から書くことが進まない💦

          2週間前から書くことが進まない💦

          未来の断捨離

          ネオンが輝く6畳間。 私の水槽はここ、ここ居れば怖くない。 私はいつまでだって、ここに居られる。何度この部屋だけで過ごし、一日を終えて、また別の朝を迎えようと、いつまでだって。 いつまでだって… いつまで…? 『あの、ところでマルさんは未来に希望とか持たれてる系ですか?』 薄く発光しているヘッドホンを通って、トモダチの唐突な質問が届けられた。何となく震える声に少し苛立ちながら、私は少し考える。系ってなんだよ。 目は、手元を見る。手は、癖でマウスを遊ぶ。 長く、キラキ

          未来の断捨離

          実は韓国26日目

          お久しぶりです、さかいめです。 早速ですが、韓国に1ヶ月留学をしております。 早くも26日目… え?1ヶ月もnote放置して、何をこの26日間してたんだって? いや、ほんとに申し訳ないです💦 不器用すぎて、なにかに夢中になると他のモードに入れない自分(言い訳) おかげで色んな体験をしています。 韓国旅行してる方は沢山いらっしゃいますし、超レアな体験してみた、とかそういうことは無いんですが、学校の先生とも仲良くなれたり、顔なじみの人が出来たり、新しく友達が出来たり… 多

          実は韓国26日目

          【青い血が欲しい】

          「…っつ」 白い紙が指の皮を裂き、夏海は自分の赤い血を見る。 新鮮で、空気に初めて当たった、処女だった血。 処女をすてた日、 いや、捨てても、棄ててもいないや。 やわらかいマシュマロのようなふわふわの上で、私の処女は融けていったんだ。 永いこと寄り添った仲間を失って、初めは気づかなくて、 お菓子をすべて食べ終わった後に残る寂しさのように、 あれをほんの少し偲ぶ気持ちが代わりに残った。 処女溶解のあと、 何だか変わった。 あれに付きまとっていたとげとげした、あるいは張り

          【青い血が欲しい】

          【父は不眠症】

          父は不眠症だ。 生粋のやんちゃ坊主(ほんとに坊主)、若かりし頃のどこでも寝る男君は、 家長になって、仕事を頑張って、課長になって以来、 目の下に影の層を、ミルフィーユがごとく、積み重ねていった。 父は2時間か3時間の眠りで目が覚める。 父の夜は短い。 彼が自分の名を忘れ、裸になって、ただの睡眠体である時間は、24時間分の2。 彼を彼に強く結びつけるものは 永い事張ったままのタコ糸。 それは仕事の恐怖や、家族への責任や、親への憎悪をまたいで、引き継いで、色を染めなおし、純

          【父は不眠症】

          【苔の生えた】

          変わってて、自由だというその言葉に孕む、 非常識だというニュアンスに非常に怒りを感じた。 分かってる 私は自由だ、 おそらく人より許容の縄の結びが緩い おそらく人としたいことがちがう おそらくしたいことをすぐさま身体に伝達して動かす だから変わってるって だから自由だと言われる だから非常識だって 女っぽくないって そうだよ、女の定型に縛られるのはまっぴらだ 何が悪い 「おんな」はお上品で、小さい菓子箱みたいなのに可愛くすっぽり収まってんだろ。 嫌だそんなの 瓶か

          【苔の生えた】

          『お久しぶりです』

          境界がふやけ甘くなって、書くのが怖くなった。 世界と私が同じで、私の体に私がいない。だから勝手に言葉が生まれていた。 そんな無意識にほとばしる言葉をここに落とせなかった。 世界と私の接続は、私を抱くけど、かき消しもする。 暑くなって、本当に私が世界に溶けだしてしまいそうになって、やっと点線だった境界は戻った。 私は幾億幾万幾千の有機を宿す国家だ、世界だ。 別に危険な思想なんかじゃなくて、ごく当たり前に多分みんな出来ていること。 たまに揺らぐんだ、私は、境界線が。

          『お久しぶりです』

          なんと言うか、最近はじぶんのとりあえずの限界値のようなものを知ってリラックスして文を綴ってます。 ああ、私ってこんなに明るい幸せな文を書くのが不得意なんだ…!と実感しました。 でも、人一倍幸せは感じやすいんですよ? 昨日だって午後4時のこの子との邂逅で今朝までハッピーです❕

          なんと言うか、最近はじぶんのとりあえずの限界値のようなものを知ってリラックスして文を綴ってます。 ああ、私ってこんなに明るい幸せな文を書くのが不得意なんだ…!と実感しました。 でも、人一倍幸せは感じやすいんですよ? 昨日だって午後4時のこの子との邂逅で今朝までハッピーです❕

          小説【クリック】

          コメント欄の罵詈雑言。キリキリと胃腸が壁面を削ってるみたい。 画面が暗転。 優はハッとなってそこにうつった自分を見る。暗い、口角の下がった顔。 「ぶさいく…」 はは、苦笑いしてみる。よくそうやってネット上で流れてくる動画の中の人が言うから。 今、発した言葉は一体自分の言葉だろうか? それとも誰かの受け売り。コピー。感情の欄が空っぽなもの? そんなこんなを考えてるのに指は止まらない。縦に滑って、横に引っ張って、少し空中をさまよって、次のオアシスに入り込む。なんだかリフレ

          小説【クリック】

          【帰省】ショートエッセイ

          ↑上記のものに関連します。 時計の針はああ見えて周りが早いもので、気づけば、2ヶ月近くがすぎていた。 彼に会いに行った。 一緒に行くはずだった友人は結局来れなくて、わたし一人、彼と向き合った。 天候は最悪の中で戻ったけれど 奇跡的にたどり着いた地元。 空気を大きく吸い込む。 彼を探し出すのに骨が折れて、とうとう30分はかかったと思う。 静かに、質感のつるっとした、冷たい石。 側面にはしっかり彼の名前があって、指でその削られたのをなぞって下へ滑らす。 二十歳。

          【帰省】ショートエッセイ

          夜に負けるポジティブ,に負ける夜を過ごす,今日この頃.

          夜に負けるポジティブ,に負ける夜を過ごす,今日この頃.

          【詩】黒絵の具の波紋のように

          夏です。 汗を垂れ流すほどかいて、 かいて、 かいて、 かいて、 全身から、身のうちから 汚れを 取り出したい。 汗の透明な玉には いつか、かつての焦りや憎悪や嫉妬が滲んで どうかそれは 私の体内から追い出され、 これ以上汚れないようにと、 夏は死ぬほど、汗をかきたい。

          【詩】黒絵の具の波紋のように