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JW239 欠史八代の系譜

【開化天皇編】エピソード24 欠史八代の系譜


第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。

ついに欠史八代(けっしはちだい)の解説がおこなわれることとなった。

開化天皇こと、稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)(以下、ピッピ)の元に、多くの家臣が集まる。

まずは二人の大臣(おおおみ)。

すなわち、物部大綜杵(もののべ・の・おおへそき)(以下、ヘソ)。

そして、ヘソの息子、伊香色雄(いかがしこお)(以下、ガーシー)。

更に、大伴角日(おおとも・の・つぬひ)(以下、ツン)。

久米五十真手(くめ・の・いまて)(以下、マッテ)。

中臣神聞勝(なかとみ・の・かみききかつ)(以下、ミッキー)。

大倭御物(やまと・の・みもの)。

葛城伊牟久(かずらき・の・いむく)(以下、イム)。

尾張建諸隅(おわり・の・たけもろすみ)(以下、ケモロー)。

和珥彦国姥津(わに・の・ひこくにははつ)(以下、ニーハン)。

計九名の家臣たちである。

ニーハンは言う。

物語的要素を記載していないのは何故か?

それに対し、マッテが返答するのであった。

ニーハン「ところで、欠史とされているのは、物語的要素が無いからであろう? 適当でも良いから、物語を書いておけば、このように疑われることもなかったのではないか?」

ピッピ「そ・・・そう言われると・・・。な・・・なにゆえであろうか?」

マッテ「書かなかったんじゃなくて、書けなかったんじゃないっすか?」

ヘソ「書けへんかったって、どういうことやねん?」

マッテ「実在か架空か・・・はともかく、物語が無いってことが、周知の事実だったなら、無闇に書けないっすよね?」

ガーシー「ツッコミ入れられるぐらいなら、潔(いさぎよ)く書かへん・・・っちゅうこと?」

マッテ「そうだと思うんすよね。」

御物「なかなか面白い発想やに。」

ケモロー「そう考えるとよぉ。系譜だけが残ったという説も、信憑性が高くなるで。」

ピッピ「系譜だけが残った?」

ケモロー「エピソード224でも、少し話したんだけどよぉ。実は、当今(とうぎん:今の大王)と先代は、親子じゃないかもしれんという説が有るんだがや。」

ピッピ「お・・・親子ではないっ!? な・・・何を言っておるのじゃ?」

マッテ「大王が驚かれるのも無理ないと思うんすけど、でも、有り得るんすよね。」

ピッピ「有り得るじゃと? どこをどう、ひっくり返せば、そうなるのじゃ?」

マッテ「系譜だけだと、どういう血縁関係なのか、さっぱり分からないっすよね? だから、仕方なく、親子関係にしたってことっす!」

ピッピ「待てっ! 系譜だけが残ったという前提で、話を進めてはおらぬか?」

イム「左様! 大王の申される通りにござるぜ。」

ミッキー「なにか根拠でも有れば、別だけど・・・。」

マッテ「それが有るんすよね!」

ケモロー「えっ!? 有るんきゃ?!」

ピッピ「一体、何じゃ!?」

マッテ「鍵(かぎ)となる人物がいるんすよ。」

ツン「人物? 人物が根拠になるんか?!」

マッテ「その通りっす! その名も、磯城葉江(しき・の・はえ)殿っす!」

ピッピ「葉江と申せば、御初代様の時、エピソード52で『げすと出演』してから、六代目の御世、エピソード129で『くらんくあっぷ』なされた御仁(ごじん)であったな?」

マッテ「その通りっす! 歴代の大王は、その葉江殿の娘を妃にしてるんすよ。」

ピッピ「そのようなこと、当たり前ではないか・・・。磯城一族は、当時、強大な勢力を誇っておったのじゃぞ? それゆえの婚姻ではなかったか?」

マッテ「大王・・・。よぉく考えてください。御初代様の頃から、六代目の御世って、普通に考えると、有り得ないっすよね?」

ピッピ「た・・・たしかに・・・。六代目は、御初代様の来孫(らいそん)じゃ。葉江は、長生きを通り越して、バケモノになっておるな・・・。」


系図(来孫)

マッテ「そして、葉江殿の娘を妃に迎えたのは、三代目と五代目、そして六代目なんすよ。けっこう無理が有りますよね?」

ピッピ「葉江は、世代的に見た場合、二代目と同世代であったな?」

マッテ「そうっすね。なので、三代目の時は、有り得る話なんすけど、五代目と六代目については、ちょっと無理が有りますよね?」


系図(磯城氏)

ニーハン「待て待て! その話が、系譜だけが残ったという説と、どう関わってくるのじゃ?」

御物「分かったに! 磯城一族の系図に、大王の名前をあてはめるっちゅうことやろ?」

マッテ「その通りっす! そうすると、見えてきますよね?」

ニーハン「なっ!? で・・・では、五代目と六代目は、三代目と同世代ということか?」

マッテ「そういうことっす!」

ヘソ「ホ・・・ホンマけ?! こ・・・これがホンマやったら、大変なことになるで、しかし!」

ガーシー「ちょっと待ってくださいよ! せやけど『記紀(きき)』は、親子と記載してるわけでしょ? 葉江の娘を見たら、一目瞭然のことやのに、なんで、こないな面倒なことしたんや?!」

ミッキー「そうだよ! 三代目と五代目、六代目は兄弟だったってことなんでしょ?」

マッテ「兄弟とは言い切れないんすよ。」

ピッピ「なにゆえじゃ? 同世代と言っておったではないか?」

マッテ「同世代であったとしても、兄弟とは言い切れないんすよ。従兄弟だったかもしれないですし、又従兄弟だったかもしれないわけですから・・・。」

ピッピ「そ・・・そうか・・・。その可能性も有るのか・・・。」

ツン「じゃっどん、そう考えると、葉江の娘を妃に迎えたことも自然な形になるのう。」

マッテ「そうっすよね!」

ケモロー「ほんで、結局、どういう血縁関係か分からんっちゅうことで、親子にされたということきゃ?」

マッテ「そうだと思うんすよね。」

イム「されど、磯城一族の繁栄そのものが、創作であるという説も有るのでござるぜ。」

ピッピ「なに!? 磯城一族の存在が創作じゃと!?」

イムの衝撃発言。

一体、どうなってしまうのであろうか。 

次回につづく

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