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JW240 欠史八代と磯城氏
【開化天皇編】エピソード25 欠史八代と磯城氏
第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。
ついに欠史八代(けっしはちだい)の解説がおこなわれることとなった。
開化天皇こと、稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)(以下、ピッピ)の元に、多くの家臣が集まる。
まずは二人の大臣(おおおみ)。
すなわち、物部大綜杵(もののべ・の・おおへそき)(以下、ヘソ)。
そして、ヘソの息子、伊香色雄(いかがしこお)(以下、ガーシー)。
更に、大伴角日(おおとも・の・つぬひ)(以下、ツン)。
久米五十真手(くめ・の・いまて)(以下、マッテ)。
中臣神聞勝(なかとみ・の・かみききかつ)(以下、ミッキー)。
大倭御物(やまと・の・みもの)。葛城伊牟久(かずらき・の・いむく)(以下、イム)。
尾張建諸隅(おわり・の・たけもろすみ)(以下、ケモロー)。
和珥彦国姥津(わに・の・ひこくにははつ)(以下、ニーハン)。
計九名の家臣たちである。
前回は、系譜だけが残った結果、歴代の大王は、親子の関係にされたのではないか、という議論がなされた。
その根拠として、磯城葉江(しき・の・はえ)という人物が挙げられたのであるが・・・。
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イム「されど、磯城一族の繁栄そのものが、創作であるという説も有るのでござるぜ。」
ピッピ「なに!? 磯城一族の存在が創作じゃと!?」
マッテ「えっ!? 創作なんすか?!」
イム「断言はできないのでござるぜ。されど、『記紀(きき)』が編纂された時代背景を考えると、その可能性も有るのでござるぜ。」
ヘソ「どういうことやねん! 詳しゅう話してくれんと、怒るで、しかし!」
イム「歴史書である『記紀』の編纂を命じたのは、誰でござるか?」
ガーシー「そりゃあ、やっぱり、天武天皇(てんむてんのう)でしょ。」
イム「左様。その天武天皇にござるが、壬申(じんしん)の乱で大王(おおきみ)となったのは御存知にござるか?」
ピッピ「かなり遠い未来の話ではないか・・・。たしか、西暦672年だったような・・・。」
ツン「その通りっちゃが! 飛鳥時代に起きた、皇位継承争いのことやじ!」
ケモロー「それが、どう関わって来るんだ?」
イム「この内乱の時に、天武天皇を応援したのが、磯城県主(しき・の・あがたぬし)なのでござるぜ。」
御物「磯城県主が勝利に貢献したということか?」
イム「左様。それゆえ、歴史書編纂の際に、磯城氏は、草創期にも貢献していたと創作したのではないか・・・と言われているのでござるぜ。」
マッテ「それは有り得ないっすよ!」
ミッキー「どうして、そう思うの?」
マッテ「創作物なら、葉江殿の娘を五代目と六代目の妃には、しないっすよ。」
ニーハン「もっと自然な形にするということか?」
マッテ「その通りっす! 俺なら、葉江殿の息子、太真稚彦(ふとまわかひこ)殿の娘にするとか、新たに葉江殿の孫を設定するとか、もっと辻褄(つじつま)が合うようにしますね。」
イム「い・・・言われてみると・・・。」
ピッピ「たしかに、不自然過ぎるのう。」
ガーシー「ツッコミを入れてくれと、言ってるようなモンやなぁ。」
ヘソ「ツッコんでほしかったんと、ちゃうか?」
御物「何を言っちょるんや!」
ミッキー「もしかすると、代々、磯城県主の家に、伝わっていた話かもしれないね。」
イム「なるほど。壬申の乱に貢献した、磯城県主の伝承を優先的に採用した可能性も有るのでござるぜ。」
ニーハン「それは、充分に有り得そうじゃのう。」
マッテ「まあ、そういうわけで、系譜だけが伝わり、仕方なく親子関係にされたのではないか・・・という話でした。」
ピッピ「まとめると、欠史八代の実在性については判然とせぬが、系譜だけが伝わっていた可能性は、大いに有るということじゃな?」
マッテ「その通りっす!」
ピッピ「されど、父上と我(われ)が、親子ではないかもしれぬなど・・・。」
ツン「仕方なかっ。はっきりしちょらん、大王が、悪いんやじ!」
ヘソ「せやけど、欠史八代なんて呼ばれたり、架空の人物とか言われて、ちょっと可哀そうやな。」
ピッピ「今後の史料発見に望みを託すほかないか・・・。」
ニーハン「新たな史料など出て来るのか?」
御物「別の書物が見つかる可能性なんて低いっちゃ!」
ミッキー「書物じゃない史料なら、出て来るかもしれないね!」
ケモロー「書物でない史料? どういうことだ?」
ミッキー「木簡(もっかん)とか鉄剣(てっけん)とかに刻まれたモノだよ!」
ケモロー「なるほど! その手があったがや!」
ピッピ「見つかると良いのう。いや、見つかってくれ!」
ヘソ「とにもかくにも、これで、欠史八代の解説は終わりやな?」
ガーシー「そうですねぇ。」
ピッピ「皆、大儀であった。」
ケモロー「では、我(われ)は、丹波国(たにわ・のくに)に行ってくるがや。」
ピッピ「唐突に何じゃ?」
ケモロー「ちょっと紹介したい神社が有るでよ。」
イム「気になるのでござるぜ。」
マッテ「じゃあ、解説の合いの手が必要っすね! 俺も付いて行きましょうか?」
ケモロー「大丈夫だがや。娘を連れて行くでよ。」
ピッピ「汝(いまし)の娘? 我(わ)が妃、丹波竹野媛(たにわのたかのひめ)こと『たかの』を連れて参るのか?」
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ケモロー「いえいえ、もう一人の娘だがや!」
ピッピ「なに!? もう一人、娘がおったのか!?」
もう一人の娘とは・・・。
次回につづく
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