JW231 孫が出来ました
【開化天皇編】エピソード16 孫が出来ました
第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。
時は流れ、紀元前130年、皇紀531年(開化天皇28)となった。
そんな年明け早々の1月5日、開化天皇こと、稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)(以下、ピッピ)は、ある発表をおこなった。
日嗣皇子(ひつぎのみこ)を定めたのである。
日嗣皇子となったのは・・・。
ピッピ「もう分かっておるとは思うが、あえて申そう! 御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)こと『ミマキ』じゃ!」
ミマキ「こ・・・此度(こたび)、日嗣皇子となりもうした、ミマキにござる。よ・・・よろしゅう御願い申し上げ奉(たてまつ)りまする。」
ピッピ「うむ。して、汝(いまし)も、齢(よわい)十九。妃もおる。よって、これより、妃を披露(ひろう)せよ!」
ミマキ「い・・・今からにござりまするか?」
ピッピ「当たり前じゃ! さっさと呼んで参れっ!」
ミマキ「か・・・かしこまりもうした。で・・・では、呼びまする。まず一人目、遠津年魚眼眼妙媛(とおつあゆめまぐわしひめ)にござる。『アユ』と、お呼びくだされ。」
アユ「はぁぁい! 私が『アユ』だよ!」
ピッピ「して、どこの豪族じゃ?」
アユ「私は、木国造(き・のくに・のみやつこ)の娘だよ。神武東征で登場した、天道根(あまのみちね)殿の子孫になるんだよね。」
ミマキ「そうなのです。ようやく、私の代で、木国造と縁続きになったわけです。」
アユ「あとね・・・。この物語のオリジナル設定で、三毛入野(みけいりの)様と一緒に、高千穂(たかちほ)まで旅をした、比古麻(ひこま)殿の曾孫だよ!」
ピッピ「エピソード35.5と35.6に登場した、比古麻殿の曾孫じゃと!? 世代的に、おかしいではないかっ!?」
アユ「大王の家系が、おかしなことになってるんじゃない? 欠席八回とかいうヤツで・・・。」
ミマキ「アユ・・・。欠史八代(けっしはちだい)じゃ・・・。」
アユ「そうそう! それ!」
ピッピ「ま・・・まあ、否(いな)とは言えぬ・・・。」
ミマキ「で・・・では、アユとの間に生まれた子供たちも披露致しまする。まず一人目、豊城入彦(とよきいりひこ)にござる。『トッティ』と、お呼びくだされ。」
トッティ「お初にお目にかかりまする。我(われ)が『トッティ』だっぺ!」
ピッピ「おお! 我(われ)の初孫か!?」
ミマキ「初孫か、どうかは、よく分かりませぬが、父上の孫にござりまする。」
ピッピ「うむうむ。どんどん披露致せっ!」
ミマキ「続きまして、二人目、豊鍬入姫(とよすきいりひめ)にござる。『きぃ』と、お呼びくだされ。」
きぃ「お初にお目にかかりまする。『きぃ』にござりまする。」
ピッピ「そうか、そうか・・・。オミナ(女)まで・・・。我(われ)も娘が欲しかったのう・・・。」
ミマキ「は・・・はぁ。そ・・・それから、もう一人の妃を披露致しまするぞ。尾張大海媛(おわりの・おおあまひめ)にござる。『オー』と、お呼びくだされ。」
オー「お初にお目にかかるがね。『オー』だがね。」
ピッピ「お・・・尾張? も・・・もしや・・・。」
ピッピが予測した通り、あの人物が、唐突に現れた。
尾張建諸隅(おわり・の・たけもろすみ)(以下、ケモロー)である。
ケモロー「やっとかめだなも(お久しぶりです)!」
ピッピ「やはり、汝(なれ)の娘であったか・・・。」
ケモロー「ハズレだがや! 我(われ)の妹だがや!」
オー「兄上! 解説の手助けに来てくださったんかね?」
ピッピ「あ・・・兄上? では『オー』は、汝(なれ)の父、建宇那比(たけうなひ)こと『うな吉』の娘であると?」
ケモロー「そういうことになるがや。」
ピッピ「お・・・おかしいではないかっ! 我(われ)は、汝(なれ)の娘を妃として、我(わ)が息子は、汝の妹じゃと!?」
ケモロー「おかしいのは、欠史八代の大王(おおきみ)の方でないきゃ?」
ピッピ「うっ・・・。否とは言えぬ・・・。」
ミマキ「ま・・・まあ、そういうわけで『オー』との間にも、子供が出来ましたので、披露致しまする。まず一人目が大入杵(おおいりき)にござる。『リキ』と、お呼びくだされ。」
リキ「お初にお目にかかるでぇ。『リキ』やで。よろしゅう頼んまっせ!」
ミマキ「二人目が、八坂入彦(やさかいりひこ)にござる。『ヤサク』と、お呼びくだされ。」
ヤサク「お初にお目にかかりまする。『ヤサク』にござりまする。」
ミマキ「続きまして、三人目、渟名城入姫(ぬなきいりひめ)にござる。『ナッキー』と、お呼びくだされ。」
ナッキー「お初にお目にかかりまする。『ナッキー』です。」
ミマキ「そして、四人目、十市瓊入姫(とおちにいりひめ)にござる。『にぃにぃ』と、お呼びくだされ。」
にぃにぃ「お初にお目にかかりまするよ。私が『にぃにぃ』なわけさ。」
ミマキ「以上にござりまする。」
ピッピ「そうか、そうか・・・。孫が、こんなにも・・・。これほど嬉しいことはないぞ!」
ケモロー「ほうか、ほうか・・・。甥っ子と姪っ子が、こんなにも・・・。嬉しいがや!」
アユ「ところで、ミマキ様! なんで『オーちゃん』の方は、四人なのよ!」
ミマキ「はっ? い・・・いや、子は授かりモノであるゆえ、わしには、どうすることも・・・。」
トッティ「母上! 父上を困らせちゃ、ダメだっぺ!」
きぃ「兄上の申される通りにござりまするよ。」
アユ「あ・・・あんたたち・・・。いい子に育ってるじゃないのぉ!」
ピッピ「に・・・賑(にぎ)やかで、なによりじゃ・・・。」
こうして、ミマキは皇太子となり、子供たちの紹介もできたのであった。
つづく
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