JW199 孝霊天皇の神社
【孝元天皇編】エピソード2 孝霊天皇の神社
紀元前215年、皇紀446年(孝霊天皇76)2月8日、孝霊天皇(こうれいてんのう)が崩御(ほうぎょ)した。
日嗣皇子(ひつぎのみこ)である、大日本根子彦国牽尊(おおやまとねこひこくにくる・のみこと)(以下、ニクル)は、代替わりの準備を始める。
そんな時、最近登場できていなかった、大伴大日(おおとも・の・おおひ)がやって来たのであった。
大日「エピソード146以来の登場やじ!」
ニクル「大日・・・。如何(いかが)致した? 我(われ)は忙しいのじゃ。」
大日「そう言わずに聞いてほしいっちゃが! 代替わりするんやじ。では、紹介します。息子の角日(つぬひ)やじ。『ツン』と呼んでほしいんやじ。」
ツン「お初にお目にかかりまする。『ツン』やじ。」
ニクル「左様か・・・。して、何か申すことが有って、参ったのであろう?」
ツン「大いに有るっちゃ! 先代を祀(まつ)った神社を紹介するんや!」
ニクル「先代を祀った神社?」
大日「その名も、伊豫神社(いよじんじゃ)やじ。愛媛県に鎮座(ちんざ)しちょるんやじ。」
ツン「じゃっどん、諸説有るんや。一つ目は、松前町(まさきちょう)の神崎(かんざき)やじ。」
ニクル「待て、待て・・・。なにゆえ、諸説有るのじゃ?」
大日「これには『延喜式(えんぎしき) 神名帳(じんみょうちょう)』が関わっちょるんや。」
ニクル「延喜式?」
ツン「西暦927年、皇紀1587年(延長5)に作成された、神社の一覧表やじ。」
ニクル「後の世に作られるモノか・・・。して、それが、どう関わると申すのじゃ?」
大日「この一覧表に記載されちょる『伊豫神社』は、当然ながら、一社なんやじ。」
ツン「じゃっどん、同じ名前の神社が有る場合、ややこしいことになるんや。」
大日「我(われ)こそが、当該の神社やと、主張し合うことになるわけや。」
ニクル「なるほどのう。それゆえ、諸説有るというわけか・・・。」
ツン「じゃが(そうです)。そして、二つ目は、伊予市(いよし)の上野(うえの)やじ。」
大日「ちなみに、主祭神は、彦狭島(ひこさしま)こと歯黒(はぐろ)様やじ。」
ニクル「なんと・・・。では、歯黒兄上と父上が祀られておるというわけじゃな?」
ツン「じゃが(そうです)!」
ニクル「されど、なにゆえ、歯黒兄上は、伊豫神社に祀られておるのじゃ?」
大日「そ・・・そこは、ロマンにしておいてくんない(ください)!」
ニクル「こ・・・これもロマンか・・・。」
つづいて、やって来たのは、久米味耳(くめ・の・うましみみ)(以下、ウーマ)であった。
ウーマ「エピソード140以来っすよ!」
ニクル「汝(いまし)も代替わりするのじゃな?」
ウーマ「その通りっす! では、紹介します。息子の五十真手(いまて)っす。『マッテ』と呼んでほしいっす!」
マッテ「お初にお目にかかるっす。『マッテ』っす!」
ニクル「して、汝(いまし)らも、語るのじゃな?」
ウーマ「さすがは日嗣皇子! 先代を祀った神社、まだ有るっすよ!」
マッテ「その名も、山田神社(やまだじんじゃ)っす!」
ウーマ「鳥取県伯耆町栃原(ほうきちょう・とちばら)に鎮座してるっす!」
ニクル「伯耆町? 先代が、お隠れあそばされた地は、伯耆町宮原(みやばら)であったな?」
マッテ「さすがは日嗣皇子! 宮原の樂樂福神社(ささふくじんじゃ)の近くなんすよ!」
ウーマ「東に四キロほどの場所っす!」
ニクル「こちらの神社もまた、先代と所縁(ゆかり)の有る土地なのであろうな・・・。」
つづいて、やって来たのは、大倭邇支倍(やまと・の・にきべ)(以下、ニッキー)であった。
ニッキー「エピソード148以来の登場やに!」
ニクル「代替わりじゃな?」
ニッキー「御明察やに! では、紹介します。うちの息子、飯手(いいて)やに。『いっくん』と呼んでほしいっちゃ!」
いっくん「は~い! うちが『いっくん』だよ!」
ニクル「して、汝(いまし)らは、どこの神社を紹介してくれるのじゃ?」
いっくん「うちらは、三島神社(みしまじんじゃ)を紹介するよ!」
ニクル「三島神社と申せば、大山祇神(おおやまづみのかみ)を祀った神社ではないか?」
いっくん「さすがは日嗣皇子! その通りだよ!」
ニクル「大山祇神は、山の神。その神社に、先代も合祀(ごうし)されておるということか?」
ニッキー「そうやに! ちなみに、鎮座地は、新潟県柏崎市(かしわざきし)やに!」
いっくん「そこの剣野町(けんのちょう)に鎮座してるんだよ!」
ニクル「して、なにゆえ、山の神と共に合祀されておるのじゃ?」
いっくん「どうしてなんだろう? 父上は、どうしてだか分かる?」
ニッキー「分かるわけないっちゃ! なぜなら、これがロマンやかい(だから)!」
いっくん「さすが、父上!」
ニクル「こ・・・これも、ロマンなのか・・・。」
ニッキー「ちなみに、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)こと芹彦(せりひこ)様も祀られちょるに!」
ニクル「歯黒兄上につづいて、芹彦兄上も・・・。親子ゆえに、共に祀られておるのか・・・。」
いっくん「あれぇ? もしかして『やきもち』妬(や)いてる?」
ニクル「何を申すか・・・。『やきもち』に非(あら)ず。少し、羨(うらや)ましいだけじゃ。」
ニッキー「それを『やきもち』というんやけど・・・。」
ニクル「されど、まさか、新潟県・・・高志(こし)にも、先代を祀る神社が有るとは・・・。」
いっくん「すっごくロマンが有るよね!」
ニクル「先代の偉大さを思い知らされたような、そんな気がするぞ。」
ニッキー「そうですなぁ。」
こうして、孝霊天皇を祀った神社の紹介と共に、代替わりもおこなわれたのであった。
つづく
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