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JW408 夢で決めましょう

【崇神改革編】エピソード35 夢で決めましょう


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

紀元前50年、皇紀611年(崇神天皇48)1月。

ここは、磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。

地図(磯城瑞籬宮)

崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)は、義理の母、包媛(かねひめ)(以下、カネ)に悩みを打ち明けていた。

日嗣皇子(ひつぎのみこ)を誰にするか、悩んでいたのである。

系図(カネ)

カネ「王道(おうどう)では、世は収まらぬと?」

ミマキ「活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)こと『イク』ちゃんが、大王(おおきみ)となれば、徳の有る政(まつりごと)が成せましょう。されど・・・。」

カネ「戦(いくさ)には向いておらぬと? 豊城入彦(とよきいりひこ)こと『トッティ』殿であれば、武(ぶ)をもって、諸国を従えさせられると?」

ミマキ「左様・・・。言い換えれば、徳を取るべきか、武を取るべきかで悩んでおるのでござる。」

カネ「大王・・・。私たちが、悩んでも仕方がありませぬ。ここは、神に委(ゆだ)ねられませ。」

ミマキ「か・・・神に?」

こうして、ミマキは、二人の皇子を呼び寄せた。

系図(二人の皇子)

紀元前50年、皇紀611年(崇神天皇48)1月10日のことである。

トッティ「大王? どうしたんだっぺ?」

イク「そうです。どうして、僕と『トッティ』兄上だけなの?」

ミマキ「二人とも、よく聞いてくれ。わしの・・・汝(なれ)たちを想う心に、優劣大小の違いは無い。」

トッティ「何を言ってるんだっぺ。そんなこと、当たり前だっぺよ。」

ミマキ「そ・・・それゆえ、わしは、どちらを日嗣皇子にすべきか分からぬ。」

イク「えっ? 日嗣皇子?」

ミマキ「そこで、神々に委ねることにした。汝(なれ)たちが見た夢で占おうと思う。」

トッティ「我(われ)たちの夢?」

ミマキ「そうじゃ。夢が、汝(いまし)らの行く道を指し示してくれるであろう。」

唐突な夢占いの指示を受けた二人は、川で身を清め、髪も洗い、祈りを捧げて眠った。

そして翌朝・・・。

ほのぼのと夜が明けそうな頃合いに「トッティ」がやって来た。

トッティ「大王。言われた通り、夢を見たっぺよ。」

ミマキ「そ・・・そうか。して、如何(いか)なる夢であった?」

トッティ「我(われ)は、三輪山(みわやま)に登り、東の方に向かって、八回、槍(やり)を突き出し、八回、剣(つるぎ)を空に振りました。そんな夢だったっぺよ。」

そして、次に「イク」がやって来た。

イク「僕が見た夢は、三輪山に登り、縄を四方(よも)に引き渡し、粟(あわ)を食べる雀(すずめ)を追い払う夢でした。」

ミマキ「そ・・・そうか。『トッティ』は、東にだけ向かっておった。それゆえ、東国(とうごく)を治めよ。『イク』ちゃんは、四方を臨(のぞ)んだ。日嗣皇子となれ。」

こうして、日嗣皇子が定まったのであった。 

つづく

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