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光る君へ 第十回の感想~文通の衝撃〜

第十回、観ました。


保険をかける兼家

花山かざん天皇てんのう退位に向けて、陰謀が動き出しましたね。

そんな中、兼家かねいえは、しくじった場合を想定していました。

道長みちながだけは生き残り、家名が存続するようにしていたのです。

自分の子供さえ、駒として扱い、政治の道具にしてしまう兼家。

そんな父に、道長は、恐怖や嫌悪感を抱いたようです。

直秀なおひでの死が、脳裏に浮かびます。

人を駒として扱った結果、道長は、友を失ってしまったわけですが、兼家の息子である限り、これからも似たような事が繰り返されるのでしょう。

直秀の死と退位計画を通じて、正面から、一族の闇と向き合わねばならなくなった、道長。

その重圧に、苦しんでいるようでしたね。


召人だった乳母

惟規のぶのり乳母めのとである「いと」が、召人めしうどだと判明しましたね。

召人とは、愛人の事です。

「殿様は諦めます。高倉の女に、くれてやります。」

娘の前で言う事ではないと思いましたが・・・。

と思いきや、ヒロインの返しが、凄かったですね。

「くれてやらなくても・・・。父上は『いと』の事も大切に思っているわよ。」

姫様からの大人な返しに、「いと」さんも、驚きの表情でしたね。


文通(一通目)

道長から、文が届きました。

「恋しくて、たまらない・・・」みたいな和歌。

和歌を読んだヒロインは、鳥辺野とりべのの一件を思い浮かべ、察します。

「あの人の心は、まだ、そこに・・・。」

道長が、現実逃避していると気が付いたのです。

恋に逃げている・・・とも言えますね。

辛くて苦しいので、ヒロインに、甘えようとしている・・・とも取れますね。

とにかく、ヒロインは、道長が、あれからずっと、打ちひしがれている事を知ったのでした。

そこで、ヒロインは、叱咤激励の漢詩を送ります。

陶淵明とうえんめい帰去来ききょらい

「官職、捨ててやったぜ。これからは、自由だ・・・」みたいな漢詩。

友を失った悔しさを糧にして、心のままに動いていく時だ・・・世を変えられるのは、あなただけ・・・と伝えたかったんですが・・・。

当の道長は、よく分かってない様子。

陶淵明みたいに、官位を捨てて、都落ちしろって事?・・・と考えているかもしれませんね。


文通(二通目)

道長から、返信が来ます。

「逢えないと、死んじゃうかもしれない・・・」みたいな和歌。

しかし、会わないと決意しているヒロインは、再び、帰去来の辞で返します。

「過ぎた事を悔いても、仕方がない。これから先の事は、どうとでもなる・・・」みたいな漢詩。

直秀の一件を引きずっていても、何も変わらない・・・と伝えたのですが・・・。

やっぱり、よく分かってない、道長。


文通(三通目)

道長から、再びの返信。

「逢えなかったら、死ぬ・・・」みたいな和歌。

そこで、ヒロインも、もう一度、帰去来の辞で返します。

「引き返せない過ちではない。悔い改める時間は、充分にある・・・」みたいな漢詩。

父親の真似をして、間違いだと気付いたんだから、今こそ、変革の時だと思わない?・・・と伝えたわけですが・・・。

やっぱり、よく分からない、道長。

最終的に、道長は、藤原行成ふじわら・の・ゆきなりに尋ねます。

行成の説明が、素晴らしかったですね。

和歌は、人の心を表すモノで、漢詩は、こころざしを表すモノ・・・。


的外れな詮子

源明子みなもと・の・あきこ様が、登場しましたね。

息子の後ろ盾になってもらうと語る、藤原詮子ふじわら・の・あきこ

詮子、大丈夫?

明子の父、源高明みなもと・の・たかあきらは、失脚して、死亡しています。

養父の盛明もりあきら親王しんのうも、におりません。

後ろ盾?

何を言っているのでしょうか?


幸せで悲しい

道長から、最後の返信。

われもまた、なんじ相見あいまみえんとほっす」

漢詩で送ってきましたね。

志を表したわけですね。

ヒロインは、想いが通じたと思ったのでしょう。

久々の再会を果たした二人。

しかし、道長は、見当違いな事を言ってきました。

一緒に、都落ちしよう!

陶淵明コースを採用した道長に、愕然とするヒロイン。

そうじゃないだろ!

世の中を変えなきゃならんだろ!

しかし、ヒロインのために、地位も、豊かな暮らしも、全て捨てると言います。

道長の覚悟は、それは、それで、立派なモノです。

ヒロインとしても、それは、それで、やっぱり嬉しい。

直秀の死に対する、二人の受け止め方に、相違があったゆえの、すれ違いですね。

道長は、陰謀渦巻く、政争に関わりたくない。

苦しいのです。

直秀の死で、その感情が飽和状態となり、ヒロインと共に暮らす決断に至ったわけですね。

しかし、これは、完全なる逃げ・・・。

ヒロインも、それが分かっているから「一緒に、遠くの国には行かない」と宣言します。

そうではなくて、世の中を正さなければ・・・。

その後、二人は、結ばれます。

しかし、ヒロインが、大人すぎる。

16歳くらいですよね?

ボロボロになった道長の心を救うため、世を正す偉い人になってもらうため、ヒロインは、道長に身を捧げます。

ヒロインは、自身が、逃げる口実に使われた事を理解しています。

それと同時に、追い詰められた道長が、最後に選んだ人は、自分だったという事実も理解しています。

身分に囚われない、その垣根さえ越えていく、道長の気持ちも、本物なのです。

ヒロインは、涙したのち、こう語ります。

「幸せで悲しい」

素晴らしい脚本ですね。


花山天皇出家

大鏡おおかがみのアレンジバージョンでしたね。

以上です。

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