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好きな一冊:果てしなき乾き/乾き。

好きな本をじっくりお話するシリーズ。
今回は、映画と本の感想が混ざっている可能性がわりとあります…。
2014年に公開された邦画「乾き。」の原作、深町秋生さんの「果てしなき乾き」です。
大好きな本でもあり、感想が周りと噛み合わない事が多々あるお話しでもあります。
小松菜奈さん目当で、映画を観たのですが、内容がとても良かったので原作を読むに至りました。上映後、しんと静まり返った、人が座ったままの映画館を後にしましたが、あの後舞台挨拶があったのでは?!と後からずーっと悶々としています。
そして、今回は長めに語っています。

注意:この作品は暴力描写、性的な描写が含まれています。R18〜R15+くらいのようです。
苦手な方は気をつけて!


何となくのあらすじ


元警察官の男性が、失踪した中学生の娘“加奈子”を探し出そうと駆け回るロードムービー。

自分本位で、家庭を顧みてこなかった男性が、愛娘の失踪発覚後、凄まじい執着と執念で周りを暴風域に巻き込みながら、捜索し始める。
なぜ?だれが?何を?

感想と少しのネタバレ

久しぶりに他の人の感想も読んでみたら、かなりバイオレンスな作品だった様子(耐性と解釈の違いにより、あんまり気にしていなかった…)
それよりも何よりも、な私見を綴ります。

このお話は、映画も原作も悲しみと怒りを感じます。悲しみは理解されない加奈子へ、怒りは都合のいい時だけ愛情を振りかざす父親へ。
加奈子の話を、父親である男性の目線、周りから見た彼女の姿から語られていることが、この作品の大きなポイントだと思います(本人が不在のまま話が進む)。暴走している父親にフォーカスされることで、誰も加奈子の悲しみに共感などせず、そうやって父親は常に加奈子の人格を陵辱し続ける。
加奈子の状況と作品全体の暴走した状況は一体になっている感じがした。
加奈子に関わった人達の“加奈子像”はかなり極端だ。その表面は崇拝するほどに天使、行いは悪魔のようだと。

加奈子は数年前、父親に致命的な暴行を受けている(酔った勢いだったため、父親はまったく覚えていない)。それだけでも心が壊れそうだったのに、唯一の心の拠り所だった恋人は酷いいじめを苦に命を絶ってしまう。そして、加奈子は独りになる。
優等生といじめられっ子、恋人であることは公にはしていない。その後の加奈子の行いは、誰にも頼れず、絶望の淵から戻る術もなく、もう戻らない恋人の復讐のために、彼女の全てを費やしていく。
止めてくれる人が現れるその日まで、歯止めなく周りを深淵に飲み込み続ける。

全ての原因は父親と、恋人を死に追いやった同級生なのだ。
復讐は、成功したと言える、でもとても悲しい。
話の描き方がとても好きです。

あとがき

映画を先に観たので、ビジュアルは完全に映画のままで本を読んでいます。小説も映画もどちらも大好きな作品です。
映像を作る人も言葉を紡ぐ人も、こんなに人の心を動かす事が出来て、本当にすごいなぁと感動します。
今回は(も?)中々とりとめがないのですが…、ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!
とっても嬉しいです!

▼「乾き。」の映画の情報も良かったらどうぞ
公式サイトのちっちゃい“menu”から色々見れます。映画はとっても賑やかです。
映画は音楽とビジュアルが、可愛くて虚しくて好きでした。

▼良かったらkikaの、他の色々もどうぞ▼


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