ガラス張りの居酒屋。
札幌市内の中心部を歩いていると、ときたまガラス張りの居酒屋がある。店内で食事と会話を楽しむ人たちが、外からでも見えるような、そんな店。
そんなお店はどこにだって、おそらくある。
地方都市札幌にだって、何店舗もある。
1人でテクテク歩いていて、ガラス張りの居酒屋を見つけると「お? お店にはお客さんは入ってるかな? みんなどんな会話を繰り広げてるのかな?」なんて思ったりするのは、私だけではないでしょう。
そういうお店の前を一瞬だけ通って、窓際の席で会話をしている人たちを見ると、なんでか知らないけど真剣な顔で会話している人たちがいる。
ガラス張りの居酒屋の窓際の席で、
真剣な顔で会話している大人たち。
ふふっ、真剣だなぁ。
真剣な顔で会話する大人たち。
それもガラス張りの居酒屋の窓際の席で。
先日、狸小路という札幌市内中心部のアーケード街を歩いていた。またガラス張りの居酒屋があった。
「お」
と思って何かを期待して一瞬見る。いる。
真剣な顔で会話する大人たち。
ずいぶん真剣だなぁ。
なにを話しているんだろう。
これからの日本の行く末をみんなで論じているんだろうか。たとえば「NISAが変わるらしいぞ」とか話しているんだろうか。
1人で、すすきのを歩く夜があった。
あーぁ、今日もヒマだったなぁ、なんて思いながらテクテク歩いていると、またあった。
ガラス張りの居酒屋だ。
「お」
と思って、これまた店内に視線を移す。
またいる。
真剣な顔で会話する大人たち。
またいるなぁ。
手にはビール、テーブルには食べ物。
男女3人、全員40代くらいに見える。女性は緑色のニットを着ていて、そのテーブルのボス的なおじさんの話すことをうんうん聞いているようだった。
おもしろいのは、ガラスに隔てられているので、彼らの会話が聞こえてこないことである。
なんか口パクなのだ。
なにを話しているんだろう。
「だから君は失敗するんだよ、あの時言ったじゃないか」
「あ、はい、すいません」
とか言ってるのかなぁ。
いくらおしゃれだからって、わざわざガラス張りの居酒屋の窓際の席で、真剣な顔して会話しなくてもいいのになぁ、もっとニコニコして会話したらいいのに、と思ったり。
いや違う。
私が通る時に、たまたま真剣な顔で会話してるだけかも。本当はもっとふざけて爆笑してるのかも。
ガラス張りの居酒屋の窓際の席には、
座りたくないなぁ。
【関連】ガラス張りの居酒屋に私たちは行かない
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