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短編小説

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#ショートショート

完璧な天気予報を目指して

天気予報に得点制が導入された。予報の精度を上げるため、国民が正誤を投票することにしたのだ。しかし実際には精度は上がらず、代わりに彼らは曖昧な予報ばかりするようになった。ついには「明日は明日の風が吹く」などと言い出したが、この予報すら外れた。翌日は、今日と全く同じ天気だったのだ。

フェネックの黒い爪

フェネックの黒い爪

「なんで様式変えたんだ?」

部長がまた、俺の出した書類を突き返した。

「見づらいだけだろこんなの。いつもの様式で書き直せ」
「はい、すみません」

お前が変えろと指示したんだろ、とは言わなかった。誰もこの人に文句なんて言わないからだ。部署全体に、そういう空気が出来上がっている。俺は部長ではなく、その空気に従っていた。

疲れた足取りで席に戻る。隣の同僚が「大変そうだな」という目で俺を見た。

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誰がケーキを食べたのか

誰がケーキを食べたのか

 楽しみにしていたのに。

 冷蔵庫の扉を開けた私は、そのまま硬直していた。入れてあったはずの私のケーキが、何者かに食べられ、なくなっていた。

 いったい誰が食べたのか。そんなもの、妹に決まっている。うちの家族で、一度に二個も食べるような食欲があるのは、私を除けば妹しかいない。

 いやいや、いかんいかん。私は頭を振った。

 私はパズルとミステリを愛する文学少女だ。そんな状況証拠だけで妹を犯人

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何かの手順書

何かの手順書

「S博士、お呼びでしょうか」

「おお、待っていたぞ、C君。実は、例の平成の頃に書かれた古文書が、ついに解読できたのだ」

「えっ、本当ですか!」

「この古文書は、ほとんど同じ内容のものが全国でいくつも見つかっている。これの解読は千年前の人達の生活を知るのにきっと役に立つ……と思ったのだが」

「だが?」

「解読できたのに、結局何が書いてあるのか、さっぱりわからんのだ」

「どういうことですか

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