奇縁堂だより9【本の紹介:日本推理作家協会賞①】

久しぶりになってしまいましたが,奇縁堂だよりの更新です。
 
以前,エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)の紹介をしましたが,今回はその日本版とも言える日本推理作家協会賞を紹介します。


日本推理作家協会賞とは

 本賞は,日本推理作家協会がその年に発表された推理小説の中で最も優れていたものに与えるものです。第1回~第8回までは探偵作家クラブ賞,第9回~第15回までは日本探偵作家クラブ賞,そして第16回から日本推理作家協会賞と呼ばれるようになりました。

 受賞部門は,何度かの改定を経て現在の“長編および連作短編集部門”,“短編部門”,“評論・研究部門”の3つになっています。ちなみに,一度でもいずれかの部門で受賞した作家は,再受賞することはできないことになっています。記念すべき第1回(1948年)の長編賞受賞作は横溝正史の『本陣殺人事件』でした。

過去の主な受賞作品

 近年の受賞者には第69回の柚月裕子『孤狼の血』,第65回の湊かなえ『望郷,海の星』,第59回の恩田陸『ユージニア』,第57回の伊坂幸太郎『死神の精度』,第52回の東野圭吾『秘密』,第51回の桐野夏生『OUT』,第42回の宮部みゆき『龍は眠る』など,ミステリ界の売れっ子作家が目白押しです。
 
 直近の第75回の受賞作は,長編および連作短編集部門が芦部拓の『大鞠家殺人事件』,短編部門が逸木裕の『スケーターズ・ワルツ』,評論・研究部門が小森収・編の『短編ミステリの二百年(全6巻)』でした。

 それでは,今回は書肆奇縁堂の在庫の中から本賞の受賞作をピックアップして2回に分けて紹介します。今回は39回~53回のうちの6冊を取り上げます。ミステリの王道をお楽しみください。

紹介作品リスト

  1. 『チョコレートゲーム』

  2. 『龍は眠る』 

  3. 『時計館の殺人』

  4. 『奪取』

  5. 『永遠の仔』

  6. 『亡国のイージス』 


作品紹介

・『チョコレートゲーム』(岡島二人:著) 文庫,¥ 250(税込)
第39回受賞
 秋川学園大付属中学3年A組の生徒が次々に惨殺された。犯人と目されたのは小説家・近内泰洋の息子・省吾。しかし,その省吾も遺体となって発見された。
 そして,連続殺人の原因として100万単位の金がからんだチョコレートゲームが浮上する。なぜ事件は起きたのか?なぜ息子は死んだのか? 
 近内は真実を知るために調査を開始する。事件のきっかけである“チョコレートゲーム”とは? そして真犯人は?


・『龍は眠る』(宮部みゆき:著) 文庫,¥ 200(税込)
第45回受賞
 雑誌記者の高坂は,取材帰りの嵐の晩に,自転車がパンクして立ち往生していた少年・稲村慎司を拾い助手席に同乗させた。
 何となく不思議なところがある慎司は高坂に言った「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように,慎司は二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を…
 慎司の従兄弟という織田直也は慎司の超能力を否定するが,実は直也は慎司と同様の…そして,高坂と慎司はある事件に巻き込まれ…

 
・『時計館の殺人』(綾辻行人:著) 文庫,¥ 250(税込)
第45回受賞
 著名な建築家・中村青司の建築した鎌倉の外れに建つ時計館には,10年前に死亡した少女の霊が出るという。
 オカルト雑誌“CHAOS”の駆け出し編集者・江南は,その霊について取材するため,3日間泊まり込みで霊との交信を行うこととなった。
 江南は副編集長,カメラマン,霊能者,大学の超常現象研究会のメンバーらとチームを組んで時計館を訪れる。しかし,そこに待ち受けていたのは凄惨殺人事件…


・『奪取』(真保裕一:著) 四六判,¥ 440(税込)
第50回受賞
 道郎は,友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金1260万円を返済するため,大胆にも偽札作りを画策する。
 パソコンや機械に詳しい道郎のアイデアで,ATMの識別装置を騙し大金入手まであと一歩と迫ったが,その一部始終をヤクザに知られ最悪の展開となる。
 インク,紙質,透かし,磁気…と奥深い紙幣印刷の技術を駆使しながら,道郎と雅人の偽札作りはどうなるのか…


・『永遠の仔(上・下巻)』(天童荒太:著) 四六判,¥ 250(税込)
第53回受賞
 父親から性的虐待を受けていた優希,母親から身体的虐待を受けていた梁平,母親からネグレクトされていた笙一郎。
 心を病んだ三人が知り合ったのは瀬戸内の小島にある小児精神科病棟。三人はここで友情を育むが…
 霊峰の頂上で神に救われると信じた三人は,下山途中で優希の父を殺害…。
 17年後,優希は看護婦に,長瀬笙一郎は弁護士に,そして梁平は刑事になっていた。そして三人は運命的に再会するが,また事件が…


・『亡国のイージス(上・下巻)』(福井晴敏:著) 文庫,¥ 440(税込)
第53回受賞
 最新のイージスシステム護衛艦“いそかぜ”の艦長である宮津は,息子が防衛庁情報局の手にかかって死亡したものと思い,北朝鮮の工作員と共謀して“いそかぜ”に特殊兵器“GUSOH”を持ち込み反乱を起こした。 “いそかぜ”は首都東京を人質にとり,日本政府にある要求を突き助ける。
 自分の艦を取り戻すべく渦中に飛び込んでいった“いそかぜ”の先任伍長仙石は,反乱を阻止する特命を受けて“いそかぜ”に派遣された如月は,そして多くの乗員たちは,国家間の策謀にまきこまれ暴走する“いそかぜ”は…。 


長くなりましたが,ここまでお読みいただきありがとうございました。
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