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原付ライダー青春グラフィティ

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2スト原付バイクが輝いた愛しき70年代 の記録
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原付ライダー青春グラフィティ (1)

原付ライダー青春グラフィティ (1)

目次
1.序文
2.熱狂と混沌の70年代
3.原付バイクの魅力
4.ミニバイクレースが盛んだった時代
5.公道でも原付2スト車が面白かった
6.50ccスーパースポーツの系譜
7.50ccオフロード車の系譜
8.50ccミニレジャーバイク ~謎のミニトレJT60
9.原付二種、黄色ナンバーの名車たち
10.70年代の原付二種110~125ccクラス
11.Zundapp(ツェンダップ)RS50 S

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原付ライダー青春グラフィティ (2)

原付ライダー青春グラフィティ (2)

2.熱狂と混沌の70年代

 本稿で書くつもりの1970年代初頭から1980年代初頭までの約10年間、この時代のバイクとライダーを取り巻く状況について簡単に俯瞰してみよう。

 世界MotoGPでは1970年代前半までに125ccクラス、250ccクラスで日本車が優勝とファクトリータイトルを獲得していたが、1975年に初めて500ccクラスでヤマハ車が優勝、そして1976年にはスズキ車に乗るバリー

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原付ライダー青春グラフィティ (3)

原付ライダー青春グラフィティ (3)

3.原付バイクの魅力

 原付バイク、特に原付一種50ccバイクの魅力は、何といってもその動力源が「極小排気量の内燃機関」である点に尽きる。

 2スト、4ストを問わず、「50ccエンジン」のシリンダーがいったいどれくらいの大きさなのか、具体的にイメージしてみよう。例えば、1981年に発売され、7.2馬力の2スト水冷エンジンを搭載して50ccスポーツバイクの頂点とも言われたヤマハRZ50、そのシリ

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原付ライダー青春グラフィティ (4)

原付ライダー青春グラフィティ (4)

4.ミニバイクレースが盛んだった時代

 バイクレースの登竜門としてのミニバイクレースは、現在でも各地のサーキットで行われている。しかし1970年代に盛り上がったミニバイクレースは、現在のそれとはかなり雰囲気も目的も異なるものであった。市販車をフル改造したマシンを操る素人ライダーが、全国各地で行われたショップ主催のレースに参加し、観客も巻き込んでお祭り騒ぎのように熱狂したのだ。

 関東では、19

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原付ライダー青春グラフィティ (5)

原付ライダー青春グラフィティ (5)

5.公道でも原付2スト車が面白かった

 個人的にはミニバイクレースの改造クラスへの参戦はあきらめたが、公道用のマシンもそれなりにチューンアップして楽しむことができた。ミニバイクレースが流行っていたおかげで、多種多彩な公道マシン用のチューニングキットやボルトオンの改造パーツが、あらゆるショップから売り出されていた。

 自分は、ミニバイクレースで遊んだ後に残ったGR80にボアアップキットを組み込み

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原付ライダー青春グラフィティ (6)

原付ライダー青春グラフィティ (6)

6.50ccスーパースポーツの系譜

 1960年代後半から1980年代初頭にかけての原付一種50cc分野では、個性的なバイク、そして高性能スポーツ車が大量にラインアップされていた。ここでは自分が直接乗る機会があったマシンの話を中心に、1960年代後半から70年代末頃までの2ストスポーツ車、特にロードスポーツ車の歴史を見てみよう。

 1962年、ロードレース世界選手権に初めて50ccクラスが誕生

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原付ライダー青春グラフィティ (7)

原付ライダー青春グラフィティ (7)

7.50ccオフロード車の系譜

 市販バイクに「オフロード車」という区分ができたのは、実は比較的新しい。1960年代はロードモデルのオートバイを軽量化、マフラーを高い位置に移設、タイヤを替えるなど改造したものをオフロード用としていた。これらのバイクは、オフロード向けのレースの俗称から「スクランブラー」と呼ばれていた。この「スクランブラー」タイプのバイクが60年代半ばの早い時期から登場したのは、当

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原付ライダー青春グラフィティ (8)

原付ライダー青春グラフィティ (8)

8.50ccミニレジャーバイク ~謎のミニトレJT60

 70年代は、特に後半になってホイール径が16インチ以下の「ミニレジャーバイク」が実に数多く市販された。多種多彩なミニレジャーバイクは、多くの原付ライダーにとってまさに70年代のバイクライフを彩る存在となっていたと思う。また僕の周囲には、普段大型バイクに乗っていてもセカンドバイクとしてとして原付レジャーバイクを所有する…というライダーが非常

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原付ライダー青春グラフィティ (9)

原付ライダー青春グラフィティ (9)

9.原付二種、黄色ナンバーの名車たち

 原付二種、黄色ナンバーの名車というと、まず思い出すのがヤマハの90ccツインのシリーズだ。45ccという市販車最小シリンダーを搭載した世界初の2スト2気筒90ccのスポーツ車は、1965年に発売されたAT90に遡る。ATの名称はヤマハが開発した分離給油式の潤滑装置オートルーブ(AUTOLUBE)に由来するそうだ。ミッションはロータリー4速、8.2ps/80

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原付ライダー青春グラフィティ (10)

原付ライダー青春グラフィティ (10)

10.70年代の原付二種110~125ccクラス

 本稿は、原付一種50ccバイクと。原付二種については主に90cc以下の黄色ナンバー車について書いている。だから125ccクラスのバイクについては、ごく簡単に当時の状況を述べるに留めようと思う。

 2021年現在、このクラスのバイクがちょっとしたブームになっている。2005年の免許改正で「AT限定小型二輪免許(125ccまで)」という区分が出来

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原付ライダー青春グラフィティ (11)

原付ライダー青春グラフィティ (11)

11.Zundapp(ツェンダップ)RS50 SUPERの話

 ちょっと前に、経済紙の企業の倒産を伝えるコーナーで「(株)村山モータースが倒産」という記事を読んだ。倒産したのは2018年というから、まだ2~3年前の話だ。輸入バイク販売では有名な大手ショップだっただけに、ちょっと感慨深く読んだ記憶がある。古いバイク乗りで「村山モータース」の名前を知らない人はいないだろう。渋谷にあった村山モータース

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原付ライダー青春グラフィティ (12)

原付ライダー青春グラフィティ (12)

12.Dash(ダッシュ)125RSの話

 これは70年代ではなく最近の話だが、125ccクラスの2スト車で、どうしても忘れられない車種がある。それはタイホンダが発売していた「Dash(ダッシュ)125RS」というバイクだ。後述するように、僕はもうここ6~7年間まともにバイクに乗っていない。その僕が最後に乗り回したバイクの1つが、ホンダ「Dash(ダッシュ)125RS」だ。しかも、日本国内ではな

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原付ライダー青春グラフィティ (13)

原付ライダー青春グラフィティ (13)

13.法令と規制の変遷を振り返る

 原付というか、自転車に小型のガソリンエンジン(自転車用補助動力)を取り付けたモペット的な乗り物は、日本国内でもかなり古くからあった。ただ戦後しばらくの間は、あくまで自転車の延長線上の乗り物であって「バイク」とは認識されていなかった。当初は自転車と同じ軽車両扱いで運転免許が不要であった。

 原付の区分のバイクが初めて脚光を浴びたのは1953年のことだ。この年に

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原付ライダー青春グラフィティ (14)

原付ライダー青春グラフィティ (14)

14.小排気量バイクの楽しみ

 僕は50年間近いバイクライフの中で、排気量やタイプを問わず数多くの多種多様なバイクに乗ってきたが、中でも特に小排気量のバイクが大好きだ。具体的には125cc以下の原付第一種、第二種のバイク、中でも50cc~90ccの2スト(2サイクル)のバイクが大好きなのである。

 小排気量のバイクは、日常生活の中でその性能をめいっぱい発揮することができる。考えるまでもなく、7

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