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#12 学校で定期テスト、いる?|読書ノート

今回紹介する本は、こちら!

『「目的思考」で学びが変わる〜千代田区立麹町中学校校長・工藤勇一の挑戦〜』(著:多田慎介)

この本で中心的に語られる工藤勇一さんは、公立中学校にもかかわらず、慣例に全くとらわれない新たな教育のかたちをスピード感を持って構築されていました。

最も刺激的かつ大胆な改革の一つとして「定期テストの廃止」が有名です。
最近、さまざまな番組やメディアにも取り上げられてるので見聞きしたことがあるかも知れません。

この本でわたし的に刺さったテーマ5つと、それに対する自分の考えをまとめました。皆さんはこの改革的な教育の形やそこに至る理念を、どう感じますか?

1、「話を聞きなさいなんて指導は、本当は間違っている」

・工藤校長の話は校長先生の話ぽくない。まるで企業の新入社員へのプレゼンのようだった。
・「話を聞きなさい」ではなく、先生側の学びと努力が必要。
・生徒に「だって話がつまらないんだもん」のような他責思考にさせない教育へ。
・生徒が大人になったときに「つまらなくっても、話さえ聞いてれば良いんでしょ」と思考停止にさせないように、大人がデザインする。

2、上位目標の実現を妨げる手段は選ばない

・その場限りの勉強の温床となる定期テストの廃止。目的は、生徒が自律して学んでいくようになること。この目的に、手段として定期テストは適さない判断。
・その代わりに、単元テストの導入へ。テストの時期や範囲は教えない
・目指すのは、生徒自身が自律してテストを「手段」に捉えた学びの設計。
・繰り返し受けて成長を目指せる仕組み、点数は成績に反映しない。
・保護者にも繰り返し説明し、成績向上で納得させていく。

3、「あの先生に相談してみたかった」を叶える仕組み

・固定担任制度の廃止と、チーム担任制度の導入。チーム医療のイメージ。
・生徒や保護者面談のときに、担当者希望制度(第三希望までかける)
・それぞれ得意としていることを生かす。

4、特別対談:木村泰子さん(大阪府立 大空小学校初代校長)

・「人の心なんて教育できるものではない」
良い行動ができる人を育てるのが目的で、その手段が良い心を持つことにすぎない。
・「内申点目あてだ」とか「本当はこう思っているんだよ」とか、そんな議論は、「良い行動」の前では無意味なのではないか。本当に人の心がどうなのかということを他人が知ることは不可能だから。
勝手に理想を描いて、勝手に不幸になるな
「自分は結局何も変えられていない」と虚しくなる時があったが、今は違う。どんなに行動しても変えられないものはたくさんある。だからこそ大人は学び続ける事になるんだ。虚しさは感じなくなった。

5、人を嫌ったり、差別したりする心について

・人間である以上それを完全に消し去ることはできない、だから、嫌っちゃダメなんてことは絶対にない。
・しかし、それを相手に「そうじゃないように」行動しようとすることはできる。
それはとても難しいこと。なぜなら相手が何が嫌で何が差別だっていうことを知らないとできないから。つまり知識が必要だから。
・大人になってから始めて知るような「相手が嫌がること」はたくさんある。大人も完全じゃない。だから学び続けるんだ。

中学校教師のわたしが考えたこと

この本では様々な実践やインタビュー事例を載せられていますが、全て一つのキーワードで貫かれています。

「目的意識に沿って、行動を起こせ」

わたしはこの考え方とそれに沿った教育に、大賛成です。
わたし自身が子供と対峙し、そこで感じてきた数えきれない「モヤモヤ」の正体。

「何のために伝えているか分からない時間」
「この指導は一体誰のため?という自問自答」
「保護者の手前だから伝えている空虚な言葉」

こういう「子供たちをどんな姿に育てるために」が抜けた、指導のあり方だったのです。今思えば、苦しくて、無力感に苛まれる要素の一つだった気がします。

子供を叱ったり褒めたりするのは、わたしたち大人が思う通りに動かすためにやるのではない。

子供自身が自分のことを認め、今ある力を発揮する「行動」や「考え方」を身につけてもらうためなんだ、と思います。

この目的意識に沿えるような指導をするためには、自分1人でどうにかすることは絶対にできません。システムや学校や職場環境の後押しが必要条件です。

休職したからこそ、今の自分の心の体力はわかっているつもりです。
自分の心の体力と、自分の目的意識に沿った教育のアクションと。

バランスを大事にしながらちょっとずつ、チャレンジしてみたいです。

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ここまで記事を読んでくださった方、ありがとうございました😊
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