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KH1992
2020年7月25日 11:03
「ほら、ここからなら誰にも邪魔されず、空を見上げる事が出来るの」そう言って、いつものように無邪気な笑みを浮かべた君の姿は、初夏の雲一つない青々とした空、そんな中にあってもグラデーションを忘れぬ、この空気に散った様々な色の前で、今なお薄れる事なき幻想として記憶されている。 十年前、奈良盆地に留まる熱された空気に、いいかげん嫌気が差してきた頃。貧乏暇なし、という言葉とは無縁の大学生であった僕であ