【青山 翠】薪ストーブは「カーボンニュートラルでSDGs」ではない

アゴラに出ていましたこちらの記事。
【薪ストーブは「カーボンニュートラルでSDGs」ではない】
100%同感です。「薪ストーブ」を「木質バイオマス」に置き換えても同じことが言えます。

以下、記事より引用。

厳密な意味では薪ストーブや暖炉は「再生可能エネルギー」の範疇に入るべき燃焼ではない。
発電用動力源の代替燃料用として「だけ」便宜上、国連はニュートラル扱いにしてあげます、というだけであり、現実には大量のCO2と有害物質を排出していることには変わりがない。

共通している背景は、どれほどに苦情を受けようとも、カーボンニュートラルやSDGsを大義名分にする点。そして多くの使用者の本質は「雰囲気を楽しむ娯楽目的」「廃材や残渣の焼却処理も兼ねて」であること、他の大気汚染を起こさない代替の暖房システムを家屋に装備しているにもかかわらず木材燃焼暖房を敢えて使用する、ということであった。

木材燃焼はクリーンエネルギーではない。定義上「グリーン」かもしれないが(それもEUの動向などから揺らぎ始めているが)、「クリーン」ではない。クリーンというなら世界中で問題視され始めているその煤煙悪臭はどのように弁明するのか。CO2の増減に関しても、回収期間が20~100年との研究もあり、ニュートラルにはならない。
植物の成長は緩慢であり、燃焼は一瞬。この時間軸概念を無視したカーボンニュートラルは詭弁である。

厳密を期するなら、薪の取得のため運搬加工に費やされた膨大な化石燃料や電力についてもぜひ論ぜよ。

木材燃焼暖房は、薪の燃焼は決してクリーンではない上に、効率面では最悪の燃料。発電の主力燃料にすると、同量の電力を得るために石炭よりも多量のCO2と大気汚染物質を排出し、必要な木材が不足するのは見えている。

研究者らは、木質ペレットを燃やすことが炭素負債を生み出し、回収期間が44年から104年であることを発見しました(Environ. Res. Lett.13 015007)。「木材の燃焼効率と処理効率は石炭よりも低いため、木材を石炭に置き換えることの直接的な影響は大気中のCO2の増加です」

薪ストーブは煤煙と燃焼臭気を必ず出す。無煙無臭などあり得ない。現状で都心や住宅地で煙突が林立するほどに普及しない理由は子供でも分かるほどに簡単。煙とにおいが近隣に迷惑になることを、多くの人が理解しているからである。
逆に言えば、煤煙悪臭さえ出なければ、全く問題無い。
それでもどうしても薪ストーブを使用したいのであれば、排気浄化装置を付加すれば、都会のピザ窯同様に気兼ねなく火炎を楽しめるようになるはずだ。

引用終わり。

以前、以下の投稿をしました。「バイオマス発電」を「薪ストーブ」に置き換えても同じことが言えます。

バイオマス発電がカーボンニュートラルなのは、お爺さんが山へ芝刈りに行っていた桃太郎の時代までです。現代では伐採・輸送・加工・製品化・また輸送・廃棄の工程が加わるのでカーボン収支は必ずマイナスになりカーボンニュートラルのわけがありません。

筆者はバイオマス発電を否定したいのではありません。エネルギーは多様なほどよいのであらゆる技術開発は進めるべきだと思います。ただし、このような偏った書き方には疑問があります。企業が自社の製品やサービスをこんな偏った表現で宣伝したらグリーンウォッシュや虚偽広告と非難されるはずです。

自宅の薪ストーブで排気前の脱煙・脱臭装置を設置したところで、その製造工程や輸送、自宅での運転、使用後の廃棄のエネルギーまで再エネでできるわけがないのです。カーボンニュートラルとか脱炭素とかSDGsと言わずに、「薪ストーブは趣味です」「バイオマスもエネルギー源のひとつです」と言えばいいだけのことだと思います。

これは昨今のSDGsやESGにも同じことが言えます。中身が従来の活動や投資商品と変わらないのであれば、グリーンウォッシュを疑われるような看板をつけなければよいのです。



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