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迷信を正しくアップデート!『「家族の幸せ」の経済学』を読みました。

読んでみると、特に、子育てにおいて迷信めいたことが
「事実」とは違うことが次々に明かされています。

本書を読んで、令和にあった価値観にアップデートできそうです。
本書のおすすめとして、印象に残ったポイントを紹介します。

目次
はじめに
第1章 結婚の経済学
1 人々は結婚に何を求めているのか
2 どうやって出会い、どんな人と結婚するのか
3 マッチングサイトが明かした結婚のリアル
第2章 赤ちゃんの経済学
1 出生体重は子どもの人生にどのように影響を与えるのか
2 帝王切開は生まれてくる子どもの健康リスクになるのか
3 母乳育児は「メリット」ばかりなのか?
第3章 育児の経済学
1 国によってこんなに違う育休制度
2 お母さんの働きやすさはどう変わる?
3 育児と子どもの発達を考える
4 「育休3年制」は無意味。1年がベスト
第4章 イクメンの経済学
1 日本は、制度だけ「育休先進国」
2 育休パパの勇気は「伝染」する
3 育児で変わる家族のライフスタイル
4 では、夫婦の絆は深まるのか
第5章 保育園の経済学
1 幼児教育の「効果」について考えてみる
2 家庭環境と子どもの発達
3 保育園は、母親の幸福度も上げてくれる
4 無償化よりも待機児童解消を急ぐべき理由
第6章 離婚の経済学
1 「3組に1組が離婚している」は本当か
2 離婚しやすくなることは、不幸だとは限らない
3 離婚は子どもたちにどう影響するか
4 共同親権から「家族の幸せ」を考える
あとがき
あらすじ
「帝王切開なんかしたら落ち着きのない子に育つ」「赤ちゃんには母乳が一番。愛情たっぷりで頭もよくなる」「3歳までは母親がつきっきりで子育てすべき。子もそれを求めてる」出産や子育ては、このようなエビデンス(科学的根拠)を一切無視した「思い込み」が幅をきかせている。その思い込みに基づく「助言」や「指導」をしてくれる人もいる。親身になってくれる人はありがたい。独特の説得力もあるだろう。しかし、間違っていることを、あなたやその家族が取り入れる必要はまったくない。こういうとき、経済学の手法は役に立つ。人々の意思決定、そして行動を分析する学問だからだ。その研究の最先端を、気鋭の経済学者がわかりやすく案内する。(「BOOK」データベースより)

電車で席を譲ることにも意義がある!

現在、世界中の国で生まれてくる赤ちゃんの体重が減り続けています。

さらに、最近の研究で新たに明らかになったのは、
妊娠中にお母さんが仕事をしていると、生まれてくる赤ちゃんが
低体重になる可能性が増すという事実です。

厚生労働省が行った21世紀出生時縦断調査を用いた分析によると、
出産1年前にフルタイムで働いた場合、働いていなかった場合と比較して
出生体重は43グラム軽くなり、低出生体重児となる割合が2.4パーセントポイントもあがります。(p74~75)

この結果を踏まえて、
作者は、フルタイムで働くことは健康上大きな負担となると指摘し、
さらに、電車で席を譲ることにも意義があると記述しています。

道徳的な理由以外で、「席を譲る理由」を説明された経験があまりないので、新しい発見に思えました。
特に、妊婦さんの負担にならないようにする配慮が、
赤ちゃんの成長にまで関わってくるとは思いませんでした。

本書を読んで、「席を譲る」などの配慮にはっきりとした理由が付け加えられました。以前、SNSで「優しさは知識が半分」(←うろ覚え)と誰かが
言ってましたが、その通りですね。

「配慮」って、「想像」が出発点になっていますが、
「想像」するには、「いくつもの可能性」を知っている必要があるんですね

数字のトリックに気を付けよう

知識をアップデートできた数字としては、離婚率が挙げられます。

~略~「結婚した3組に1組は離婚する」という根拠になっているのは、「離婚件数÷結婚件数」がおよそ3分の1であることです。~略~
しかし、この計算方法には大きな問題があります。分母にあたる結婚は今年行われたものですが、分子にある(今年離婚した)夫婦の結婚は過去に行われたものだからです。p226

確かに!って思いました。時系列が分母と分子でバラバラです。

では、実際に近い統計(標準化有配偶離婚率)をみると、
2015年時点で、結婚している人1000人あたり16.7件となっているようです。

「3組に1組は離婚する」とは全く読み取れません。
「離婚件数÷結婚件数」という計算式が間違っていて、
実際を正しく反映できていないことがわかりました。

***

本書を読んで、身近に迷信が多いことがわかりました。
「言ったもの勝ち」のような状態が、特に「育児」の現場で起きていて
その結果、苦しんでいる母親もいるのではないかと思いました。

迷信の呪縛を本書のデータが打ち消している記載も多いので、
救われる人が、きっといる本だと思います。

とても勉強になりました。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。

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