見出し画像

"エモい"を言語化したくて

「エモい」という言葉を聞くようになって久しい。
そもそもエモいというのは、「感動した」とか「なんかめっちゃいいな」、「うわ懐かしい」というような感情を表わす言葉だ。

なぜここまで「エモい」という言葉を聞くようになったかというと、恐らくその言葉が含むニュアンスが共感性が高く、かつ広範囲の感情を表すことができるからだろう。つまるところ「非常に使い勝手がいい」わけである。

自分が使う時のことを考えてみても、「いい感じの的確な表現が思い浮かばないからとりあえずエモいって言っとこ」ということはままある。
似たようなシチュエーションは誰にでも起きうると思っていて、実際「とりあえずエモいって言っておけばいい」というような風潮はあるように感じる。

こういう使い勝手がいい言葉が現れた時に必ず起こるものとして、その言葉の安売りというものがある。
さっきの"広範囲の感情を表すことができる"というのは、裏返せばどんなことでも「エモい」で表そうとすればそれっぽくなってしまう危険性を孕んでいるということでもある。
この「エモいの安売り」に関して嫌悪感を抱く人は一定数いるだろう。
それは単に聞きすぎて嫌気がさすというのもあるし、語彙力が低下しているように見えるというのも1つの側面としてあると思っている。

自分自身、文章を書き続けている理由の一つに「語彙力を低下させたくない」という思いがある。どうしてもコミュニティが固まってしまったり、便利な言葉があると、そのコミュニティ内独自の言葉遣いばっかりをしてしまったり一つの言葉に依存してしまう傾向にある。
もちろんいわゆる内輪ノリをしている時にはそういう言葉を使うのも悪くない。ただそれとは別に、なにか外向きの文章を作ることで最低限の語彙力を失わないでいたいという気持ちを持っている。

だからなるべく文章中で「エモい」ということばを乱用しないようにしている。ブーメランが刺さると嫌なので絶対とまでは言わないが、基本的に使っていないんじゃないかなとすら思う。
仮に「エモい」と思うことがあっても、なんでそう思ったのか、どういうところがそう思ったのか、という風に細分化してそれを言葉にしたいと思っている。

例えば「高校の時に留学先で知り合った友達と初めてお酒を飲んだ」というシチュエーション。これは間違いなく「エモい」シチュエーションだ。実際分かりやすいのでTwitterでのキャプションにはエモいと書いた。
じゃあ何をもってエモいと感じたのかというと、

・当時16,17だった我々が4~5年の時を経てまだ交流を持てていること
・その時はまだまだ子供だった2人がお酒を飲めるような年齢になったということ
・留学当時は「絶対こいつと仲良くなることはないな」と思ってが蓋を開けてみれば今もこうして仲良くしていること

大方こんなところだ。
ただ見てもらえば分かる通り、これを全部書くとなると長いし、正直これを「エモい」という一言でまとめられるのは便利ではある。

でも、ここはそういう場だと思っている。いくら稚拙でも、文章が長くなってしまっても、自分が伝えたい思いを伝えたい言葉で紡げる場であると。
だからこそ、これからもnote上ではなるべくエモいという言葉は使わずにそれをしっかりと言語化していきたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?