モンテネグロの首都は自然が豊かな町だった
コソボでの充実感で抱いた夢の中のような感覚から、一気に現実に突き落とされたバス旅とバスターミナル泊を経て、昨日モンテネグロのポドゴリツァ(Podgorica)にやってきました。
ここはれっきとしたモンテネグロの首都です。しかし、どんなところかわからないどころどころか、名前すら聞いたことのないところに来てしまいました。
モンテネグロはどのような国なのか、ポドゴリツァはどのような町なのか。
バス旅とベンチ泊で疲れ切った身体を起き上がらせ、興味の赴くままに市内を歩いてみました。
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モンテネグロは、2006年にセルビアから独立した比較的新しい国です。
元々はモンテネグロ公国という国でしたが、第一次世界大戦でセルビア軍に取り込まれ、そこから長くユーゴスラビアの一地域としての歴史を歩みます。
そして、ユーゴスラビア最後の体制となる、セルビア・モンテネグロから独立して、再び一つの国となりました。
そんな歴史を持ちながらも、セルビアとは文化面(言語や宗教)ではあまり違いがないそうです。
特に言語について、国民が使うのはモンテネグロ語ですが、この言葉はセルビア語とほぼ同じで、セルビア語の方言くらいのものだそうです。
首都のポドゴリツァは、モンテネグロ最大の都市ながら、人口はわずか15万人。確かにバスターミナルを一歩出て感じた「ローカル感」に納得できます。
日本で言うと、千葉県野田市、埼玉県久喜市、愛知県小牧市あたりが人口や規模感が似ているでしょう。ポドゴリツァは日本の地方都市、特にベッタウンの印象すら抱いてしまう都市です。
そんな街を歩いていて思ったのは「のどかな田舎町」だということ。街ではなく町。
綺麗な川が町の中心を流れ、遠くに山々が見え、公園で子供たちが遊んでいる。中心部には飲食店やアパレルなどお店が集まったエリアがあるけれど、少し歩くともう住宅街。
公園に入ってみると、そこはどこまでも続く森でした。そんな森の公園に一軒のカフェがあって、人々が自然に囲まれながらゆっくりコーヒーを飲んでいます。
言われなければ、誰もここが首都だとは思いません。
それがモンテネグロの首都・ポドゴリツァという町の実態です。
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首都というと壮大なイメージがあります。東京もそうだし、パリもロンドンもそう。ビルがたくさん立ち並び、人が右往左往しています。
しかし、ポドゴリツァにはそういった部分はひとかけらもありません。
その代わり、それらの街にはあまりないような、静かで温かい雰囲気がありました。
コソボでもそうだったように、ここでも現地の多くの人たちから声をかけられました。
みんなに対してそうしているのか、稀有なアジア人だからかはいまいちわかっていません。しかし、拙いながらも英語で話しかけてくれます。
「どこから来たの?」「モンテネグロはどう?」
ただ手を振ってくれるだけの人もいます。その純粋さにこの国の人の良さを強く感じました。
東南アジアのように発展途上の国々とはまた違うこのスローペースが、この国の良さかもしれません。
時折スーツを着たビジネスマンを見かけたものの、基本的にみんな静かにゆっくり過ごしていました。
社会主義の名残なのか、そもそもの国民性なのか。幸福について改めて考えさせられる時間でした。
そんなモンテネグロで食べた料理が「ポペツィ」(popeci)という揚げ物。
トルコ料理ばかりの周辺国とは異なり、モンテネグロにはユニークな料理がいくつかあるらしく、これもそのひとつ。
ハムやチーズを牛肉?で包んでカリッと揚げたものです。
かなり高カロリーだと察したものの、サクサクした食感とジューシーな味わいでとても美味しく、こんなものがあるのかと驚きました。
今までありそうでなかったもの。韓国や台湾あたりのストリートフードとして流行らないから、なんて思ったりもしました。
思わぬ美味しいローカルフードに出会えた感動が体を駆け巡ります。
食文化に意外性を感じたのも束の間、ふと我に帰ってもポドゴリツァは静かな田舎町であることに変わりありませんでした。
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豪華なミレニアル橋、キリスト復活大聖堂など一応の見所はあるものの、観光地として語るには物足りない印象が強くあります。モンテネグロを訪れる多くの観光客がポドゴリツァを通り過ぎる理由がよくわかりました。
しかし、人の良さ、ユニークな料理、そして豊かすぎる自然。
この町には他の首都にはないものがたくさんあるように思いました。
それを見つけられたこともまた新たな発見。
ネットで調べると「世界一醜い首都」なんて形容されているけれど、思わぬ姿にほっこりしたポドゴリツァでした。
ポドゴリツァの宿に荷物を置いて、これから大旅行の中の小旅行に出かけます。行くぜアドリア海!
まだまだ旅は続きます。
旅の様子はこちらにまとめています。
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それでは、また明日お会いしましょう!
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